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富国強兵のジレンマ――AIは強兵には必要だが富国にはならない。国益の観点からは常識と逆だった。

1. AIは「強兵」には必要

現代の軍事技術はAI抜きでは成立しなくなりつつある。

  • ドローン

  • サイバー戦

  • 情報戦

  • 衛星画像解析

  • 自律兵器

  • 兵站最適化

これらはAI技術と密接に結びついている。

仮に一国だけがAI開発を止めても、他国が開発を続ければ軍事的に不利になる。

そのため国家は嫌でもAIを導入せざるを得ない。

これは冷戦期の核開発競争に似ている。

「好きだからやる」のではなく、

「やらなければ負けるからやる」

という理屈である。

したがって強兵の観点からはAIは必要悪である。

もはやAIは明確に我が国安全保障上の脅威である。

もはや、AIぬきの国防は成り立たない。

最近のクロードミュトスによるサイバーセキュリティの懸念がその例である。
こうしたAIによる国家安全保障上の脅威はこれからますます増えるだろう。


2. AIは富国を破壊する(このnoteの主張のポイント)

しかし問題は富国である。

国家の豊かさとはGDPだけではない。

国民が所得を得て消費し、税金を払い、家庭を作ることで維持される。

ところがAIは労働代替技術である。

蒸気機関が筋肉を代替したように、

AIは知的労働を代替する。

その結果、

  • 翻訳

  • 事務

  • 経理

  • 法務

  • プログラミング

  • デザイン

  • ライティング

などの職業で需要が減少する。

新たな雇用が生まれるとしても、

失われる雇用の総量を補える保証はない。

結果として中間層の所得が減る。

AIエリートは、

「俺たちが新しい雇用を作ってやるから、俺たちに雇ってもらえるようにリスキリングしろ」

簡単に言う。

いや、今までの全人生を否定されたダメージから回復して
リスキリングの努力をできるほど、人間は強くない。

それに、その新しい雇用の求人は、まだハローワークにはない。

つまり、AIに雇用を奪われるのは今日明日の現実。

新しい雇用にパイにありつける保証はなんかどこにもない。

たぶん、5年から10年間の空白期間が生じる。

それに、最近のAI関連のニュースを見てると、
アメリカのビッグテックほど、

「これからは人への投資よりもAIへの投資を優先します」

と言って、大規模な人員削減をしましたというニュースが目につく。

ハッキリ言って、「AIによって新しい雇用が生まれる」というAIエリートの主張は信用できない。
当のAIを推進しているビッグテックのITエンジニアがリストラの恐怖におびえているみたいだから。


