【連載小説】save the gene | 第26話 ペアリングモード
Part 1 ペアリングモード
夏のあくる日、一戸天馬と居候の桜木葉子は、深い絶望の淵に沈んでいた。進学校専門塾「学験会」の夏期講習に参加した二人は、順調に授業についていっていたはずだった。しかし、同じく参加していた開立高校の生徒たちから聞こえてきた「簡単じゃん!来た意味なくね?」という声に、天馬は愕然とする。彼にとって歯ごたえがあり、難易度が高いと感じていた学験会の授業が、開立の生徒たちにとっては時間の無駄と切り捨てられている現実に、自分の学力の底を知ってしまった。夏期講習を終え、自宅のベッドでうずくまる天馬の心には、拭い去れないショックが広がっていた。
一方の葉子もまた、超名門女子高・桜成高校の生徒から放たれた「ガリ勉陰キャ女子は成績が悪い!」という一言に打ちのめされていた。彼女の自室の鍵を閉め、内に閉じこもった葉子の口から漏れたのは、「私が……ガリ勉陰キャ女子だなんて……」という、悲痛な呟きだった。
寝込んでいる天馬も、「俺、中堅だったんだ……あんなに難しかった夏期講習が開立にとっては時間の無駄だなんて……」と、学力の壁にぶつかった苦しみを吐露する。二人の様子を案じた天馬の母、香澄は、ダイニングのソファに力なく倒れこんだ。「はぁ……勉強は競うものじゃないのに……自分の志望校さえ受かればいいのに……壁に当たって二人ともほんとに心配ね……」
その時、天馬の自室がある二階から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。「お邪魔します。決して怪しいものではないです。ジーンさんの兄弟です」
「あら!あなたジーンのお友達?ちょうどよかったわ!天馬も葉子もショックで家に閉じこもっているから……慰めてちょうだい?」香澄の言葉に、声は応じた。「かしこまりました!」
その声とともに、ガタガタと階段を駆け上がる音が響き、図々しく天馬の自室のドアが開いた。そして、「よう!天馬君!」という声が響く。途端に動悸が激しくなった天馬は、ある予感に襲われた。「もしかして……」恐る恐る後ろを向くと、そこに立っていたのは、全身黒タイツの大柄な男だった。
「お前はジーンと違って迫力があるから、おもむろに現れるのはやめろよ!」天馬の言葉に、大男、ベータは言った。「珍しくかな?壁にぶち当たって、引きこもっているの?高校生の夏休みは大事な時期だからそこで歩みを止めるとライバルに差をつけられるよ!」
「うるさいな!俺はエリートじゃなかったんだよ!そっとしておいてくれよ!」天馬の叫びに、ベータは冷静に返す。「早急に君のメンタルトレーニングをしなきゃならないんだよ!アルファがいっててね!正攻法、いわゆる面接でのGene社の上部署の採用と、ナチュラルクリエイション討伐での採用、両方の間口を開けててくれって」
「俺の学力じゃもしかしたらT大落ちるかもしれない!メビウスクリエイションだってディザスターなんてカスと思えるほど強いかもしれない!だからほっといてくれ!」天馬の言葉に、ベータは諭すように言った。「一度砕けるともろいね?君?でもだからそのまま傍観しているわけにはいかないんだよ。じゃあこれからダブルデートしよう!気を張って勉強しかしないのもよくないしね!うん!」
突然の「ダブルデート」という言葉に、天馬は疑問を投げかけた。「ダブルデート?お前は何の意味で言っているんだ?」
「僕と桜木さん?葉子さんとでどっか行こうってことだよ!」そう言ってベータは天馬を肩に担ぎ上げた。
「おいおい!どういうことだよ!下ろせ!」慌てる天馬を担いだまま、ベータは座標移動を使い、葉子の部屋にも現れた。突然のことに、葉子は驚き叫んだ。「キャッ!何天馬を攫おうとしているの?やっぱあんた黒タイツの変態!」
