「飲みニケーション」と心理的安全性の意外な関係
その飲み会、本当に必要でしょうか。
「最近の若い人は飲み会に来ないから、本音が分からない。」
そう感じている管理職の方に、
最初にお伝えしたいことがあります。
それは、
飲み会が減ったことが問題なのではなく、
飲み会に頼らなければ本音が聞けない職場になっていることこそが、
本当の問題だということです。
心理的安全性を高めようとしている会社ほど、
実はここを勘違いしやすいのです。
今日は、
「飲みニケーション」と心理的安全性の関係について、
少し踏み込んでお話ししていきます。
飲み会は原因ではなく結果である
飲みニケーションは、
心理的安全性を作るものではありません。
しかし、
心理的安全性がすでにある会社では、
飲みニケーションが自然と良い時間になります。
つまり、
多くの人が思っている順番は、
実は逆なのです。
飲み会をやれば仲良くなる、
本音が聞ける、
そう考えるのではなく、
普段の関係性の結果として、
飲み会の質が決まる。
そう捉える必要があります。
かつての飲みニケーションが機能していた理由
昔は、
「とりあえず飲みに行けば仲良くなる。」
そんな時代が確かにありました。
お酒の席で打ち解けて、
翌日から仕事がやりやすくなった。
そんな経験をお持ちの方も、
少なくないと思います。
ですが今はどうでしょうか。
飲み会を開いても、
誰も本音を話さない。
参加していても、
どこか気を遣っている。
一次会が終わると、
みんなすぐに帰ってしまう。
そんな会社が、
決して珍しくなくなっています。
時代が変わったのではなく、
本音を出せる条件が変わった。
そう考えると、
見えてくるものがあります。
ある職場でよくある一場面
例えば、
こんな会社があります。
部長が声をかけます。
「今日は久しぶりに飲みに行こう。」
部下は笑顔で答えます。
「ありがとうございます。ぜひ。」
ですが心の中では、
断りづらいな、
家族が待っているんだけどな、
今日は早く帰りたかったな、
そんな思いが渦巻いています。
そして飲み会が始まります。
部長が言います。
「今日は無礼講だから、本音で話してよ。」
部下は答えます。
「いえいえ、特にありません。」
「今のままで大丈夫です。」
本当は、
仕事で困っていることもある。
会議で言えなかった意見もある。
それでも、
この場でも言葉にはなりません。
なぜなら、
本音を言って嫌われたくない、
評価が下がるかもしれない、
そう感じているからです。
ここで大事なのは、
お酒があるかどうかではありません。
安心して話せる関係が、
すでにあるかどうか。
そこに尽きます。
多くの会社が気づいていない本当の怖さ
ここが実は、
一番見落とされやすいポイントです。
飲み会が減ったことを、
コミュニケーション不足の原因だと考えてしまう会社があります。
しかし本当は逆です。
普段、
安心して話せない職場だからこそ、
飲み会に過剰な期待をかけてしまうのです。
飲み会で何とかしよう、
本音を聞き出そう、
仲良くなろう。
そう考えてしまう。
しかし、
普段話せない人が、
お酒の席だけ急に話せるようになるでしょうか。
ほとんどの場合、
そんなことは起こりません。
むしろ、
「飲み会で本音を言え。」
という空気そのものが、
新たなプレッシャーになってしまうこともあります。
心理的安全性を、
何でも好き勝手に言える状態だと誤解している方もいますが、
それは違います。
こんなことを言ったらどう思われるだろうか、
そんな不安を抱えながらも、
それでも声を出せる状態こそが、
心理的安全性です。
だからこそ本音は、
夜のお店で生まれるものではなく、
昼の職場で育っていくものなのです。
昼の職場が変われば夜も変わる
普段の会議で、
「それ面白いですね。」
「ありがとうございます。」
「違う意見も聞いてみたいです。」
そんな言葉が飛び交う会社では、
飲み会に行っても、
自然と会話が弾みます。
一方で、
会議では否定ばかり、
失敗すると責められる、
質問すると怒られる、
そんな職場が、
月に一度飲み会を開いたところで、
空気は簡単には変わりません。
つまり、
飲み会は原因ではなく、
結果なのです。
この順番を取り違えている限り、
どれだけ飲み会の回数を増やしても、
状況は好転しません。
管理職が明日からできる三つのこと
では、
管理職は明日から何をすればいいのでしょうか。
一つ目です。
会議で一番最初に発言した人を、
評価してください。
意見の内容ではありません。
話してくれた勇気そのものを、
認めることが大切です。
二つ目です。
自分から先に失敗談を話してください。
上司が弱さを見せることで、
部下は安心します。
完璧な上司よりも、
人間らしい上司の方が、
結果として心理的安全性は高まります。
三つ目です。
飲み会そのものを目的にしないことです。
行きたい人が行く、
帰りたい人は帰る、
その自由さがあるからこそ、
参加した人同士の時間は、
本当に価値あるものになります。
無理に全員参加を求めるほど、
その場の質は下がっていきます。
飲みニケーションとの正しい付き合い方
飲みニケーションは、
悪者ではありません。
ですが、
万能薬でもありません。
職場で積み重ねた信頼があるからこそ、
飲み会はさらに信頼を深める場になります。
逆に、
職場に信頼がなければ、
飲み会はただの長い残業になってしまいます。
この違いを理解しているかどうかで、
飲み会への向き合い方は、
大きく変わってくるはずです。
今日のまとめ
今日のポイントをまとめます。
一つ。
飲みニケーションは、
心理的安全性を作るものではありません。
二つ。
本音は、
飲み会ではなく、
日々の職場で育ちます。
三つ。
管理職が作るべきなのは、
飲み会の場ではなく、
毎日安心して話せる空気です。
もし皆さんの会社で、
「最近飲み会が減ったな。」
という話が出たら、
ぜひ一度、
こんな問いを投げかけてみてください。
私たちは、
昼間の職場で本音を話せる関係を作れているだろうか。
答えは、
夜ではなく、
昼の職場にあるのかもしれません。
皆さんの職場では、
本音はどこで生まれていますか。
