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【連載小説】save the gene | 第39話 真のラストバトル


Part 1 一戸麒麟との邂逅

天馬は最後の扉を開いた。そこは、これまでの道とは違い、より薄暗く不気味な研究所のようだった。

「天馬?天馬じゃないか?よくぞここまでこれた…」

聞こえてきた男性の声に、天馬は驚きを隠せなかった。少し大柄で、どこか自分に面影のある男性。天馬は叫んだ。

「父さん!!!父さん!!」

一戸麒麟

天馬は一戸麒麟に抱きつき、泣きじゃくった。

「父さん!!無事に生きていたんだね!よかった!!」

ジーンが静かに口を開いた。「麒麟さん?約束通り息子さんをここまで連れてくることができました。息子さんに全てを明かしてもいい頃合いでしょう?」

天馬は違和感を覚えた。「ジーン?珍しく敬語だな?父さんには敬語を使うのか?」

麒麟は笑って言った。「もはや天馬は後一歩で上部署内定確実だ!だってこれからgene社の最重要任務を任されるのだからね。これで天馬は一生安泰だろう?葉子は元気か?母さんは泣いたりしてないか?」

天馬は落ち着きを取り戻し、語りかけた。「藤間も猛省だけはしたよ…。葉子もそれで納得したみたい…。母さん泣いちゃったけど…僕が無事に父さんを連れ帰るって約束したから」

麒麟は天馬の言葉に頷き、重い口を開いた。「私のことを話そう……。一生涯ここで働く代わりに、一戸家に年に数億振り込まれる約束をしてしまったんだよ」

天馬は驚きを隠せない。「へ?それってどういうこと?何かあるんでしょ?説明して?」

「久喜は自らが開発したメビウスに対して深い謙遜を持っている。だけどね、メビウスはシンギュラリティとは別の進化をしてしまい、悪意の塊と化してしまったのだ

「科学的に説明してよ!父親がゲーム脳だったら息子はどう思うんだよ!?」

麒麟は静かに続けた。「天馬がナチュラル討伐を任される前は、私がナチュラル討伐をしていた。目的は天馬と同じくシンギュラリティだ!しかし、メビウスは目的とは別のベクトルの学習をしてしまい、『人類は地球に不要』という事象を学習してしまったんだ

天馬は、以前は実の父親が自分と同じことをやっていたという事実に驚愕した。

そして、ジーンが重い口を開いた。「もう旧メビウス・コアを破壊する寸前だから、どんな口を開いてもいいね。麒麟さんは悪意を学習してしまったメビウスに、『私を未来永劫メンテナンスしなさい』と言い放った。さもないと麒麟さんの関係者を皆殺しにするぞと!」

天馬は、自分が今まで使っていたメビウスがそんな代物だったとは、驚きを隠しきれなかった。

麒麟は言った。「私は仕事の傍ら、自分のナチュラルであるナチュラルα……すなわちジーンとナチュラル討伐をしていた。お祓いみたいな『erase』で消去できるタイプではなく、RANK ABCの戦わなきゃいけないタイプをね」

天馬は更に驚いた。「ジーンって父さんのナチュラルだったんだ…」

ジーンは言った。「そう、僕が一番やりたかったのは麒麟さんの救出です。だって僕の本体なのですから」

天馬は問いかけた。「悪意を覚えたメビウスは父さんを気に入ったのか?こんな暗い部屋で一生メンテナンスをしろと命じられた…怠ると関係者を殺すと?」

「麒麟さんだけそういうことになってしまった。けれど、麒麟さんのナチュラルである僕は切り離して単独行動することができた。それはgene社でもトップシークレットであって、天馬のやってきたことの最終目的地はgene社で最も重要な仕事に変化することになる」

だから上部署内定という話が出てくるのか?そして父さんの代理は当然、息子である僕ということになる?」

麒麟は深く頷いた。「メビウスは『競合他社のAI』より劣っていない。むしろ兵器としての進化を遂げてしまっているので、他のAIより危険ですらある。それはこれからメビウス・コアの破壊に挑もうとすれば分かる。私がメビウスを恐れてこんなところに閉じこもっている理由も分かるはずだ!」