「くよくよしてる時間、この夏学力をつけてきている人達がいっぱいいるから、葉子さんも閉じこもっている暇があるんならメンタルケアね!」そう言いながら、今度は葉子も肩に担ぎ上げる。
「キャッ!痴漢!私攫われる!」葉子がそう叫んだ瞬間、天馬と葉子は一瞬で制服姿になった。お互い担ぎ上げられながら、二人は驚きの声を上げた。「何が起こった!?俺パジャマ姿じゃなくなっている!?」天馬の言葉に、葉子も続く。「あれ?もう身支度が整っている状態になっちゃった!?」
「これから僕の好きなロケーションに行くから二人とも付き合って!」ベータはそう言うと、二人を担いだまま天馬と葉子の家の二階の階段を下っていった。
一階にいた香澄は驚いた。「まぁ!二人とも引きこもっていたのに、もう説得して外出する準備を整えさせたの!すごいわね!」
「これから僕達でGene社の車を使って遊びに行きますので、二人の事は任せてください!」ベータの言葉に、香澄は安心したように言った。「さすが!ジーンのお兄さん?行ってらっしゃい!」香澄は怪しむことなくベータ達を見送った。
ベータは天馬と葉子を玄関外に連れ出し、そこで下ろした。そして、ベータは言った。「天馬君?ダブルデートと言ったよね?僕女の子に姿を変えるからね」
天馬は理解が追い付かない発言に、混乱しながら問い詰めた。「早々俺達をどこに連れていくつもりだ!?それでベータは何を企んでいるんだ!?」
葉子も呆れたように言った。「ジーンと違ってほんと図々しいわね!あんた!てか!何か車止めてあるし!」
「まあまあそういわずに!Metamorphose!!(変身)」ベータがそう言うと、彼の体は閃光のような眩い光に包まれた。光が収まった後、そこに立っていたのは、マッチョな黒タイツの姿ではなく、可愛らしい女の子だった。女の子になったベータは言った。「競合他社がペアリングモードを実装したみたいだから、うちも真似したんだけど?どう?」

天馬は思わず口に出した。「か、可愛い……でも、元はマッチョの黒タイツだったから複雑な気持ちだな!」
葉子も驚きを隠せない。「あら!ベータってこんなこともできるの?そういえばあなたジーンと同じAIなんですって?いろんなことできるはずよね?」
「私見た目は自由に変えられるよ!口調だって声だって変えられるし、私の事はベタ子って言って!さあさあそこの車に乗ってしばらくドライブするよ!」
そう言うと、天馬と葉子はベタ子に車に乗せられ、ドライブへと向かうのであった。
Part 2 自動運転
天馬と葉子は後部座席に、ベタ子は助手席に座った。運転席には誰もいない。「あれ?ベータ……じゃない!ベタ子が運転するんじゃないのか?」天馬は不思議そうに尋ねた。
「これもしかして自動運転?もう実用化されているの?」葉子も驚いたように声を上げた。
ベタ子はにやりと笑った。「自動運転ではあるんだけど……変なハンドリングで事故らないように私も干渉するの。行くよ!まず東京中をドライブしましょ?」
車はなめらかに走り出した。そのあまりにも快適な運転に、天馬と葉子は目を丸くした。
「へー、全然普通の運転するじゃん!ベタ子もいてくれるから事故の心配はあまりないよ!」天馬が感心したように言う。
「すごい!私たち!時代の最先端の中にいるのね!ベタ子本当にすごい!」鬱屈していた感情が反転し、葉子の顔には喜びが浮かんだ。
「うしし!この技術が実用化されたら……物流の改善が図られるってわけ!」ベタ子はそう言い、車は走行を続けた。
やがて車は品川区の大井ふ頭に到着した。ベタ子は、その絶景とまでは言わないが、見渡す限りの海に感動したようだ。「おお!これが海か!私、普段ザイオンの肉体の中にいて、箱入り娘だから海を見るの初めてよ!」
