短編小説 教室の幽霊
教室には、幽霊が出るという噂が流れていた。
「この動画、前にも見たな。」
私は、教室でスマホをスクロールすると夏の暑さに服装も髪型もだらしなくうなだれた。
「なんだ、食べるのかと思った。」
後ろから幸太の声が聞こえてきた。
「勝手に人のスマホを覗くな。」
「ごめんごめん。いや、その娘がその本を食べるかと思ってびっくりして。」
「何それ?」
「いや、よくあんじゃん食べたあとほんとはチョコでできてましたーとか。」
「あー、テレビの見過ぎじゃん?頭の中で予測変換したんだろうね。」
「あー、普通のことを考えなきゃだな俺…。」
すると、幸太と話す私にリサが駆け寄ってきた。
「これ。」
リサは、クッキーを持っていた。
「えっ?俺にくれんの?」
「ああ、ごめん。幸太にじゃないんだ。」
「ああ、なんだ。里香にか。頭の中で予測変換しちまった。」
「幸太、それは自意識過剰なだけだよ。頭の問題ではない。」
「じゃあ、何?」
「心の問題。もっと、ダンディーな心になりなさい。」
「けっ、なんだよ。」
「あっ、すねた。」
幸太は、どこかに行ってしまった。
リサは
「なんか、だめだった?」
と私にいうと、クッキーを手渡した。
「これ、わたしに?」
「そう、作ってあまったから。」
「ありがとう、あとで食べるね。」
「リサ、幸太はリサがすきなんだよ。」
リサは、キョトンとした顔をした。
「そんなことないよ。」
「絶対そうだって。」
「いいの?」
私は、その声に目を覚ました。
どうやら、授業は終わっていた。寝てしまって、誰も気が付かずにみんな下校したみたいだ。
すると、ひたひたっと水の滴る音が聞こえてきた。
すると、足がすっと見えた。
「もしかして。」
私の目の前に今日子が現れたのだ。
私は、春に親友を亡くしていた。
病気だった。最後には立ち会えず、親類でもない私は最後に手紙をもらった。
「どうしてたの?私、一人だったんだよ。」
「ごめん、里香。」今日子がさみしそうにこちらをみた。
私は、今日子がすきだった。好きな今日子の事を考えていると私はだんだんと今日子になってしまっていた。
今日子の、性格、今日子の人柄。
私は、今日子の手をつなぎ廊下を走ると屋上へ向かった。
すると、職員室のまえで先生が私を止めた。
「りか、おまえは里香だ。忘れるな。」
それでも、私は今日子と手をつなぎ走って屋上に来た。
今日子と、クッキーを食べながら前のように話をする。
ポロポロと、クッキーの粉を落とす今日子が可愛くて私はずっと今日子に、話をした。
「里香、それなに。手に持ってるの。」
「クッキーに入ってたの。」
「フォーチュンクッキー?何書いてるの?」
「好きな人と話ができるだって。」
「うん。」
そう言うと、今日子の体はスッと消えた。
「いっちゃった。」
囚われた籠の中に私達だけがいたあの頃。あの夏にはもう二度と戻れないのだろう。
