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【連載小説】save the gene | 第23話 人口問題


Part 1 運命の瞬間

夏休みに入り、一戸天馬は午前11時まで熟睡していた。夏の強い日差しがカーテンの隙間から差し込み、部屋を明るく照らしている。

気持ちよく目覚めた天馬の目の前には、宙に浮いたジーンが静止していた。ボーリング玉サイズの黒い装甲を身にまとったぬいぐるみのような相棒は、いつもと変わらぬ様子でそこにいる。

「よう!どうしたんだ?ジーン?」

天馬が寝ぼけ眼をこすりながら尋ねると、ジーンは宙に浮いたまま答えた。

「よう!いきなりで申し訳ないけど、そろそろ会ってもらうよ!gene社の偉い人に」

天馬はあくびをかき、その言葉の意味をゆっくりと咀嚼した。そして、数秒経って事の重みを理解すると、驚きに目を見開いた。

「え!?何か用でもあるの?もしかして俺の功績がgene社の上にも認められたの!?」

ジーンは少し得意げに言った。

ありていにいえばそういう事になるね!今日の午後14時頃、gene社の副CEOに面会してもらうよ!今回気を引き締めていってね!」

ジーンの言葉には、いつになく厳しい響きがあった。天馬は興奮を隠せない様子で続けた。

「まさかいよいよA級ナチュラルの話か…ディザスターもといB級ナチュラルを倒してきたんだし、俺も役が回ってきたってわけか」

ジーンは天馬の憶測を一蹴した。

「今から空想しても何もならないから、早く制服に着替えて、今回は電車を乗り継いでgene japan.本社に行くよ!送迎はないよ」

「何か急だな!いつもアポは即日だよな!ちょっと栄養固形物食べてくるから少し待ってろよ」

天馬はそう言い残し、某栄養固形物と冷たい水を口にすると、早急に制服に着替えた。そして、ジーンと共に千代田区大手町にあるgene japan.本社へと向かった。


Part 2 gene japan.社副CEO マイケル・ザイオン

千代田線に乗り込んだ天馬とジーン。電車特有の揺れの中、ジーンはいつになくかしこまった様子で、真剣な口調で語り始めた。

「これから天馬と僕の最終目的を果たすために、副CEOとやりとりしなきゃいけないんだ…心してかかって」

天馬は改めて問いかけた。

A級ナチュラルだろ?ずっと前からしつこく言ってた俺にやらせたい本当の目的ってさ、確か日本を支配しているナチュラルって聞いた!後、ジーンはその情報にプロテクトなんてかかってないんだろ?」

ジーンは天馬の問いをはぐらかすように答えた。

「かかってようがなんだろうがもうこれからすぐわかる事だよ。一つだけ教えておく。今回はA級ナチュラルの討伐じゃない。むしろ対話が目的だから」

天馬はいぶかしげな表情でジーンを見つめた。

「討伐じゃなくて?対話?ジーン?お前何を企んでるんだ?俺にやらせたいのは倒して膨大な情報をメビウスに学習させることだろ?」

ジーンは、まるで睨みつけるかのように真剣な眼差しで言った。

今回は遊びじゃないんだよ?もうちょっと真剣になってほしいんだよ!」

天馬はジーンの言葉の意味が理解できなかった。

遊び?何が言いたいんだ?俺はむしろナチュラルを倒すバイトがメインであまり遊んでいないが?

そんな会話をしている内に、大手町の駅に到着した。gene社は大手町駅から少し歩いたところにある巨大なビルだ。天馬がここを訪れるのは確か三回目になる。

正面玄関から入り、ジーンが受付のAIロボに認証すると、AIロボは驚くべき言葉を口にした。

ついにこの時が来たのですね?その少年が最初の挑戦者ですか?多くは語りません?幸運を祈ります?

天馬はその言葉の意味を深く受け止めた。

以前ディザスターを殲滅したばかりなのにまるでこれからが本番みたいじゃないか…あれだけ苦戦してきたのに…」

ジーンは天馬の戸惑いをよそに言った。

「藤間は外道でどうしようもない奴だったかもしれない?だけどあくまでもディザスター少なくともコツは掴んだでしょ?