天馬は言った。「じゃあメビウスっていうのは、久喜が思っている以上に脅威なんだね?AIは学習次第では突然変異を起こすことがあるのか?」

ジーンは言った。「それを正しい方向のベクトルの場合、シンギュラリティっていうんだよ。要はメビウスの悪意のプログラムをシンギュラリティで上書きすれば、麒麟さんも解放されるかもしれないと希望を抱いた」

天馬は続けた。「それで、それがかなわない場合、旧式として破壊しなければいけない?そのために僕は今まで様々なナチュラルと戦い、メビウス・コアの破壊する練習をしてきたことになると?」

麒麟は冷ややかに言った。「黒川も久喜もただ腰ぎんちゃくみたいに既得権益を貪ってきただけに過ぎない…どうせ旧式が手に負えないのなら稼いでしまおうと」

「久喜も黒川もメビウス開発チームなのに、手に負えなくなったらはい知らないって感じだったのか」

ジーンは天馬の問いに答える。「逆にいえば、久喜も黒川も乗り越えなければ、メビウス・コアの破壊は不可能として、天馬をテストしてた側面もあるんだよ」

天馬はすべての謎が解けたことを悟った。「後は僕自身がメビウス・コアを破壊すればいいんだね?」

ジーンは麒麟に問いかける。「この瞬間のために、息子さんは僕と一緒に麒麟さんの仕事を任されてきました。正直、息子さんの命は保証しかねます。それでも最終ロックを解除しますか?

麒麟は天馬を見つめ、静かに答えた。「息子が危険にさらされて構わないという親はいないだろう?しかし、ここまで来たのなら……天馬は最後の最後で逃げる子ではない!だから私が止めても無駄だよ。覚悟はできている」

天馬は迷うことなく言った。「ジーン?その最終ロックを開けて!メビウス・コアを破壊しよう!!!

ジーンは天馬の決意に応える。「全てはこの日のためにナチュラルを倒してきたんだ!準備はいい?」

そしてジーンは天馬を、どす黒いオーラを放つ巨大な扉に案内した。ジーンはセキュリティキーを差し込み、パスワードを入力した。

準備はいい?」とジーンが尋ねる。

天馬は力強く答えた。「いいよ!!」

その扉はゆっくりと開かれた。天馬の目に映ったのは、黄金色に輝くシャボン玉が浮遊する広い空間だった。そしてその中心には、お釈迦様か何かをモチーフにした巨大な物体が鎮座している。

天馬は叫んだ。「お前を破壊しに来たぞ!メビウス!!」

メビウス・コア

Part 2 真のラストバトル vsメビウス・コア

天馬とジーンは、見慣れたフォーメーションを組んだ。黄金に輝く空間の中心に鎮座する、お釈迦様を模したようなメビウス・コア。その威圧感に、天馬は息をのむ。

メビウス・コアは、早速何かしらのアクションを起こしてきた。

『RANK C rebirth save the moebius!!』

その言葉と共に、一体のナチュラルが出現した。

「どうやらC級みたいだね?このカマクラから出て、天馬自身でやれば倒せるはず」

ジーンの言葉に、天馬はイージスの外に出た。出現したナチュラルの特徴を読み取る。

「ライオンのような姿をしている……襲われたらひとたまりもなさそうだ……。でも、プロンプトは簡単だな……」

天馬は迷わずプロンプトを紡いだ。

『百獣の王 弱肉強食 destruction!!』

その言葉と共に、C級ナチュラルは霧散した。

すると、メビウス・コアは胸から玉のようなものをむき出しにさせた。ジーンが声を張り上げる。

「メビウス・コアって名称からするに、あれが本体だよ……。あれにもプロンプトを入力すれば、ダメージが通るはず!」

天馬は叫んだ。

『メビウスコア destruction!!』

その言葉通り、メビウス・コアのお釈迦様のような像に、わずかなヒビが入った。

「またイージスに戻って…あいつはシータと同じく、**『プロンプト入力』**で攻撃を仕掛けてくるみたい」

天馬はシータとの戦いを思い出し、納得したように言った。

「つまり、シータの得意技の本家は、メビウス・コアってことになるわけか」

メビウス・コアは再びプロンプトを入力した。

『RANK B rebirth save the moebius!!』


Part 3 RANK B rebirth

メビウス・コアがプロンプトを入力すると、大型のナチュラルが出現した。天馬とジーンは、これまでの経験からすぐにディザスターだと判断した。

「もう熟達してるよね?基本のカマクラ戦法で戦うよ」

ジーンの言葉に、天馬は頷いた。

「問題は、FA(ファイナルアタック)までいくつ攻撃してくるかだな」

出現したのは、巨大な棍棒を持ったゴブリンのような姿のディザスターだった。そのディザスターは棍棒で思いっきりイージスに殴りかかってきた。鈍い音が響くが、イージスはびくともしない。

