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『プロメテウス』 栄光と崩壊のシリーズ一気通貫今更レビュー⑤

宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない。無限に広がる大宇宙を舞台に、こんなにも閉所恐怖症になりそうで、しかも恐ろしいSF映画が撮れるのかと、公開当時衝撃を受けたのを思い出す。

リドリー・スコット監督を一躍ヒットメーカーに押し上げた一作目からじきに50年になろうというのに、いまだにシリーズが続いているような様子も窺える。

才能なる監督たちが入れ替わりで続編を撮っていた時代には迷走もあったが、どうにか軌道修正も果たせたか。そんなエイリアンシリーズを今更ながら一気通貫レビュー(このページはAmazonアソシエイトの広告を含みます)。

『プロメテウス』
Prometheus

公開:2011 年 監督:リドリー・スコット
時間:124分 製作国:アメリカ
勝手に評点:★★★☆☆3.5

©2012 TWENTIETH CENTURY FOX

リドリー・スコット監督が33年ぶりに『エイリアン』を手掛ける、それも前日譚ということで、大いに期待した作品。権利関係の問題なのか、当初の想定ほど、両作品の連関性は明確には示されない。

とはいえ、『PROMETHEUS』のアルファベットの直線が一本ずつ増えていくタイトルの出し方は『ALIEN』のスタイル踏襲。

どこかの惑星に向かう長期航行中の宇宙船で、クルーが冬眠ポッドから覚醒する様子や、メンバーの一人がロボットであることなど、お馴染みの怪物が登場しなくても、『エイリアン』の雰囲気は濃厚に味わえる。

本家リドリー・スコットが作っているのだから、当然といえば当然か。

2089年、世界各地の遺跡で発見した古代人の壁画に、共通の星図を発見した考古学者のエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)とチャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)は、それを人間を創造した異星人(=エンジニア)からの招待状だと信じる。

©2012 TWENTIETH CENTURY FOX

ウェイランド社の資金を得て、二人はプロメテウス号に乗り込み、そのメッセージが示すと思われる惑星へと向かう。ショウ博士らの仮説が正しければ、人類を創造したのは神ではなく、異星人エンジニアのはず。彼らは、神に代わる者に会いにいくために、調査目的でこの船に同乗していた。

プロメテウス号にウェイランド社からの監視役として乗っているヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)は、本シリーズではお馴染み、クルーの安否より社命優先という会社のイヌだ。

ちなみに、『エイリアン』のノストロモ号のオーナーはウェイランド・ユタニ社。本作以降に、ウェイランド社が合併する設定なのだろう。

©2012 TWENTIETH CENTURY FOX

シガニー・ウィーバーに代わる女性ヒーローは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ隊長で名を挙げたシャーリーズ・セロンかと思っていた。

だが、最後まで生き残り戦う女はエリザベス・ショウ博士、演じるのは『ドラゴン・タトゥーの女』のノオミ・ラパス(でもシャーリーズ・セロンが感染者のチャーリーを無情に殺す場面は、フュリオサ入ってました)。

清潔感がハンパないロボットのデヴィッドにマイケル・ファスベンダー。所作があまりに美しく、まるで人間味がない。『エイリアン』の前の時代なのに、ロボットの動きが技術的に洗練されてしまっているのは厳密にはおかしいが、堅苦しいことはいわないこと。

人間は誰が何のために創造したのか。その答えを追い求めるショウ博士らを、人間を安心させるために人間に似せて作られ、自分たちはなぜ作られたのか考え続けるデヴィッドがサポートする。

単純なSFホラーに見せかけて、実は哲学的なメッセージを問いかけてくるのがリドリー・スコット流。思えば『ブレードランナー』でも、レプリカントたちはせまりくる自分たちの寿命に脅えながら、工業製品である自分たちの人生を深く憂いていた。

さて、ついにプロメテウス号が降り立った惑星で、地球と同じ大気成分だと喜び、油断してヘルメットを脱ぎ、人気のない洞窟内を探索するメンバー。そこからやがてエイリアンの攻撃が始まり、クルーが一人ずつ犠牲になっていく。

これはシリーズのどの作品にも登場する定番パターンであり、本作も当然例外ではない。でも、やはり本家はメリハリの効いた演出で他の監督より一歩抜きんでているように思う。3作目以降の『エイリアン』は、敵が強すぎたり速すぎたりで、グロいけど怖くなく、むしろ笑っちゃうことさえあった。

©2012 TWENTIETH CENTURY FOX

その点、本作の怪物たちははじめは小さくおとなしいのが、やがて大きく凶暴になっていき、怖いことといったらない。四肢を拘束されて、口の中に蛇のように敵が入り込んで体内をかき回される死に方は、私なら遠慮したい。

本作はただエイリアンと人間との戦いではなく、そこに異星人エンジニアの存在が絡んでくる。彼らはこの星で生物兵器を培養したが、自らがその生物の犠牲になり、絶滅してしまったのか。

『エイリアン』の一作目に登場した馬蹄のような形の遺棄された宇宙船。そのコクピットには、甲冑のような格好の異星人の化石があった。スペース・ジョッキーと呼ばれるものだ。

本作ではその同じ宇宙船で、クルーたちがスペース・ジョッキーのヘルメットを外すと、中から異星人エンジニアが現れる。筋骨隆々の大男のようなその人物は、冒頭で滝つぼに身を投じる異星人と同種族。

彼らは人間たちと同じDNAを持っていることが調査で分かっている。振り返れば、冒頭のシーンは、太古に地球に降り立った異星人が、身を挺して自分のDNAを海へと拡散し、人類を創造した場面だったのだ。

そんな異星人エンジニアとのファーストコンタクトを、古代語を解するデヴィッドが担当する。当然、知的で友好的な会話を想像するではないか。だが、異星人は何も言わずデヴィッドの首をもぎ取って放り投げる。これには驚いた。

結局そこから先は会話も何もなく、異星人もエイリアンの餌食になり、気がつけばプロメテウスのクルーも殆ど殺されてしまう。

「あの怪物を地球には行かせねえぞ」と船長のヤネック(イドリス・エルバ)がプロメテウス号の艦隊ごと体当たりで決死の撃墜。「船長もしょうがねえな」と付き合う副操縦士の二人(エミュ・エリオット、ベネディクト・ウォン!)がいい。

恋人のチャーリーを介してエイリアンの子を宿し、急速に胎内で成長する怪物を開腹手術で摘出したり、首だけになって地べたに転がるデヴィッドがそのまま話し続けたり。過去作で見覚えのあるシーンが随所にあるのは楽しく、また異星人エンジニアの参入により二番煎じの感も少ない。

©2012 TWENTIETH CENTURY FOX

最後に残るのは首だけのデヴィッドとショウ博士。彼女は、なぜ創造主は人間を絶滅させようとしたのかを確かめるために、エンジニアの母星に向かうという。本作で提示された謎は、次作『エイリアン:コヴェナントで、どこまで回収されるのか。

エイリアン(1979、スコット)
エイリアン2(1986、キャメロン)
エイリアン3(1992、フィンチャー)
エイリアン4(1997、ジュネ)
プロメテウス(2012、スコット)
エイリアン:コヴェナント(2017、同上)
エイリアン:ロムルス(2024、アルバレス)


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