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百人一首から31首 vs. ボカロ31曲

ボカロ曲を聴いていて「あの和歌みたいだなぁ」と感じることが時々あるので、まとめてみました


ご了承ください

  • 文字数削減のため作者名を省いています。和歌は 小倉百人一首一覧 等から、楽曲は各リンクからご確認ください

  • 和歌の現代語訳や背景情報も省いています

  • 和歌の表記は色々ありますが、私にとって読みやすいものを選んでいます

31首 vs. 31曲 プレイリスト!

春過ぎて夏来にけらし 白妙の衣干すてふ天の香具山
【快晴】夏の到来を爽やかに歌い上げる曲。実は(歌詞には出てきませんが)動画に出てくる女の子の白いシャツから連想しました

わが庵は都の辰巳しかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり
【空想フォレスト】訳あって森の中に一人で暮らす少女の曲。「案外、人生なんで。私の中じゃ」と達観したセリフが印象的です

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
【トリノコシティ】様々な人生が行き交う関所のように 「0と1」や「嘘と本当」が行き交う電脳世界の曲。和歌と同様リズミカルです

わたのはら八十島かけて漕ぎいでぬと人には告げよあまの釣舟
【突撃前夜のダンス】 破滅の予感があるのに勇まくてカッコいい曲。流罪でも勇ましい参議篁と通じるところがあります

天つ風 雲のかよひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ
サリシノハラ 一瞬しか会えなくても、雲の上の人(アイドル)を想い続ける曲。和歌は明るいですが、楽曲は危うい雰囲気です

筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞ積りて淵となりぬる
【Starlight Girl】ピュアで切ないラブソング。涙が流れて「心に溢れる好きのプール」を作る、という描写から選曲しました

陸奥の忍ぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに
【メランコリック】「君」に心を乱される片想い曲。拗ねて文句を言うような「知らないもん」「また眠れないでしょ」が、かわいい!

わびぬれば今はた同じ 難波なるみをつくしてもあはむとぞ思ふ
【炉心融解】世界への絶望、現実感の喪失、破滅の覚悟といった点で近いような。「君」と普通には幸せになれない悲壮感があります

みかの原わきて流るる泉川 いつ見きとてか恋しかるらむ
【特急ひとめぼれ】相手のことをよく知らないのに恋に落ちて、もう湧き上がる想いを止められない!という一目惚れソング

久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ
【桜ノ雨】ボカロの卒業ソングでは最も有名といえる曲。優しいメロディーは、和歌の美しい調べとも通じるところがあります

夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ
【夜明けと蛍】夏の夜明け、月、というシチュエーションから。令和の熱帯夜とは違う、心地よい夜を想像します

あはれとも言ふべき人は思ほえで身のいたづらになりぬべきかな
【ネトゲ廃人シュプレヒコール】ネットゲーム中毒の主人公。現実の世界は「僕抜きで機能して回る」という救いのない状況です

由良のとを渡る舟人かぢを絶え行方も知らぬ恋の道かな
【ロケットサイダー】荒廃した地球から「月の裏側」まで逃げ出す二人。大海原どころか宇宙の中で行き先を失ったような大恋愛です

君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな
【心拍数♯0822】人生に思い残すことはないはずだけれど君を守るために生きたい、という幸福感や決意に共通項を感じます

忘れじの行く末までは難ければ今日を限りの命ともがな
【ピアノとマグメル】君との未来の保証はないから、いっそここで終わりにしようか、という発想。退廃的というか耽美的というか

あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな
【白い雪のプリンセスは】死んでしまいそうだから最後に逢いに来て、という悲痛な叫びから連想しました

やすらはで寝なましものをさ夜ふけて傾くまでの月を見しかな
【ツギハギスタッカート】和歌では人の来訪を待っていますが、楽曲では返信を待っているようです。諦めようかと迷いながら……

大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立
【ランウェイのファンタジスタ】周囲に疑われても実力で黙らせた小式部内侍のような、トップモデルの矜恃が歌われます

今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな
【夏崩レ片想ヒ】「一秒間でいいから」会いたい、「さよならだけでも」と懇願する曲。「人づて」で終わりだなんて悲しすぎますよね

朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木
【morning haze】曲名(朝靄、朝の霧といった意味)でチョイスしました。繊細な曲調からも早朝の空気感が伝わってきます

もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし
【ゆめまぼろし】とても孤独だけれど、穏やかさもある境地。孤独な人生も自分の人生だからと向き合っているような印象です

心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな
【地球最後の告白を】思いがけず(なんと人類が滅びるまで!)長生きして、愛した人も失った哀しみが歌われます

夕されば門田の稲葉おとづれてあしのまろ屋に秋風ぞ吹く
【ordinary】「優しくなった秋風が頬を撫でる」というフレーズから。ミディアムなテンポや心地よいメロディーも秋っぽいです

世の中よ道こそなけれ 思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
【アイロニ】人生に悩んで「泣き場所」も見つけられず、さまよう主人公。どこまで逃げても安息の地がない、悲痛な心情です

ながらへばまたこの頃やしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき
【A Leaf Letter】「遠回りばかりしてきた」過去も振り返れば愛しくなることを確かめ、「ありふれた」現在を肯定しようとする曲です

わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾く間もなし
【深海少女】「悲しみの海」に沈んで「誰にも見つけられないのかな」と嘆く主人公。楽曲ではドラマチックな展開が待っています

おほけなくうき世の民におほふかな わが立つ杣に墨染の袖
【君の神様になりたい】身のほど知らずだとは分かっているけれど(音楽で)誰かを救いたい、という純粋な意志が似ています

花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり
【すろぉもぉしょん】物事に一喜一憂しながら忙しく過ごすうちに人は老い、人生は「ゆっくり終わってゆく」と達観した曲

風そよぐならの小川の夕暮はみそぎぞ夏のしるしなりける
【八月よ、透過して】夏の終わりに涼しい風が吹き抜ける様子が曲調からも伝わります。酷暑が延々と続く現代じゃありえない……

人もをし人も恨めし あぢきなく世を思ふ故にもの思ふ身は
【A.I.210】SF小説のような一曲。戦乱で大切な人を失ったAIが、人間のことを「知りたくない」「知りたいな」と葛藤します

ももしきや古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり
【砂の惑星】過去のボカロ文化を偲び、現状を砂漠に喩える曲。ちなみに私は昔の曲も今の曲も両方とも楽しめる今が好きです!

やってみた感想

  • 風景の歌はボカロでは思いつきにくい
    ボカロに限らず J-POP でも少ない気が。音楽には中々真似できない、短歌や俳句だからこそ格好よく決まりやすいジャンルなのかしら。風景の短歌もっと詠もうっと

  • 孤独って普遍性のある感情なんだな
    終盤の孤独系の(雑な括りで失敬)和歌たち、ボカロに置き換えやすかったです。正直、百人一首の中で上位のお気に入りではなかったのですが、意外と好きかも……

  • 秋、そんな寂しいか?
    あまり取り扱えなかったのですが、秋の哀愁を詠む和歌が結構ありました。今どきは酷暑が終わったかと思えば冬になるし、貴重な秋にはルンルンで出かけますけどね


ご覧いただき、ありがとうございました!