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風まかせ文芸部 『みかん』

この冬は、こたつを使わなかった。
何となく、エアコンで乗り切ってしまった。
こたつテーブルの上には、いろんなものが乗っているので、その下にこたつ布団を差し込むのが面倒だった、まあそれくらいの理由。
それくらいの理由で、猫達はこの冬の居場所を探して奔走していた。
イイ迷惑だな。申し訳ない。
まあそのおかげで、暖を求めて擦り寄ってくることも増えたし、こたつ布団の中に隠れてしまい冬の生態が見れないこともなかった。
でもまあ、イイ迷惑だな。申し訳ない。

本来なら、こたつテーブルの上をちゃんと片付けて、その真ん中にみかんを積んだお皿でも置いておくのが冬の正解なんだろう……たぶん。
何しろ、絵になる。
ああ、冬の団らんのひとコマだなあ、って気持ちになる。
少なくとも、テーブルの上が乱雑にモノで溢れているよりは。
故郷の実家のこたつテーブルはそんな感じだったな。
ならば我が家も、とは思うが、現代社会はモノが多すぎる。
テーブルなんてものが部屋の真ん中にあれば、家族それぞれが思い思いにモノを積み上げてゆく。
……みかんではなく。

もうすぐ冬が終わる。
猫にとっては僥倖だろう。
季節の概念があるとは思えないが、暖かさをを求める流浪の民であることには違いない。
こたつの中、ストーブの前、陽のあたる縁側や出窓。
それらの場所を陣取らなくてもいい季節がやって来る。
テーブルの上のみかんを実現出来ないまま、季節を越えることになるが、それはまあいい。
そもそも、そんなにみかんを食べる方でもない。
冬の風物詩として駆り出してみたまでだ。

……なので、みかんで話を広げるのはこれくらいが限界かも。
まさに風まかせな散文だが、冬の情緒をこたつの上のみかんに感じる、という想いは伝わっただろうか。
それが伝わったのなら本望だ。
こんなモノでも書いた甲斐があったと言えるだろう。
まさに、未完の作品として。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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