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Mr.X氏の寄稿レポート(5/11)『米国金利の状況と当面の見通し』

1.はじめに

Mr.X氏の寄稿レポートです。常連メンバーさんは、もうご存じかと思うので、この項目は飛ばしてください。新しいメンバー様向けに、このMr.X氏を紹介します。このMr.X氏は匿名ですが、「現役バリバリのプロの外国債券トレーダー」でして、この世界で知らない人はいません。私は金利マーケットでは、昔から最も信頼し、色々な局面で意見交換させてもらってきました。現役バリバリのプロですので、日々、何百億、何千億円もの実際の外国債券のフローに値付けし、それを受け、ヘッジするという仕事をされています。エコノミストやストラテジストの見解とは、また一味違う最も市場に近いところから見える風景があると思います。Mr.Ⅹ氏には敢えてレポートの質を分かりやすいように修正することなく、自然体で語っていただくことにしました。ちょっと難解な部分もあるかもしれませんが、この方の場合は、それがむしろ面白さと捉えていただければ嬉しいです。株式市場と金利市場は切っても切れない関係にありますので、どうぞ金利市場からの生のレポートをお楽しみください。

2.Mr.X氏の寄稿レポート

しばらく間が空いてしまったことを、まずお詫びしたい。前回の寄稿以降、世界情勢は大きく動いた。前回寄稿時から10年金利は約22bp水準を切り上げ、市場環境は様変わりしている。米国債市場を語る上で、今回はどうしても地政学リスクの話から始めなければならない。

対イラン軍事衝突が現実のものとなり、ホルムズ海峡封鎖リスクが急速に現実味を帯び、市場は最悪シナリオを意識せざるを得なくなった。エネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡が今後完全に封鎖されれば、原油価格への影響は極めて大きい。加えて、トランプ政権の先の読めない外交・通商政策が絡み合い、マーケットの予測可能性は著しく低下している。率直に言って、今ほど先行きが読みにくい局面も珍しい。

もっとも、一点だけ比較的見通しやすい部分もある。中間選挙が迫る中、トランプ大統領にとって中東での軍事衝突を長期化させるメリットが乏しいという点だ。エネルギー価格の高止まりは有権者の生活コストを押し上げ、共和党にとって選挙戦略上の重石となりうるだけだ。そのため、最終的には事態の収束を模索する方向に動く可能性が高いとみている。中東情勢が徐々に安定化へ向かえば、米国債を含む投資適格債市場には買い手が戻りやすくなるだろう。

しかし問題は、仮に停戦や緊張緩和に向かったとしても、今回の中東情勢悪化が残す影響は簡単には消えないという点だ。エネルギー価格の高止まりは、企業にとって原材料費上昇を理由とした価格転嫁を行いやすい環境を作る。実際、一部では価格上昇の動きが見え始めており、本格的な影響はこれから顕在化する可能性がある。今回の地政学リスク上昇によって、中間選挙における共和党劣勢リスク、諸々の市場の信用悪化リスク、そしてインフレ長期化リスクは、従来よりかなり高まったと考えている。

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