謎解きは石垣の上で。豊臣秀長ゆかりの郡山城と絶品チーズケーキ
奈良・大和郡山にある「本屋とほん」を訪ねた帰り、素敵な本との出会いにホクホクしながら、郡山城址へと足を伸ばしました。
大阪城を毎日見ながら育ったからか、私は昔から大の城好きです。
現存する国宝天守5城(彦根城、姫路城、松江城、犬山城、松本城)はもちろん制覇。「旅先ではまず城を目指すべし!」と、全国各地の城跡を巡っています。
奈良の中世を物語る重要な史跡
ここ郡山城は、奈良県内でも内堀や石垣が良好に残る貴重な城郭。
1580年、織田信長の命を受けた筒井順慶によって築かれ、その後、豊臣秀長(今年の大河ドラマの主人公)が大改修をしたことで、大坂周辺を治める要衝として、歴史的に重要な役割を担ってきたお城です。

関ヶ原の戦い後に一度は廃城となりましたが、江戸時代に再整備されると、幕末まで譜代大名が城主を務めました。明治維新で建物は取り壊されたものの、今も残る立派な石垣などが、往時の面影を伝えています。

近鉄郡山駅から線路沿いを5分ほど歩いていくと、目の前に立派な城門が迎えてくれます。

これは、秀長時代の郡山城をイメージして再建された追手門や追手向櫓、追手東隅櫓で、市民の寄付などによるものなんだとか。お城も秀長公も、地域のシンボルとして、今も地元の方々に愛され続けている証ですね。
こうした建物群を目の前にすると、当時にタイムスリップしたようでワクワクします。

門をくぐり、少し坂道を上って振り返ると、立派な建物が目の前に現れました。これは1908(明治41)年、奈良公園内に建設され奈良県初の県立図書館だったもの。

1968(昭和43)年に、ここ郡山城内に移築され、今は「城址会館」として使用されているのだそうです。
木造二階建で、屋根にはギラっとこちらを睨む鬼瓦。
堂々とした見た目の中に、どこか優雅さも感じさせます。

建物好きの私としては、近代奈良の歴史を今に伝える貴重な建物が、こうして大切に守られていることに、嬉しく思いました。
お城めぐりの楽しみは、そこにある理由を解き明かすこと
城内をさらに進んでいきます。
再建された「極楽橋」を渡れば本丸へ。
そこには「天守台」があって、登れば大和盆地を一望することができます。

天守が残っていたら、結構な迫力だっただろう
歴史の楽しみ方は人それぞれですが、私が史跡巡りに感じる最大の魅力は、「なぜ?」を読み解くことです。
古墳も城も社寺も、その場所に建てられたのには必ず理由があります。
とりわけ政治や軍事の拠点である城にとって、場所選びはまさに死活問題。なぜこの地に築かれたのか……。時に古地図を紐解きながら、当時の人々の意図を「謎解き」するように探っていく。

ビルが建ち、かつてと街並みが大きく変わっても、城下町の骨格はどこかに残っているもの。
その痕跡を丁寧に辿っていくと、川を行き交う荷船、田植えをする人々、そして攻め込んでくる敵軍など、当時の情景がありありと蘇ってきます。
そこから、そのまちの生い立ちや「性格」のようなものが見えてくるのが、何よりも楽しいのです。

天守台からは、薬師寺などの寺社、若草山、葛城山、生駒山など、奈良盆地を一望でき、大阪や京都をつなぐ街道も近く、ここ郡山が政治や軍事の要衝の地であったことが良くわかる。
高い建物が少なく、穏やかな田園に広がる奈良盆地。
その景色を眺めていると、かつてこの地に生きた人々も、私と同じ風景を眺めていたんだろうかと、遠くに思いを馳せてしまいます。

思ってたより見どころたっぷりのお城だった。
最近、お城巡りからは少し遠ざかっていたのですが、ブームが再燃の予感です。

復元された建物に思わず目が向きがちですが、私にとってお城の注目ポイントは石垣です。

周囲の寺などからお地蔵さんや礎石などを石材として集めて築城された逸話が有名だが、それだけではなく、この城の石垣には何とも言えない独特の風情や景色がある。
そこには当時最先端の技術が詰まっていて、先人の知恵や工夫に唸らされることも多い。そして壮大な石組みを手作業で作り上げた先人や、これまで守り継いでこられた方々の情熱と献身に、力をもらえる存在でもあります。

今は「荒城の月」を思わせる郡山城ですが、想像以上に見どころたっぷりのお城でした。

また食べたくなる、絶品チーズケーキとの出会い
お城を後に近鉄郡山駅に向かう途中、青色の壁が目を引く可愛いカフェを発見。ちょうど歩き疲れていたこともあって、思わずお店の扉を開けていました。
お店の名前は、Cafe Despacio(デスパチオ)さん
バスクチーズケーキが人気とのこと。

うっかりお店の外観を撮り忘れた…
湿気と暑さで脳みその半分は蒸発していたのかもしれない
この日のショーケースに並ぶ数種類のケーキから私が選んだのは「パープルプラムクーヘン」です。

もう一度食べにきたくなる味
酸味とコクのバランスが絶妙で、しっとりとしたクリームチーズと、サクサクのクッキー生地で、軽やかな味わい。とっても美味しいケーキに、疲れもマルっと吹っ飛んでいきました。

金魚だけじゃない、大和郡山の魅力
1724年、初代郡山藩主・柳澤吉里が甲斐の国(現在の山梨県)から移封の際に金魚を持ち込んだことをきっかけに、大和郡山は全国に知られる金魚の産地となりました。
今もなお、まちの至る所で金魚の姿を目にすることができます。

そして城下町の風情が残る商店街に一歩足を踏み入れたら、まるで昭和にタイムスリップしたかのようなレトロな世界。
一見すると時が止まったようにも見えますが、その中には以前ご紹介した「本屋とほん」のような素敵な書店や、お洒落なカフェ、雑貨店がひっそりと佇んでいます。

奈良といえば古代に目が行きがちです。
例えば京都も明治以降の近代史がとっても面白いのですが、あまり注目されない時代にも、そのまちの魅力がたっぷり詰まっています。
古き良き風情と新しい感性が共存する大和郡山。
帰りの電車に乗ったその時から、また訪れる日が楽しみになっていました。

ふるさと大阪、大好きな京都と奈良をつないでくれる大切な存在。
Cafe Despacio
奈良県大和郡山市朝日町1-5ifビル
営業時間|11:00-18:00(L.o17:30)
定休日| 日・月
https://www.instagram.com/cafe_despacio.nara/?hl=ja
