人魚姫を、有罪とする【毎週ショートショートnote】 | ぽてぽたのよしなしごと #31
王立高等法院・海陸間紛争部。
一般市民に該当しない人魚との紛争を裁く専門機関として、今年初めて設置された「人魚裁判所」。
海陸法務官が、証言台の王妃に尋ねた。
「王室の公的なイベントにも、人魚は何度も現れたのですね?」
「はい。王宮舞踏会、夏至祭の晩餐会、聖堂の礼拝でも、確かに見ました。王の非公開の外出先を見張らせたところ、夜には宿泊先に現れました」
「その後も接触が続いたことを示すものはありますか」
「やめるよう伝えた後も人魚から届いた手紙を、すべて保管しています」
被告人質問では、魔女の討伐後に声を取り戻した人魚が訴えた。
「私は王子様の命の恩人です。交流が続いているだけです」
「非公開の外出先にも、現れたんですね?」
「王子のことが心配だったんです」
* * *
裁判長は人魚に有罪を言い渡した。
王室傍聴席では、王が王妃の手を強く握って言った。
「長年のストーカーに、ようやくケリがついた。王になって3年も経つのにまだ王子って呼んでるとか、やべえよ」
(414文字)
* * *
おはようございます。
物語の解釈って、本当に人それぞれですね。
ってよく考えちゃう、ぽていとぽたあとです。
今回も田原にかさんの、毎週ショートショートのお題に挑戦しましたよ。
お題:人魚裁判所
「人魚では、さすがに書けないわ。何も思い浮かばんわ。詰んだ」
と思いながら皆さんのショートショートを読んで回っていたら、ふと数年前にディズニーの実写版『リトル・マーメイド』が公開されたときのことを思い出しました。
主人公の人魚、アリエル役をハリー・ベイリーが演じたことが話題になりましたよね。
「ディズニーもダイバーシティがんばってるよねえ」という話をしたくて友人に話題を振ったときのこと。
友人が、こう言ったのです。
「リトル・マーメイド? ああ、あのストーカーの話ね」
え?
ってなりましたよね。
いやいや、ストーカーて。
解釈のクセつよっ。
と、最初は思いました。
ところがあらすじを調べ直したら、「たしかにこれ、現代ならストーカーだな」ってなったんですよね。
一度もちゃんと話したこともない人物に一方的に思いを募らせ、すべてを捨て、身分を偽り、相手の生活圏に入り込んでいく……。
サイコスリラー?
からの、今回の話を思いつきました。
もちろん原作の『人魚姫』や『リトル・マーメイド』という作品を否定・非難する意図はなく、あくまでもショートショートです。
※「王立高等法院・海陸間紛争部」「海陸法務官」といった名称の考案は、ChatGPTとClaudeに手伝ってもらいました。
🥔・🥔・🥔
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ぽてぽたの「よしな、仕事!」じゃないですよ。「由無し事」です。