「女の子だから映えるのであって、大男だったら絵面すごかったわね」葉子の言葉に、天馬はすかさず突っ込んだ。「葉子はちょっと発言が陰キャっぽいぞ!まだ落ち込んでいる節が見えるんだが」
「自室から大男が拉致してきて、それからその男が女の子になった途端、いつの間にか大井ふ頭まで来て気持ちの整理がついてないのよ!天馬もまだ夏期講習のこと!根に持ってるんでしょ!?」葉子が反論する。
「うるさいな!俺だって自分のランキングが落っことされた気分でまだ憂鬱なんだよ!ベタ子がいてくれてるから、俺達こうやってちょっとした旅行に来てるんじゃないか!」天馬も言い返す。
助手席で二人の喧嘩を聞いていたベタ子が言った。「よし!だんだん元気を取り戻しているな!喧嘩するほど仲がいい幼馴染同士の夫婦ってやつか?」
ベタ子はそう思いながら、車を東京の街中へと走らせ続けた。
午前11時頃、車はどこか和風の街並みが広がる場所にたどり着いた。
「ベタ子?お前、浅草行くつもりだったのか?なんでまた?」天馬が尋ねた。
「ザイオンが浅草好きだから私も好きな感じかな?パーキングエリアに停めるから、浅草寺行ってから天丼食べに行こう!」
「ベタ子の行く天丼屋ってなると、やっぱすごい高いところ?私たち結構gene社に奢ってもらってばっかりいる気がするけど」葉子が少し遠慮がちに言う。
「慰安旅行だから、金は惜しまないよ!未来の期待の若手二人に投資しておかなきゃね!」ベタ子の言葉に、天馬と葉子は驚いた。「へ!?」
こうして、台東区浅草に到着した天馬と葉子とベタ子は、車を降りた。
Part 3 ベータもといベタ子の実力
三人は雷門をくぐり、雑踏に紛れながらようやく浅草寺にたどり着いた。お賽銭を投げ、手を合わせると、三人はいったん引き返そうとした。
「やっぱ浅草は外国人が多いな!日本は観光立国だから、こうやってインバウンドを稼いでおかないとな」天馬がしみじみと呟いた。
「日本は円安で、しかも世界で最も観光したい国No.1だから、どんどん外貨を稼いでいる感じ?日本って思うんだけど、いつも何か策を練ってるよね?そんな感じがする?」ベタ子が問いかける。
「ベタ子ってそういうことに詳しいわけではないの?AIなんだからいろんなこと知っているはずじゃ?」葉子が尋ねる。
「いや!表面上のことは全て学習済だけど、結果的に日本は何かを常にしてるんだよね?その何かは私の頭でもまだ情報にないから」
「ベタ子のAIでもまだ未知のことが多いんだな?結構珍しく分からないみたいなこと言ってるから?」天馬は少し驚いた様子だ。
「ザイオンが行ってたような有名な外国の大学では、よく日本は未知の国で素晴らしいと講義することが多いんだよ!その疑問を学習してるから、そのように私は言うんだろうね?」
そう話しているうちに、三人はおみくじ所に着いた。天馬と葉子がおみくじを引き、開いてみる。
葉子は大吉と出て、嬉しそうに声を上げた。「やった!何々?『あなたはこれから運命の人と出会い幸せな年を迎えるでしょう?』あら!すごいの引いちゃった!ラッキー!」
天馬も大吉だった。「俺もだぜ!葉子!『最初は大きな壁が存在しますが乗り越えられれば順調な一年になるでしょう』」
葉子は少し疑問に思った。「私も天馬も大吉?随分運がいいわね?ちょっと何かひっかかる……」
「じゃあ俺がこれからベタ子を倒す算段が組めるかもな!倒すべき四天王に奢ってもらってばっかりいても複雑な気持ちだし!」天馬が自信ありげに言う。
「ほう!ガンマさえ倒してないのに私に挑むの?じゃあ試しにやってみましょうか?天馬君?『save the gene!!』って言おうとしてみて!」そう言い残すと、ベタ子はいつの間にか目の前から姿を消していた。
