【保存版】なぜ平均動脈圧を見るの?「血圧=ナースの忙しさ」で例えたら謎が解けた
こんにちは、Nemo訪問看護師です
ショックとは、「血圧が下がったらショック」、「とりあえず収縮期血圧(上)が90あればOK」そんなふうに思っていませんか?
実はこれ、急変対応において一番危険な誤解かもしれません。
今日は、少し難しく感じる「血圧」「平均動脈圧(MAP)」そして「ショックの本質」について、私たちの毎日の病棟業務に例えて解説してみます。
このイメージを持つだけで、モニターを見る目が劇的に変わるはずです。
1. 血圧は「ナースの忙しさ」そのもの
まずは、循環の仕組みを病棟の業務に置き換えてみましょう。
• 心臓 = あなた(看護師)
• 血管 = 病棟の廊下
• 血液(酸素・栄養) = 患者さんへの食事(配膳)
• 全身の細胞 = 入院患者さんたち
こう設定してみると、血圧の意味がスッと入ってきます。
① 収縮期血圧(上の血圧)=「午前9〜12時」
心臓がギュッと収縮する、一番圧力が高い瞬間です。
• 現場で言うと:
「オムツ交換、清拭、お風呂出し、検査だし、インスリン、経管栄養などをする午前時のラッシュ」
ナースコールも鳴り止まない、廊下を猛ダッシュしている状態です。
すごい熱量(圧力)でケアを行っていますが、この全力疾走は一瞬しか続きませんよね。
② 拡張期血圧(下の血圧)=「ステーションでの記録・待機」
心臓が拡張して、次の拍動に備えている時間です。
• 現場で言うと:
「ステーションに戻って記録を入力したり、片付けしたり、翌日の点滴を準備・確認」
走り回ってはいませんが、「休憩」ではありません。モニターのアラームに耳を澄ませ、急変があれば即座に動けるよう待機している「緊張感を保ったデスクワーク」です。
もしここで完全に寝てしまったら(拡張期血圧ゼロ)、患者さんの異変に気づけず、病棟の機能は止まってしまいます。

2. なぜ「平均動脈圧(MAP)」を見るの?
「上(収縮期)さえ保たれていればいいじゃん」と思いがちですが、ここで「時間のルール」が効いてきます。
1日の勤務時間のうち、走り回っているラッシュ時間(収縮期)は約1/3。
記録や見守りの時間(拡張期)は約2/3を占めます。
つまり、患者さん(細胞)にとって大事なのは、一瞬のすごい勢い(上)よりも、「いつ呼んでも、夜中でも、一定のレベルでちゃんと対応してくれること(平均動脈圧)」なんです。
平均動脈圧(MAP)は、以下のようなイメージです。
MAP ≒ 記録中の緊張感(下) + (ラッシュ時の忙しさの余韻)
現場のベースとなる力は「下」の時間の方が長いので、平均動脈圧は「下の血圧」に近い数値になります。

3. ショックの本質は「配膳ミス」
ここからが本題です。
「血圧が下がること = ショック」ではありません。
ショックの定義を現場風に言うとこうなります。
現場が回らなくなり、患者さん(細胞)に食事が届かず、つまり酸素が届かず低酸素症で悲鳴を上げている状態。
4. 現場で見る「ショックの進行」3ステージ
この「配膳システム」が崩壊していく様子を見てみましょう。
ステージ1:代償期(まだ血圧は下がっていない)
• 状況: 人手が足りなくなり始めました。
• ナース(心臓): 「やばい!急げ!」とバタバタ走り回ります(頻脈)。
• 血圧: 廊下を猛ダッシュしているので、勢い(上の血圧)は正常か、むしろ高く見えます。
• 患者(細胞): 「あの、食事まだですか…?」と少し酸素不足になり始め、手足が冷たくなります。
【ここが一番怖い!】
ここで「血圧ヨシ!」と安心してはいけません。廊下でナースが走っているだけで、病室の患者さんはすでに飢えています。
ステージ2:非代償期(いよいよ血圧低下)
• 状況: 限界突破です。
• ナース(心臓): 「もう無理…動けない…」とペースダウンします。
• MAP低下: ワゴンを押す持続力がなくなり、平均圧(MAP)がガクッと下がり、65mmHgを割ります。
• 患者(細胞): 食事が完全に届かなくなります。
• 脳への配膳ストップ → 意識レベル低下(不穏・傾眠)
• 腎臓への配膳ストップ → 尿が出なくなる(無尿)
ステージ3:不可逆期(細胞死)
• 状況: 食事が来ないので、患者さんたちが次々と倒れていきます。
• 細胞の反応: 酸素という「正当な食事」が来ないので、隠し持っていた非常食(解糖系)を食べ始めますが、その代償として大量のゴミ(乳酸)が出ます。
• 乳酸値の上昇: これは、現場が荒れ果ててゴミだらけになっている証拠です。
4.まとめ:数字の「向こう側」を見よう
ショック管理とは以下のようになります。
1. 「どれだけナースが走り回っているか(血圧の数値)」だけで安心しない。
2. 「実際に患者さんがケアを受け取れているか(細胞への酸素供給)」を確認する。
だからこそ、私たちは血圧計の数値だけでなく
• 平均動脈圧(MAP): ワゴンを押し続ける力は保たれているか?
• 尿量・意識・皮膚: 実際に食事は届いているか?
• 乳酸値: 現場にゴミは溜まっていないか?
これらを総合的に見て、「その先の細胞」をイメージすることが大切なんですね。
血圧低い=ショックではない
細胞に酸素足りて無い=ショックである

明日からの観察に、少しでも役立てば嬉しいです。
今回の参考文献は以下です。血圧以外の事が沢山記載されています。今より深い学びを得たい方には是非お勧めです
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