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私は3年間リスキリングした。それでも報われなかった。AI時代の「学び直し神話」に思うこと

さて、この話のつづきでござる。

前回の記事で、私はAIエリートたちが語る

「AIによって人間はより創造的で価値の高い仕事に集中できる」

という言葉に違和感を覚えると書いた。

今回は、その続きである。

なぜ私がその言葉を素直に信じられないのか。

それは、私自身が実際にリスキリングをやったからである。

「だったら新しいことを学べばいい」

AIによって仕事が変わる。

すると必ず出てくるのが、

「新しいスキルを身につければいい」

という話だ。

確かに理屈としては分かる。

時代が変わるのだから、新しいことを学ぶ必要はある。

私もそう思った。

だから行動した。

2022年11月、私はパソコンを買った

2022年11月。

私はパソコンを購入した。

それまで私はITエンジニアではない。

プログラマーでもない。

バリバリ文系の人生を50年生きてきた。

しかし、

これからはデジタルの時代になる。

AIの時代になる。

そう考えた。

そこで私は新しい世界へ飛び込むことにした。

メタバースの世界に挑戦した

2023年春ごろから、

私はSpatialというメタバースプラットフォームの勉強を始めた。

Unityも学んだ。

3D空間の作り方も学んだ。

試行錯誤しながら作品も作った。

分からないことだらけだった。

エラーも出た。

思うように動かないことも多かった。

それでも続けた。

1か月ではない。

半年でもない。

3年間である。

もしAIエリートが言うように、

「創造的な仕事」

というものがあるなら、

これは間違いなく創造的な活動だったと思う。

私は口だけではなかった

ここは強調したい。

私は、

「AIは嫌だ」

と言って何もしなかった人間ではない。

私は、

「時代についていけない」

と言ってテレビを見ながら文句だけ言っていた人間でもない。

実際に勉強した。

実際に挑戦した。

実際に時間を使った。

実際にお金も使った。

だからこそ言えることがある。

リスキリングは決して簡単ではない。

そして2026年7月、Spatialは終了する

ところが今年、

Spatialはサービス終了となった。

私はしばらく呆然とした。

もちろんUnityの知識がゼロになるわけではない。

3D空間の考え方も残る。

学んだ経験そのものが無意味だったとは思わない。

しかし現実問題として、

Spatialで身につけた知識の多くはSpatial固有のものである。

別のプラットフォームへ行けば、

また違うルールを覚えなければならない。

また違うSDKを覚えなければならない。

また最初から学び直しである。

リスキリング神話の落とし穴

世の中には、

リスキリングを語る人がたくさんいる。

だが、その多くは一つの前提を置いている。

学んだスキルは将来も価値を持ち続ける。

という前提である。

しかし現実は違う。

技術は変わる。

プラットフォームは消える。

企業は撤退する。

サービスは終了する。

せっかく学んだことが数年で価値を失うこともある。

それは本人の努力不足ではない。

技術革新そのものの宿命である。

「勉強すれば成功する」は本当か

私が疑問に思うのはここだ。

AIエリートは、

勉強する。

スキルを身につける。

価値の高い仕事に就く。

成功する。

という一本道の物語を語る。

しかし私が経験した現実は違う。

勉強する。

スキルを身につける。

プラットフォームが終了する。

また勉強する。

である。

成功どころか、

スタート地点そのものが移動してしまう。

サーカーにたとえるなら、

必死にドリブルして、敵のタックルの嵐をかわして、
やっとゴールポストの前にたどりついて、
シュートを打とうとしたら、
ゴールポストそのものが消滅
して、

これからベースボールをやってください

と言われたようなものである。

50代前半団塊ジュニア世代の現実

20代ならいい。

失敗してもやり直せる。

別の分野へ移る時間もある。

しかし50代前半は違う。

人生の残り時間は有限である。

体力も無限ではない。

親の介護問題もある。

健康問題も出てくる。

だからこそ、

「どんどん学び直せばいい」

という言葉を聞くと、

本当にそんなに簡単かと思うのである。

私が言いたいこと

私は学ぶことを否定しているわけではない。

むしろ学ぶことは大切だと思う。

だからこそ私は3年間挑戦した。

しかし、

リスキリングは万能薬ではない。

努力すれば必ず報われるわけでもない。

学んだ分野そのものが消えることもある。

人生には運もある。

市場の変化もある。

技術の流行り廃りもある。

その現実を無視して、

「勉強しない人が悪い」

という議論をするのは違うと思う。

本当に必要なのは何か

私たちに必要なのは、

リスキリングさえすれば全て解決するという神話ではない。

変化の激しい時代において、

学び直しても失敗することがある。

挑戦しても報われないことがある。

そうした現実を前提にした社会の仕組みである。

AI時代に必要なのは、

勝者の成功談だけではない。

挑戦したけれど報われなかった人の経験から学ぶことではないだろうか。

私は3年間リスキリングした。

そして報われなかった。

だからこそ今、

「学び直せば大丈夫」という言葉を聞くたびに、本当にそうだろうかと考えてしまうのである。


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