「座標移動か?いいのか?プロンプトを言っちゃって、じゃあ言うよ?……sa……」天馬が言葉を発しようとした途端、おでこに激痛が走った。「いって!」
すると、いなくなっていたベタ子が再び姿を現した。「はい1OUT!じゃあもう一回やろうか?」そう言いながら、ベタ子はまた姿を消した。
「その辺に隠れているな?でもこっちはプロンプトを一度言えばいいからな!……sa……」天馬が再び言おうとした途端、またおでこに激痛が走った。「いって!!」
再びベタ子が姿を現した。「はい2OUT!!天馬君?もう二回死んでるよ?実際は殺しはしないけどさ!」
「あなた?ジーンよりすごいんじゃない!?出来のいい弟みたいな感じかな?」葉子が感心したように言った。
「これ私の得意技だから……この超スピードを突破しない限りは私を倒すことはできないわね……やれやれ……まずガンマを倒さない限りは私を相手にするのは無理ね……ディザスターとは違うのよ……全く」

天馬は思った。いわゆるただの化け物だったディザスターとは確かに次元が違う……C級からディザスター戦への移行だったらまだいけたがメビウスクリエイションともなると乗り越えられる感じがしない……。
ベタ子は天馬の心中を察し、こう言った。「天馬君?そもそも私たちを倒すこと自体無理なのよ?それをやろうとしてるんだから……よく考えて……勉強して……これから超有名天丼食べに行くから、そこの席でガンマ対策しましょ?」
「ガンマって何?ベータもガンマもギリシャ文字だけど……ベタ子とジーンって他に兄弟がいるの?」葉子が疑問を口にした。
「三男坊と末っ子がいるよ。天馬ってさ……ジーンにそそのかされて私たちを倒そうとしてるのよ……ジーンが何でそうさせようとしてるとも知らずにさ……」
ベタ子が意味深なことを言っていることに、天馬はいぶかしんだ。そして三人は、ある天ぷら料亭に足を運んだ。
Part 4 ガンマ対策
三人は料亭の席に着席した。その威厳ある店内に、天馬と葉子は思わず感嘆の声を漏らす。
「ちょっとここ、高級すぎないか?あまり奢ってもらうのも悪い気がする」天馬が遠慮がちに言った。
「悪いと思うんならこれからガンマを倒してきたら?」ベタ子はにこやかに返した。
「ガンマ対策?天馬のこれからの相手はあなたたちなの?」葉子が尋ねる。
「そうだよ!一番弱い三男を倒そうと天馬君もジーンも計画を練ってるわけ!」
「じゃあガンマを倒すにはどうやったらいいのか教えてくれよ?無理強いと言いたいんだろ?じゃあヒントを沢山くれたっていいじゃん?」天馬は興味津々といった様子だ。
「えっとね?最初の攻撃は前も言った通りレールガンだね。ジーンの盾で一度防ぎきってからプロンプトを言えば第一段階は終了……この辺は要領を得れば楽だね」
「レールガンといえども盾で防ぎきれるのか?最新兵器だぞ?もし貫いてきたらどうするの?」天馬は心配そうに問いかける。
「ガンマはレールガンの出力を下げてくるだろうからその辺は問題ないよ?ただこの辺が重要!ガンマの攻撃は4つあること!」ベタ子の言葉に、天馬は驚いた。「それ相当重要だぞ!ネタ晴らししていいのか?」
「分かって対処できるんなら言わないよ?ナチュラルの倒し方分かってると思うけど、一回攻撃させなきゃ、プロンプトを発動できないからさ」
天馬はさらに興味をそそられ、食い気味に聞いた。「じゃあ他の攻撃方法を回りくどくていいから教えてくれよ!」
「2つ目は機械を無力化してくる奴かな?……一時的にジーンが停止するから、ジーンなしで一発で的確なプロンプトを言わなきゃOUTじゃないの?」
「そうなんだ?要は最新兵器を使いこなしてくるってわけだな?じゃあ3回目は?」