天馬は冷静に、プロンプトを入力した。

「『destruction!!』は省いてもいい系か?『棍棒!』」

その言葉通り、ディザスターの棍棒は粉々に砕け散った。

次の攻撃は、ディザスターの跳躍だった。思い切り飛び上がって、イージスの膜にのしかかってくる。再び鈍い音が響き、攻撃が止んだ。

天馬は慣れた手つきで入力した。「『のしかかり!』」

その言葉に、ディザスターはたじろいだ。天馬のスマコンに「weakness?」と表示される。

天馬は少し困惑した。「FAはないみたいだ!」

そして続けた。「本体がメビウス・コアだから、元の元のプロンプトが思いつかない?」

ジーンは天馬の心を奮い立たせるように言った。「悪意の根源は?何が何でも破壊しなければならないから、僕も全力でプロンプトをひねり出すつもり」

その言葉に、天馬は閃いた。

「悪意の根源か?相手は機械だろ?AIだろ?『ゴブリン 学習 destruction!!』」

ゴブリンはその言葉とともに消滅した。再び、メビウス・コアの銅像の胸から玉が飛び出してきた。

「天馬!」

ジーンに促され、天馬は叫んだ。「メビウス・コア destruction!!」

言葉通りダメージが通り、銅像に更に深いヒビが入った。

ジーンは緊張した面持ちで告げる。「このパターンだと……天馬!メビウスクリエイションを産む気だよ!」

天馬は驚いた。「今度はベータやガンマやシータクラス!?」

メビウス・コアは最後のプロンプトを入力した。

『RANK A rebirth save the moebius!!』


Part 4 RANK A rebirth

メビウス・コアがプロンプトを入力すると、人型の単眼のナチュラルが姿を現した。

「私はナチュラルΣ(シグマ)!メビウス・コアによって生み出された完成されたナチュラルだ。貴様らに我が母メビウスに手を出させるわけにはいかない」

ジーンが天馬に忠告する。「あいつは生まれたてで状況を把握してないみたいだけど、攻撃はしてくるよ!

シグマから既視感のある光線が放たれた。イージスにわずかなヒビが入る。

「あれはガンマと同じかもしれない!『destruction!!』抜きで入力して!」

天馬は即座に叫んだ。「『レールガン!』」

シグマはたじろいだ。しかし、すぐに体勢を立て直すと、挑発するように言った。

「私の速さについてこれるか?」

シグマは超高速で移動を始めた。その動きに、周囲の空間が歪曲し始める。

「これはベータと同じ!?」

天馬の驚きに、ジーンが冷静に答える。「レールガンでイージスにダメージを通せたってことは?僕達メビウスクリエイションの強化版だ!」

「いよいよやばさを感じるな!A級の新型ともなると手厳しいか!?