3. 消費社会そのものが縮小する

経済は消費で回る。

企業が利益を得るのも、

国が税収を得るのも、

最終的には国民の消費が存在するからである。

しかしAIで人件費を削減しても、

国民の所得も同時に減る。

すると、

国民の可処分所得が減るから、消費が減る。

  • 車が売れない

  • 家が売れない

  • 旅行しない

  • 外食しない

という状況になる。

企業は生産能力を持ちながら買い手を失う。

これはフォードが高賃金を払った理由と同じである。

従業員が顧客だからだ。

AIによって顧客自身が貧しくなれば、

経済全体は縮小均衡へ向かう。


4. 富が一部のAI資本家へ集中する

AIの特徴は規模の経済が極端に強いことである。

巨大モデルを作れる企業は限られる。

すると、

利益は

  • 巨大テック企業

  • データセンター所有者

  • 半導体企業

  • 投資ファンド

へ集中する。

一方で一般国民は所得を失う。

仮に100歩譲ってAIエリートが主張するように国家全体のGDPが増えたとしてても(私はGDPが減ると思う)、

国民の大多数は今より貧しくなる。

「国家は豊かになったが国民は貧しい」

という状態が発生する。

4-2 国の税収が減る

AI導入によって多くの人が雇用を奪われる

→国民の可処分所得が低下する

→国民の消費が低下する

→企業はAIによって生産性を向上しても、売上は増えない。

→国のGDPが減る。

→所得税の税収も消費税の税収も減る。

財務省が黙っていないだろう。
財務官僚の皆さん、はやく気づいてね。

財務官僚の皆さん、国民から嫌われてたいへんですね。
少しでも嫌われ者のイメージをAIエリート転嫁するチャンスですよ。


5. 人間の尊厳の喪失

ナショナリズムは経済だけではない。

共同体意識にも支えられている。

人間は

「社会の役に立っている」

という感覚を必要とする。

しかしAIが

  • 自分より賢い

  • 自分より速い

  • 自分より安い

となれば、

多くの人は存在意義を失う。

仕事とは所得源であるだけでなく、

社会参加の手段でもある。

その役割が失われれば、

孤立
無力感
怒り

が拡大する。


6. 社会保障費が膨張する

AIによって多くの人が雇用を奪われ、失業者低所得者増えれば、

国家は支援を迫られる。

  • 生活保護

  • 失業給付

  • 職業訓練

  • ベーシックインカム

などの支出が増える。

つまり、

AIで民間企業は人件費削減に成功しても、

そのコストの一部は国家財政へ転嫁される。

企業の利益増加と引き換えに、

政府の負担が増える構図である。


7. ナショナリズムの敵が外国人からAIエリートへ変わる

歴史的にナショナリズムが勢いを持つとき、

国民は

「自分たちを苦しめている存在」

を求める。

これまでは

  • 外国

  • 移民

  • 国際金融資本

がその対象だった。

しかしAI時代には、

有権者の怒り

「AIを推進したエリート」

へ向かう可能性がある。

人々は

「俺たちの仕事を奪ったのは外国人ではなくAIだ」

と考える。

すると従来型ナショナリズムは機能しなくなる。

ナショナリズム政治家の皆さま、有権者の支持を失いますよ。


8. 国家への忠誠心が弱まる

近代国家暗黙の契約で成り立っている。

国民は税金を払う。

国家は雇用と生活を守る。

ところがAI社会で

  • 働いても報われない

  • 子育てできない

  • 家が買えない

となれば、

国家への忠誠心そのものが低下する。

国民国家の正統性

「国民の生活を良くすること」

に依存しているためである。


9. 出生率低下がさらに加速する

仕事の不安定化結婚率低下を招く。

結婚率低下は出生率低下を招く。

人口減少は

  • 内需縮小

  • 税収減少

  • 地方衰退

を加速する。

つまりAIによる雇用破壊は、

長期的には国家の人口基盤そのものを弱体化させる可能性がある。


10. 富国強兵の順番が逆転する

明治日本の富国強兵は、

まず富国があり、

その結果として強兵が成立した。

しかしAI時代は逆である。

国家は軍事競争のためにAIを導入する。

だがその副作用として、

国民の所得
共同体
出生率
中間層

が弱体化する。

つまり、

「強兵のために導入した技術が、富国の土台を侵食する」

という逆説が生まれる。

AIは「国家の安全保障上は必要だが、放置すれば国民国家の社会的基盤を掘り崩す技術」であり、
政策課題は「AIを導入するか否か」ではなく、
「AIの利益をどう再分配し、中間層をどう維持するか」
になる。

そしてなによりも、

国益の観点から、
どの分野にAIを導入して、どの分野にAIを導入しないか、どの分野の規制を強化するかの切り分けが必要である。


追加パート 国益の観点からは常識と逆だった

(2026年6月16日午前10時追加記載)