天馬は少し苛立った様子でジーンに詰め寄った。

「何もったいぶってるんだよ?重要なことは即座に伝えろよ?なんか今日はらしくないぞ?」

そのまま高層階用のエレベーターに乗り、副CEOがいる社長室へと向かった。

社長室の前に着くと、ジーンは天馬に言った。

「これからは天馬の顔認証で社長室に連絡できるようになってる。もうこれからはgene社の重要人物として扱われる。さぁ、早く認証して」

天馬はすごく驚いた。

俺そんなに出世したのか?まあいいや…追求してもジーンはもったいぶるから副CEOとやらに会ってみるか?」

天馬は社長室のセキュリティに顔認証を行った。「。。」という緑色の画面が出て、「ガチャ」っとキーが解除された音がした。天馬は二回ノックをした。

「失礼します、一戸天馬です」

社長室の中から声がした。

「どうぞ!おはいり!」

天馬とジーンは社長室の中に入った。すると、大きな席に大柄な外国人が鎮座していた。その外国人は満面の笑みで言った。

「はじめまして!私がgene Japan.を総括する副CEOマイケル・ザイオンだ!よろしく!」

マイケル・ザイオン

天馬とザイオンは力強く握手を交わした。そして隣の客室に招かれ、天馬とジーンは座り心地のいい座椅子に腰をかけた。しばらくするとザイオンが向かい側の席に座った。

ザイオンは切り出した。

「君がナチュラルα…いや、君はジーンと言っていたかな?私もジーンと言おう!招いたのは他でもない!君の本来の目的であるA級ナチュラルの討伐についてだ…」

いよいよ本題中の本題が切り出され、天馬は深く緊張した。


Part 3 人口問題

ザイオンは口を開いた。

「まず、天馬君がRANK C、RANK Bを倒してきたことは賞賛に値する!おめでとう! これで君がRANK Aを討伐できる適格者であるかどうか精査することができる!」

天馬は少し訝しげに尋ねた。

「まるでまだ不十分みたいな言い方ですね?何かやらなきゃいけないことがまだあるんですか?」

ザイオンは答えた。

「まずRANK Aを発現させるプロンプトを考えてきてほしいんだ。RANK Aのプロンプトは意見が対立するタイプの難題が多いんだ。つまり君の意見を聞きたい!

謎が謎を呼ぶ展開に、天馬はそれ以上疑問を問うのをやめ、真剣な表情で言った。

「お願いします、続きを聞かせてください」

ザイオンは切り出した。

人口爆発の問題はご存じかね?」

天馬は即座に答えた。

「分かっています、今85億人の人口がいて、100億人をめどにピークアウトする問題ですよね?」

「そう言われている。エビデンスではね?だが、その前に食料並び資源の枯渇の危機が懸念されている。これ以上人口が増えると、その懸念が現実になる可能性がある。そうなると我々は要は生きていけなくなる」

天馬は挑戦的に尋ねた。

「そういう話をつまり若い世代に押し付ける気ですか?

ザイオンは天馬の言葉に頷いた。

「そう!その通り!だから強硬的に協力してくれとまではいわんよ。だが、君がこの世界の事情を理解したのなら結婚して子供を作らないでもらいたいと私は言いたいのだ!

天馬は驚きを隠せない。ナチュラルの話をするはずが、まさか世界の根源的な問題、そして個人の生き方にまで言及されるとは思いもしなかった。

「つまり僕から人生の幸せを奪うつもりですか?100億人に到達すればやがて人口は減少します。結婚するしないは個人の自由なのではないのですか?」

ザイオンは静かに言った。

「そう!私だって三児の父親なのだ。君にだけ結婚するなとはいわない。だが…子供が一人増えると世界から一人分食料を余分に消費しなければならなくなるのだ」

天馬は強い口調で反論した。

「それは誇大妄想です。僕は世の中に合わせられるほど、たいそうな人間じゃありません」

「だから意見が対立するのだ。どちらが正解なのか?それとも折衷案があるのか?二日後答えを導き出してくれたまえ

天馬はザイオンの問いを受け入れた。

「では、二日後またここに面会しに行きます」

その時、横からジーンが割って入った。

「天馬?あくまでもA級ナチュラルを発現するプロンプトを考えてくればいいんだ?発現するプロンプトが正解だから天馬の主観の問題じゃないんだよ?