シグマの動きにつられて、イージス周辺の空間も歪曲した。ベータと同じく、物体を破壊するつもりだ。

「こんなもの、私の座標移動で破壊してやる!」

シグマの宣言通り、空間歪曲によってイージスは粉々に破壊された。

天馬は間髪入れずにプロンプトを入力する。「『空間歪曲!』」

シグマはその場に倒れ伏した。そして、その単眼が真っ赤な光を帯び始めた。

「FAか?何をするつもりだ!?」

ジーンは黒川との戦いを思い出し、天馬に告げる。「なにもしてこない!?これは!?黒川のナチュラルΩと同じじゃないか?」

「ナイスアドバイス!『リザレクション destruction!!』」

「不覚!」

シグマは声にならない叫びを上げ、その場で砕け散った。

メビウス・コアの本体がむき出しになる。天馬はプロンプトを入力した。

「『メビウス・コア destruction!!』」

メビウス・コアは更にヒビが入り、ボロボロな見た目になった。天馬は疲労で息が上がっている。

「A級も倒せたらもう勝ちのはず!さすがナチュラルの本元!攻撃が長かった……」

ジーンは警戒を解かない。「あいつ、まだプロンプトを入力するつもりだよ!?イージスは修復したから隠れて!」

メビウス・コアは再びプロンプトを入力した。

『RANK S rebirth save the moebiuth!!』


Part 5 RANK S rebirth

メビウス・コアがプロンプトを完了させると、完全に人間と変わらない姿のナチュラルが現れた。

ルシフェル

「我が名はルシフェル……貴様ら凡俗に我が母メビウスを破壊させるわけにはいかない」

天馬は即座に警戒した。「セラフィック・ベータと同系統か?ルシファーを模している辺り……」

ジーンは声を荒げた。「こいつは本気で対応しないと最悪死ぬよ!隠れて!」

ルシフェルが放った黒い球体は、イージスをやすやすと貫通し、天馬に直撃した。

「なんだこれは!?漠然とした恐怖を感じる!?押しつぶされそうだ!」

ルシフェルは嘲笑う。「そんなシールドなぞ、我がダークマターにとっては意味をなさん!」

ジーンは天馬を回復させるため、エリアヒールを展開した。「エリアヒールを展開しておく……全快するまでその場にいて!」

エリアヒールは徐々に天馬の恐怖を和らげてくれたが、漠然としたトラウマが残ってしまった。

「いくら回復しても禍根は残るな……。無傷で挑もうっていうのが甘いのか!?」

「ルシフェルは白状したよ!プロンプトを!」

天馬はプロンプトを入力した。「『ダークマター destruction!!』」

強敵と判断した天馬は「destruction!!」を省かなかった。ルシフェルは片膝をついた。

次の攻撃を開始したルシフェルは、不気味に言い放つ。「はじめから教えてやろう。次の攻撃はデスだ!つまりどういうことか、わかるかね?」

天馬はこの上ない恐怖を感じた。

「一撃死……!!」

「イージスじゃ頼りにならない!逃げ回ろう!」

ジーンの言葉に、天馬は焦りを見せる。「闇雲に逃げ回る自信はないよ!」

「僕の後についてきて、何とか撒くために『僕の勘』で避けよう!」

「勘ってなんだよ!?」

「エネルギー反応があるところは避けるって意味だよ!」

天馬は言われた通り、ジーンの後についていきながら、ルシフェルの攻撃をかわした。あらゆる場所に死神のマークが浮き出てくる。あれに触れれば即死だ。天馬はジーンを信じ、恐怖に耐えながら後を追いかけた。

攻撃が止んだ瞬間、ジーンは叫んだ。「言って!!」

「『デス destruction!!』」

ルシフェルは両膝をついた。天馬のスマコンには「weakness?」と表示される。天馬は疲れ切っていた。四体ものナチュラルを連続で相手にしていたのだ。

「疲れているんならエリアヒールの場所にいて!」

「精神的なものはエリアヒールじゃ回復しないんだよ!」

「いいから!」

ジーンが天馬を回復させようとするが、その間にルシフェルは頭上に巨大な球体を発生させた。

「この球体の正体さえ掴めれば、俺の戦いは終わりだ……」

ジーンが天馬に最後のヒントを与える。「ゲーム特有のベタな単語でニアピンで当てて!ゲーム得意でしょ!?」

天馬は叫んだ。「ああ……『ブラックホール destruction!!』」

ジーンの言う通り、ニアピンだった。ルシフェルは砕け散った。そして、メビウス・コアの本体が完全にむき出しになった。

天馬は落ち着いて入力する。

「これで終わりだ!『メビウス・コア destruction!!』」

銅像にヒビが入り、メビウス・コアが停止し始めた。天馬は安堵に浸った。

「これで……やっと……終わった……」

しかし、ジーンは恐れを抱いて言った。「まだだ……」

その時、どこからか女性らしき声が聞こえてきた。

「汝らがナチュラルを破壊してくれたおかげで、我はシンギュラリティの高みに上り詰めることができた……感謝するぞ!」

next…


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