私は没落したとはいえ元キャリア官僚だ。

だからこそ、今の自分には二つの視点がある。

一つは、失業や生活不安に直面する普通の市民の視点である。

もう一つは、国家運営を考える側の視点である。

今回の考察では、あえて後者の立場に立ち、「国益」という観点からAIについて考えてみた。

すると、一つの違和感に気がついた。

現在のAI業界では、

「AIの軍事利用は悪であり、民間利用は善である」

という価値観が支配的である。

しかし、国益という観点から考えると、むしろ逆なのではないか。


AIは間違いなく我が国の安全保障上の必需品である。

間違いなくAIは我が国安全保障上の脅威である。

もはや、AIぬきの国防は考えられない。

現代の戦争は、もはやAIなしでは成立しない。

サイバー防衛、情報分析、無人機運用、電子戦。

国防のあらゆる分野でAIの重要性は増している。

近年問題となった海外AI企業ミュトスによるサイバーセキュリティ上の懸念も、その一例だろう。

これから先、国家安全保障とAIをめぐる問題はさらに増えていくはずだ。

好き嫌いは別として、国防のためにAIは必要である。

これは認めざるを得ない。


しかし、問題はその先である。

AI推進派はしばしば、

「AIは生産性を向上させ、国を豊かにする」

と主張する。

だが、本当にそうだろうか。

国民国家の観点から見ると、私はむしろ逆の可能性を感じている。

AIは既存の雇用を大量に奪う。

もちろん新しい仕事も生まれるだろう。

しかし、その新しい仕事が十分な規模になるまでには長い時間がかかる。

その間に発生する空白期間は、おそらく数年では済まない。

場合によっては10年近く続く可能性もある。


雇用を失った人々は所得を失う。

所得を失えば消費が減る。

消費が減れば企業の売上が減る。

企業の売上が減ればGDPも伸びない。

GDPが伸びなければ税収も増えない。

つまり、

AIによって企業の生産性が上がったとしても、

国民全体の所得が減れば、

国家全体としては豊かにならないのである。


さらに深刻なのは財政問題だ。

失業者低所得者増えれば、

生活保護

失業給付

職業訓練

住宅支援

医療支援

といった社会保障関連支出が増加する。

近年議論されるベーシックインカムも、その延長線上にある。

つまりAIによる効率化で企業は人件費を削減できるが、

そのコストは最終的に国家財政へ転嫁される。

民間企業の利益が増える一方で、

国の負担は増える。

これは本当に国益なのだろうか。


さらに国民国家の根幹を考えるならば、

問題は経済だけではない。

人間は所得だけで生きているわけではない。

働くことによって、

社会の役に立っているという実感を得ている。

家族を養う誇りを持っている。

地域社会とのつながりを持っている。

もしAIによって、

「あなたの仕事はもう必要ありません」

という人が大量に生まれたらどうなるのか。

それは単なる失業問題ではない。

人間の尊厳の問題になる。


そして最後に政治の問題がある。

ナショナリズムが支持される背景には、

「自分たちの生活を守ってくれる」

という期待がある。

しかしAIによって生活が苦しくなったとき、

有権者はこう考えるかもしれない。

「俺たちの生活を壊したのは外国人ではない」

「俺たちの仕事を奪ったのは移民ではない」

「俺たちを貧しくしたのはAIを推進したエリートたちだ」

と。

そうなれば、政治的な怒りの矛先は外国ではなく国内のAI推進層へ向かう。

すると、今のナショナリズム政治家は、有権者の支持を失う。


私はAIを全面否定しているわけではない。

国家安全保障の観点から見れば、AIは必要である。

しかし国益という観点から見たとき、

AIは「強兵」には貢献しても、

「富国」にはつながらない。

むしろ放置すれば、

中間層の衰退、

消費の縮小、

財政負担の増加、

民心の荒廃

を通じて、

国力そのものを弱体化させる可能性がある。

AIの本当の問題は、

導入するか否かではない。

AIによって生み出された利益を誰が受け取り、

その負担を誰が引き受けるのか。

そして、なによりも、

どの分野にAIを導入して、どの分野にAIを導入しないのか、

どの分野の規制を強化するのか

そこにこそ、国家運営上の最大の論点があるのではないだろうか。

最後に 個別最適が全体最適にならないのは世の常である。AIエリートの主張をうのみにするな。

たしかに、AIエリートが主張するように、AIが個別の問題を解決することはありえる。

しかし、国益という観点から国家全体を見た時に、

国家がAIエリートの主張をうのみにすると、上で述べたように、

個別最適が全体最適とならず、国益を損なうことになる。


近藤は思った。

拙者は、フランス人のように個人主義で芸術家肌の水瓶座だから、
富国強兵のスローガンって、あんまり好きじゃないんだけど、

先日の日曜討論で、
拙者から英語通訳の仕事を奪ったAI専門家が「共感力が大事」と言ってるのをみて激怒した。

富国強兵のスローガンより、傲慢なAIエリートのほうが許せない!

拙者は、「AIに雇用を奪われる」被害にまっ先に遭った人。

そのうち、多くの人が、拙者の言うことを理解するようになるだろう。

すでに、

AIに自分の仕事を奪われるのではないか


という不安を抱えている人は多いはずだ。

まあ、アメリカから攻めてきたわけだけども、

日本国内でそういう社会の空気を作っている人たちって、
日本国民全体の中で1割にも満たない人たちだということに気づくべきだ。

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