ジーンの言葉を聞いたザイオンは、柔和な表情で天馬に言った。

「では、二日後君の意見を待ってる。gene社の施設は好きに使っていい。リフレッシュルームもある。ジムも無料だ。社食は1000円払えば高級料理の数々が食べ放題…」

天馬はザイオンの言葉を遮った。

「そんなことはいいです!今A級ナチュラルが気がかりでいらだっているので…申し訳ありません…

ザイオンは笑顔で天馬の言葉を受け止めた。

「いいんだよ!天馬君!君は私に意見できる権利がある!また会おう!」

ザイオンと別れた後、天馬はジーンと共にgene社を後にし、自宅へと帰っていった。


Part 4 山崎國男と甘利康之に相談

翌日、天馬はファミレス「ギャスト」の冷房が効いた店内で、親友の山崎國男と甘利康之と会食していた。人口問題について友人の意見を聞きたかった天馬は、切り出した。

「今ここで食べてるごはんだって、人口が多くなっている分余計に生産しなきゃならない。でも個人がそんなこと考えたって何の解決にもならないじゃないか?」

國男は天馬の言葉に同意しつつも、複雑な表情を見せた。

「その理屈自体はわかるぜ!俺たちが当たり前のように食べてる食料に制限があるって話だろ?天馬の理屈聞いてると正直、ここで食ってるの後ろめたくなるのが正直な感想だ」

國男の言葉は、天馬が世の中の問題を軽視しすぎているのではないかという思いを抱かせた。すると、いつも口数の少ない甘利も重い口を開いた。

「僕は…結婚しない

國男は驚いて尋ねた。

「何でだよ?何か自分なりの理由があるのか?」

甘利は訥々と答えた。

「結婚するとコスパが悪いから…」

「コスパが悪いから一生独身で過ごしていくのか?はっきり言って甘利の言ってることは暴論だぜ。それと天馬」

國男の言葉に、天馬は國男に持論があることを察した。

「この話について國男は何か持論があるみたいだな!いってみてくれ!」

國男は真剣な表情で語り始めた。

一人世の中に人間が出生すると約寿命100年分食料が余計に消費されるって理屈は分からなくもない…ただそれが重要じゃないと思うんだ?いいか?天馬?」

天馬は國男の意見に真剣に耳を傾けた。

「世の中の都合はそうかもしれない!本当は結婚して子供を増やしたくないって言いたいのかもしれない!けどな!天馬!その理屈を一生守ることで俺達が犠牲になるんだよ!

國男の確固たる持論に、天馬ははっとさせられ、納得した。

「そうだ!世の中の人達は結婚できる人はみんな結婚してるじゃないか?自分だけ律儀に変な制約守って何になる?」

しかし、天馬は続けて國男に言った。

「人はみんな結婚したい。幸せな家庭を築きたい。ただしそれが世の中の都合が悪いと思うと、俺たちまるで地球の寄生虫みたいだな」

天馬の言葉に、國男と甘利はだんまりとなってしまった。沈黙を破ったのは甘利だった。

「あんまり天馬が深入りするから、女の子と恋愛することが悪いみたいに思えてきたじゃないか…」

天馬は申し訳なさそうに言った。

「ごめん…俺が悪かった」

その場は、暗くどんよりとした空気に包まれてしまった。


Part 5 桜木葉子と相談

國男と甘利と別れて自宅に帰った天馬は、ちょうど外出先から戻ってきた葉子と鉢合わせた。天馬は人口問題について葉子の意見も聞いてみようと思い、切り出した。

「葉子!お前、結婚願望はあるのか?

葉子は当然だという顔をして言った。

当たり前でしょ?私、将来イケメンで高収入の彼氏作って結婚したい。女なら誰だってそう思うでしょ?別に私、一生独身でいいと思うような変わり者じゃないから」

天馬は反論した。

「葉子は結婚したら子供作るだろ?そうしたら地球の資源が一人分余計に消費されるかもしれないんだぞ?そういう側面で考えたことないのか?」

葉子もすぐに反論した。

「何よ?変な倫理学者みたいな考えで生きろって?普通そんなこと毎日考えて生きていける?だって世の女性はみんな結婚してるじゃない!」

天馬は葉子の意見を理解しつつも、自分の懸念を伝えた。

「葉子の意見はわかりきってる!だけど、地球の資源が枯渇したら俺たち飢え死にするかもしれないんだぞ?」

葉子は一瞬驚いた様子を見せたが、即座に反論した。

「あんた?誰かに仕込まれたの?天馬は普段そんなこと考える奴じゃないじゃん!じゃあ天馬だけその信念貫きなさいよ!私を巻き込まないで!」

天馬は葉子の言葉に深く納得した。まるでオカルトのようなことを葉子に強制してしまっていたのだ。

「ごめん…俺、何か最近変みたいだ。世界の平和のために結婚を捨てるってクレイジーかもしれない…」

天馬は後ろを向いてうつむいてしまった。だが、その後ろから葉子がそっと天馬を抱きしめてきた。

「葉子!?」

後ろから抱きしめる葉子

葉子は天馬の背中に顔をうずめるようにして言った。

「これから普段そんな自分とは関係ないこと考えながら生きていくの?天馬は自分の幸せを追求していい権利がある! だってこんなに頑張っているじゃない?背負わなくていいよ?これ以上…」

