来週の相場見通し(3/2~3/6)『イラン情勢の行方、市場への影響』
1.はじめに
イスラエルがイランに先制攻撃を開始し、これに米軍も追随した。既に報道では未確認ながら、イランの最高指導者のハメネイ師が死亡したとも報じられている。イランは大きな転換点を迎えている。これからの市場はどういう展開が見込まれるのだろうか?
2.中東情勢について
① マーケットと中東リスク
中東で再びイランとの戦争行為が始まってしまった。ここで、私は「再び」という言葉を使ったが、これはマーケットにおいては重要な点だ。
長い間、マーケットにおいては「中東は地政学的なリスクが高い地域」として定着しており、この地域で紛争が起こっても、それが小規模なものなら、市場は慣れっこになっている。但し、イランだけは別格であり、イランとイスラエルが直接戦争になった場合には、未曾有の危機が起こると警戒されてきた。実際に中東戦争はこれまで4回行われてきたが、どれもアラブ諸国とイスラエルの戦いであり、中東の大国であるペルシア人国家のイランは、こうした戦争に関与していない。
イランは人口9千万人、国土は日本の4.4倍、1979年のイラン革命により王政国家からイスラーム国家へと転換し、米国から経済制裁を45年間もくらいながらも、イスラム教シーア派の盟主として、存在感を示してきた強靭な国家だ。正規軍(アルテシュ)は、陸軍、海軍、空軍、防空軍で構成され約35万人の兵力があり、これとは別に革命防衛隊(IRGC)が15万人超も存在する。この部隊は、最高指導者の直轄部隊であるが、地上部隊、航空宇宙軍(弾道ミサイル部隊を含む)、海上部隊(ペルシャ湾担当)、対外工作部門「コッズ部隊」を持つ巨大な組織であり、特に対外工作部門は、レバノンのヒズボラや、イエメンのフーシー派、イラクのシーア派民兵組織、ガザのハマス、シリアのシーア派組織に対して支援育成を行い、まるでイランの外遊部隊のように動かしてきた。
また、イランは、世界の海上原油輸送の約2割が通過する、最重要のエネルギー輸送ルートであるペルシア湾のホルムズ海峡を抑えており、自国に脅威が迫った場合の切り札として、「ホルムズ海峡を封鎖する」という伝家の宝刀も持っている。
このように中東地域のラスボス的な「イラン」だけに、イランとイスラエルが直接戦争行為を行うことは、市場における重要な地政学リスクだったのである。しかし、その常識は2020年代に既に変化している。
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