Honda FCは変わらないーー勝ち点「4」の実験世界
青天の霹靂
「90分以内勝利時、勝ち点4」。
正直目を疑った。誤植かとさえ、思った。
しかし思えば30数年前、勝ち点といえば「2」だった。
そこから延長勝利や、引き分けの価値を踏まえて、「3」に変わった……と、筆者は記憶している。
そして長らく、少なくともサッカーにおいては「3」が常識だった。
今回JFL CUPは、その常識を覆した。
90分勝利の価値を高め、よりアグレッシブな終盤を生み出す。
たとえば1-0で迎えた80分台。どの戦略を取るのか。
相手を挫くべく、2点目を取りに行くか?
それとも相手の攻勢を弾き返すべく、守りを固めるか?
この選択一つでも、チームの性格が出るだろう。
Jリーグでさえ取り入れなかったこのシステム、日本サッカー界に転機をもたらす可能性さえあるかもしれない。
とはいえ、JFL CUPはこの半年限りの大会。大きな期待は禁物だ。
むしろHonda FCファンとしては、この大会にHonda FCがどう挑むかの方が気に掛かる。
そういうわけで、少しだけ予想を立ててみたい。
筆者は昨今門番論、あるいは、Honda FC論めいたものばかりを書いている節がある。
だが今回は、ミニマムな制度の揺らぎから見た話となる。少しばかり、お付き合い頂ければ幸いだ。
Honda FCの目指すもの
細かいことは省きたいので、まずはリンク先を見て欲しい。
Honda FCは例年と変わらずJFL優勝を目標に掲げ、JFL CUPについても全くブレる様子はない。
そしてJFL CUPでは「5勝以上」を目標としている。
勝ち点目標になっている「16」は、おそらく「勝利時3点」が前提だ。
よって今回の方式では、単純計算で「21」以上が目標となるのだろう。
ここから予想できる事実は、わかりやすい。
「少なくとも2026年の間は、Honda FCにブレる予定は全くない」。
実に明快。
新人が6人となり、長きに渡ってHonda FCを支えて来た柱石を見送ってなお。
Honda FCは、自身の宿命ーー勝利に向き合うのだ。
恐ろしい。実に恐ろしい。
JFL CUPは、この半期限りの大会だ。二度と開かれない。
優勝しても、おそらくは名誉と賞金しかない。
仮に最下位になったとしても、降格はない。
一般のチームであれば、新人が多くなった時点で育成に振り切っても良いだろう。
抗議の声も、少ないはずだ。
だがHonda FCは、違う。
登録選手25人のうち約4分の1を新人が占めるにもかかわらず、高らかに優勝を目標としている。
もっとも、近年のHonda FCはスタートダッシュが遅い傾向がある。新人育成も、視野に含んでいるからだろう。
そしてこれは完全に外野の予測だが……今回も彼らにそこを曲げる予定はないだろう。
一度だけ見ることができた練習試合でも、多くの選手を繰り出していた。
育成と勝利の両天秤。傍目から見ても厳しい道を、彼らは行く構えなのだ。
とはいえ、敵多し
しかしながら、コトは冷静に見なければならない。
今回配置されたJFL CUP西グループには、いずれ劣らぬ難敵が揃っているのだ。
FCマルヤス岡崎。かつてHonda FCをJFL4連覇、天皇杯準々決勝にまで導いた男、井幡博康監督。今は難敵が一人として、Honda FCを睨み付ける。
2020年にHonda FCの5連覇を阻止したチームは、今季も強かにHonda FCの前へ立ちはだかるのか。ヴェルスパ大分。
今季新たにJFL昇格を決めた、Honda FCとはまた異なる形での門番を目指す可能性が高い実業団チーム、ジェイリースFC。
高い残留力と強かなサッカーでJFLに踏み止まる宮崎の不死鳥。ミネベアミツミFC。今季は既に、練習試合でHonda FCの足元をすくっている。危険なチームだ。
ここに列挙は避けたが、ヴィアティン三重、ティアモ枚方、そして沖縄SV。
いずれのチームも、それぞれの武器でもってHonda FCの首を狙っている。油断はできない。
確かに、昨季の順位や成績だけを勘案すれば、恐るるに足らないかもしれない。Honda FCが1位で、他はその下だからだ。
だが同時に、「見くびってはならない」も成立する。
わずかな見下しが穴となり、致命的な勝ち点損失に繋がるーー2025年天皇杯の福井ユナイテッド戦などで、味わった展開だ。こんな衝撃は、減らすに限る。
そして自身のグループラウンドはともかく、東グループの展開にも目を配らねばならない。
昨季J3から退会となった同県の競合者、アスルクラロ沼津をはじめとして、こちらもいずれ劣らぬ難敵揃いだからだ。
つまるところ、話は著しく簡単だ。
Honda FCは、例年と変わらず気が抜けない。短期決戦が故に、なおさらだ。
無論、Honda FCに油断はないだろう。私は、信じている。
だが信じるのと同じくらいに、警戒せねばならない。
盲目的ではなく、正しく信じる姿でありたい。私がそう、思っているからだ。
信じることは、簡単である。だが、正しく恐れ、その上でなお信じることは難しい。
信仰とは、ややもすれば盲目的となり、排他的になり得るからだ。
私はそれを恐れる。だからこそ、今年も行ける限りは都田へと向かうのだ。
勝ち点「4」の実験世界。
PK導入の決戦世界。
されど、Honda FCは揺らがない。
ーーHonda FC、信じてるからな。