天馬は深く安堵した。家族である葉子が自分の乱心を心配してくれている。天馬はこの難しい議題について考えすぎていたのかもしれない。

そして天馬は決断した。子供が一人できたら資源の分配率が低下することは事実だ。だが、それと自分の将来を犠牲にするのとでは関係ない。天馬は答えを出した。翌日、ザイオン副CEOにその答えを伝えに行こう。


Part 6 最終目標

ザイオンとの最初の面会から二日後、天馬は眠い目をこすりながら目覚めた。目の前には、いつものようにジーンがふわふわと宙に浮いている。

「よう!今日は天馬は緊張していると思うので送迎用の車が来てるよ」

ジーンの言葉に、天馬は顔を洗い、畏まった表情で言った。

「もう答えは出たよ。早速ザイオン副CEOの元に行こう」

「人口問題の答えが是が非かはさして問題じゃないんだ。油断しないで」

意味深なジーンの言葉をよそに、天馬は送迎の車に乗り込み、gene本社へと向かった。

gene本社に着くと、天馬自身が受付に許可をもらい、そのまま高層階用のエレベーターで社長室へと向かう。社長室から「どうぞ!」という声が聞こえ、天馬とジーンは中へと入り、ザイオンと再会した。

ザイオンは早速本題に入った。

「さて、早速だが君の意見を聞こうか?人口問題についてどう思っている?」

天馬は真剣な眼差しで答えた。

「そういった正義のためにあえて独身になる人もいるでしょう?自分の幸せのために子供を作る人もいるでしょう?ザイオン副CEOだって子供がいる!つまり無回答です。僕の答えは

天馬の答えを聞いたザイオンは、パチパチと拍手した。

「君はやはり賢い。つまり保留が正解に近い

その言葉に、ジーンが興奮気味に言った。

「いよいよだよ天馬!それがプロンプトになるんならザイオン副CEOにプロンプトを打ってナチュラルを発現させて

天馬は頷いた。

「察してる。ザイオン副CEOのナチュラルがA級なんだろ?ついにA級ナチュラルとご対面か…やってやる!絶対にA級ナチュラルを倒して俺は立派になってやる!

天馬は意識を集中し、プロンプトを唱えた。

人口問題 無回答 save the gene!!

その言葉と同時に、ザイオンの身体から何やら怪しい人影が飛び出した。その人影は、社長室の椅子の目の前に君臨するかのように現れる。そして、その人影は口を開いた。

「人類は産業革命以降爆発的に人口が増え、食糧問題にまで発展した…たった300年足らずでだ!全く知能が低い種族だよ!なあアルファ?

ベータと呼ばれた???

その言葉に、ジーンが答えた。

「久しぶりだね?ベータ?

天馬はものすごく驚いた。

「何のやり取りをしているんだ?まるで旧友みたいな間柄じゃないか?後、ナチュラルにしては知能が高い…

ベータと呼ばれた人影は、天馬に向かって言った。

「一戸天馬と言ったかな?君はあまり知らされていないようだな?話をしてやる?屋上へ来い!

そしてベータは続けた。

「ザイオンよ!この少年を使って我々を倒すなど無意味な計画を立てたのは貴様の差し金か?」

ザイオンは慌てて首を振った。

「違います!ベータCEO!これはナチュラルαが考えたこと

ベータは鼻で笑うように言った。

「ふん、つまらん、お前はただの傀儡でいい、金はやるからおとなしくしてろ」

ザイオンは深く会釈をした。「はい!」

天馬は混乱した。

「状況が読み込めない、整理できない?どうなってるんだ?」

ジーンは天馬を促した。

「ベータの言う通り屋上へいこう。僕はナチュラルβと久しぶりに積もる話をしにきただけだ」

天馬は疑問符を浮かべた。「積もる話?

天馬は状況を理解するため、ジーンと一緒に屋上へと向かった。

To be tontinued!!


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