【イラスト小説】コードの果て【#39】第6章 Reverse - ゼロとの出会い|光と闇のAIバトル

3年前、カシアは数人のボディーガードを連れて、国内で最も危険なスラム街を訪れていた。
そこは貧困者やギャング、麻薬中毒者たちのたまり場だった。
薄暗い路地にゴミと腐った臭いが充満し、遠くから怒声と悲鳴が聞こえてくる。
ゼロはそのスラム街で生まれ、幼いころに両親を亡くしていた。
生きるために死に物狂いで体を鍛え上げた。
ギャングたちのアジトに度々忍び込んで金品を盗み、貧しい孤児たちに分け与えた。

ある日、ゼロは武器を持ったギャングたちに囲まれ、路地の奥に追い詰められた。
「ゼロ! 今まで盗んだ金を倍にして返してもらうぞ!」
ギャングの一人が銃を構える。
「くそっ! 足の怪我さえなければ……」
ゼロは数日前、車にひかれそうになった猫をかばい、足に怪我を負っていた。

彼女が歯を食いしばったその瞬間、凛とした女性の声が響いた。
「待ちなさい!」
ギャングたちが一斉に振り返る。
「誰だ! てめえ!」
「おいっ! 待て! この女、見たことあるぜ……」
「クロノヴェクス社のCEOじゃねえか! なんで、こんなところに!?」
カシアは冷静に歩み寄り、冷徹だが丁寧な声で言った。
「私がその子が盗んだお金の10倍支払うわ。それで許してくれないかしら?」
ギャングたちは目を丸くした。
「10倍!?……マジかよ! しばらく遊んで暮らせるぜ!」
カシアは即座に金を支払う約束をし、ゼロを解放させた。
ギャングたちが去った後、ゼロは息を荒げながらカシアを見つめた。
「なぜ……私を助けた?」
カシアは静かに微笑んだ。
「監視用ドローンであなたを見つけたの。素晴らしい運動能力だわ。」
彼女はゆっくりと歩み寄り、ゼロの目をまっすぐに見つめた。
「ゼロ。あなたの力がほしいの。私の元で働きなさい。あなたが面倒を見ていた子供たちも、すべて孤児院で引き受ける。もうお金で苦しむことはないわ。」
ゼロは拳を握りしめ、しばらく沈黙した。
「……考えさせてくれ。」
「いいわ。好きなだけ考えなさい。」
カシアは名刺を渡してその場を去った。

数日後、クロノヴェクス・インダストリーズ本社に、黒髪ショートの女性が訪れた。
「私を雇ってください。」
ゼロの声は低く、決意に満ちていた。
カシアは満足げに頷いた。
「もちろんよ。歓迎するわ。」
カシアはゆっくりと右手を差し出したが、ゼロは汚れた右手を伸ばすことを躊躇した。

ためらうゼロの右手を、カシアは優しく包み込むように握り、静かにほほ笑んだ。

ゼロの目から涙があふれた。
「あなたを……全力で守ります!」
カシアとゼロに強い絆が生まれた瞬間だった。
その後、ゼロは優れた実力を認められ、カシア直属の特殊部隊のリーダーに任命された。