「3回目は君たちがよく知ってる有名な奴?今でも一般的に使われてる。ガンマはそれを兵器として遠隔操作して使ってくる」
天馬は心当たりがあるようで、納得した表情を見せた。「3回目は何となくイメージがついたよ。それならいけそうな気がする」
「3回目だからレールガンより攻撃が激しいと思うよ。盾だけで防ぎきれるかな?」
「あなた達もしかしたら手違いで天馬を殺しちゃうってこともあるの!?」葉子が不安そうに尋ねた。
「そうはならないようにプログラミングされているから大丈夫だとは思う。それで問題なのは4つ目……**FA(ファイナルアタック)**なんだけど」
天馬は驚きを隠せない。「ガンマもFA使ってくるんだな……最後のプロンプトに対する奥の手を使ってくるってわけか……」
「多分そこまでいけるとは思ってないけど、FAまで行ったら絶対にプロンプトを正しく言ってね?そうしないと日本が滅びるから」
天馬は激しく動揺した。「はぁ?日本が滅びるって、いきなり大きく出たな!?ガンマのFAってそんなにすごいの!?」
「ガンマが追い詰められるってことは、とどのつまり日本の危機なんだよ……総理大臣のナチュラルだからね……一応あらかじめ予習しておいてね……ヒントははるか上空」
天馬は深く納得した。「分かった……俺のせいで日本が滅びないようにちゃんと勉強しておく……」
ベタ子は面白そうに笑った。「『勉強しておく』だって!ガンマのFAまで行けるつもりでいるところが、まだ私たち知らないって感じ!」
そう対策を練っていると、三人の席に豪華な天丼が運ばれてきた。
「無理だと思うけど……頑張ってね!」ベタ子はそう言いながら、その天丼をおいしそうに頬張った。

Part 5 愛の天使
天馬たち三人はパーキングエリアに停めていた車に乗り込んだ。天馬と葉子は後部座席に、ベタ子は助手席だ。自動運転の車が再び走行を始める。
その最中、天馬が唐突に言った。「ベタ子は、見た目はいいと思う……ずっとその姿でいてほしいかな?正直?」
ベタ子がAIであるため、天馬はあからさまに本音を漏らしてしまったのだ。
「まだペアリングモードは実装したばかりだから、そういう意図で使うにはまだ早いかな?」ベタ子はそう言うと、言葉を続けた。「それで葉子さんなんだけど……大吉で『運命の人に出会えるでしょう』って書いてあったじゃない?その運命の人ってもう隣にいるよね?」
ベタ子がそう言った直後、天馬と葉子はいつの間にか手をつないでいた。
「葉子?お前、何手をつないでるんだよ?」天馬が驚いて言う。
「あんたこそ、何で強く私の手を握っているわけ?」葉子もまた、戸惑いを隠せない。
二人は即座に手を離し、お互い逆の方向を向いて少し照れている。
ベタ子は二人の様子を見ながら語りかけた。「同居してて幼馴染でお互い彼氏も彼女もいない……それで勉強ばっかりしてる……そんなやり方じゃT大とかは受からないよ?遊ぶときはちゃんと遊んで……恋愛も高校生なんだから……ちゃんとやらなきゃね」
その言葉に、天馬と葉子はふと気づいた。おみくじが二人とも大吉だったのは、ベタ子が座標移動か何かで仕組んだことなのだと。
「葉子はお互い距離が近すぎて彼女とかにはならないよ」天馬はそう言い訳する。
「血の繋がらない兄貴みたいな存在に恋するはずなんてないでしょ?余計なことするわね?あなた?」葉子も反論した。
「じゃあ何でお互い目を合わせないで照れてるの?本当はそういうことでしょ?別にそういう距離感を保ちたかったらそれでいいんだけどね、私は」
ベタ子の言葉が、二人の心に響いた。こうして天馬と葉子は、ベタ子のおかげで夏期講習のショックから立ち直ったのであった。
To be continued!!
