読書感想『就職氷河期世代 データで読み解く所得・家族形成・格差』
著:近藤絢子
中公新書
2024年10月25日発行
「失われた30年」と言われるように、つい最近まで日本はバブル崩壊以降、物価がデフレの状態で、経済は停滞してきました。
本書では、「失われた30年」のうち、大学高校卒業した年代によって世代分けを行い、国勢調査など各種統計データをもとに詳細に分析した書籍です。
具体的な世代分けは以下の通り。
1987~92年卒 バブル世代
1993~98年卒 氷河期前期世代
1999~04年卒 氷河期後期世代
2005~09年卒 ポスト氷河期世代
2010~13年卒 リーマン震災世代
私は2002年大学卒なので、氷河期後期世代に当たります。
ど真ん中ですね。
私自身は無事就職できて、20年間安定した生活を送ってきましたが、4年前の2022年に諸事情により退職し、以降無職、2025年から生活保護を受給しています。
最近は人手不足、売り手市場ということで、就職に困ることはないようです。
大卒初任給もかつてないほど高まっており、氷河期がウソのようです。
企業経営者のマインドもかなり変わってきてるんじゃないかな、と考えています。
さて、本書では、豊富な公式データを分析していくつもの図表を用いて就職氷河期世代の恵まれなさを読み解いています。
非正規雇用はこの30年でどの世代においても右肩上がりを計測し、就職氷河期前期・後期世代は一段年収が低い状態となっていることがデータから明らかにされています。
また、これは意外な結果と感じましたが、子どもの出生率は2005年を境に上昇していること。
一時、出生率が1.4まで上昇している時期がありました。このことは、氷河期世代の低い年収における婚姻の数の減少のイメージとは逆の事実が解説されています。
女性の就職率が低かったことで、家庭に入って子育てに専念してきた、ということが想像されます。
しかし現在は年間に生まれる子供の数が70万人まで減少するなど、今度はコロナやインフレの影響によるものなのかわかりませんが、再び出生率は減少傾向に逆戻りしてしまっています。
この30年で顕著なのが、世代による所得の格差。
年収の分布がバブル世代よりも氷河期世代は明らかに広がっていて、全体的に氷河期世代は低年収であることがデータで解説されています。
また、若い世代のニートや非正規雇用者、無業者などの割合が増えている傾向はこの30年を通して持続しているようです。
といったように、就職氷河期世代について公的データから読み解いたのが本書です。
現在、この世代はすでに40~50代に差し掛かっています。今後、この世代に対する手当てが必要なことは、先の選挙ではあまり争点になっていませんでした。
危機感はどの政党も共有しているでしょうが、具体的に就職氷河期世代向けに「現金給付」するなどして手当てすべきと、個人的には考えています。
そのひとつの手段として、給付付き税額控除の導入が本書では提案されています。
現実的な低所得者支援策としての「給付付き税額控除」。
国民会議とやらで議論され始めていますが、その行方はどうなるのでしょうか。
時間はまったなしでどんどん進んでいきます。
日本の政治の問題点として、スピード感が足りないこと。
100点の制度なんて最初から作るのは無理なんですから、60点でも構わないので早く始めるべきだと思います。
所得税の基礎控除が30年間そのまま放置されていて、最近になってようやく現状を反映させる政策が実現しました。
古い考えとデータをもとに作られてきた各種法律制度を、全面的に見直すべきだと思います。
時代は変わっているんですよ。
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