『約束の場所 ~魂が震える、日本一の景色~』最終話
最終話
全国大会の会場は、地方大会とは空気がまるで違っていた。
張り詰めた緊張感。全国から集まった猛者たちが発する覇気。
かつての私なら、この空気に飲まれて体調を崩していたかもしれない。
けれど、今の私は違う。
九州を制し、移動の恐怖を克服し、夫・カズと二人三脚でここまで来た。
「カコ、楽しんでおいで。君はもう、誰よりも強いよ」
ベンチコーチに入ったカズが、私の背中をポンと叩く。
その温かい手のひらから、不思議な力が流れ込んでくるのを感じた。
私たちはツインソウル。二つの魂が一つになった時、不可能なことなど何もないのだ。
決勝戦の相手は、歴戦の王者。
ラリーが続く。一進一退の攻防。
息が上がる。心臓が早鐘を打つ。
――でも、止まらない。
7年前に一度止まりかけたこの心臓は今、歓喜のビートを刻んでいる。
「いけええっ!」
私の喉から、魂の叫びがほとばしった。
渾身のスマッシュが、相手コートの隅に突き刺さる。
審判の手が挙がった。
ゲームセット。
一瞬の静寂の後、会場が万雷の拍手に包まれる。
私は、日本一になった。
60代の頂点。病弱だった少女も、リハビリで泣いていた私も、すべてがこの瞬間のためにあったのだ。
振り返ると、カズが泣いていた。
私も駆け寄って、彼を抱きしめる。
「ありがとう。私を見つけてくれて」
「ありがとう。僕と生きてくれて」
夫婦の長い旅路は、ここで一つのゴールを迎え、そしてまた新しいスタートラインに立つ。
私たちの魂のラリーは、これからもずっと続いていくのだ。
(おわり)
魂のラリー〜応援歌決定
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