高屋町の未来を、みんなで描く——あわだちそうの想い
5月16日(土)、海を望む珠洲市高屋町で、地域の再生に向けた取り組みを続ける「あわだちそう」の皆さんを訪問しました。
高屋町で出会った「あわだちそう」の想い

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能登半島地震により家が崩れ、解体後は次々と更地が広がる風景。その静かな更地に伸び広がるセイタカアワダチソウ。一見凡庸に見えながらもたくましく根を張り、生態系の中で大きな役割を担う。そんな必要な役割を果たす存在でありたいーーそんな願いを団体名である「あわだちそう」に込めて、活動を続けられているそうです。

「あわだちそう」では、「珠洲市高屋町復興公営住宅整備に係る住民主体のまちづくり支援」の活動に「コープいしかわ 令和6年能登半島支援活動助成金」を活用する予定です。
高校時代の同級生に会いに行ったことから始まった、高屋町とのつながり
代表理事の塚本安優実さんは、関東で建築のお仕事をされながら、定期的に高屋町へ通って活動を続けていらっしゃいます。
石川県出身の塚本さんは、2024年1月の能登半島地震以降、「能登のために自分にできることはないか」と考え続けていました。そんな折、学生時代の同級生であり、珠洲市高屋町に移住していた友人とのInstagramのDMがきっかけで、高屋町とのご縁が生まれました。
震災前から高屋町で暮らしていたその友人の方は地域では貴重な若手で、発災直後には外部から炊き出しや支援の問い合わせが次々と寄せられ、その対応に追われる日々が続いたといいます。
塚本さんは、まずはその友人を近くで支えたいという思いから、高屋町へ通い始めました。

住民の声を聴きながら、未来の暮らしをともに描く
塚本さんが現地へ足を運ぶうちに、友人や地域の方から「(いついつに)集会があるよ」と声をかけられるようになりました。そうして住民のみなさんとの信頼関係が少しづつ築かれていった頃、高屋町全体で復興公営住宅の整備について考える段階となり、区長さんからも塚本さんに相談が寄せられるようになりました。
そうして住民のみなさんへの丁寧なヒアリングが始まりました。まずは「どこに公営住宅を建てたいか?」という、一人ひとりの切実な願いを聴くことから取り組みを進めていきました。集まった声は、エクセルを使って「見える化」し、どのような意見が集まっているのかを住民のみなさん自身が確かめられる場も設けました。
しかし、すべての希望をそのまま形にすることは、簡単なことではありません。復興公営住宅の事業では、すべての希望を実現するのは難しいという現実も丁寧に共有しながら、みんなが納得できる形を探すために、塚本さんたちはヒアリングや集会、学習会を重ね、住民のみなさんとの対話を積み重ねていきました。
「集落に馴染む配置計画の復興住宅」を高屋町で考える
その一方で、塚本さんは九州工業大学工学研究院の石塚直登准教授の協力を得て東北へ向かい、過去の復興公営住宅の事例を学びました。現地で得た学びを高屋町に持ち帰り、住民のみなさんとともに学習会やまち歩きを実施。過去の事例に学びながらも、「高屋町らしさ」を大切に、みんなで未来の姿を考えていきました。

検討を重ねる中で、東日本大震災後の復興の手法を参考にし、解体された跡地など、もともとの暮らしの場を活かして住宅を建てる配置案が見えてきました。
高屋町で予定されている建設候補地は海際で、大変風の強いエリアのため、既存の土塁(どるい)を残して、その上に防風フェンスを設置するように行政に要望したり、海産物を採取するための動線を確保するなど、生業を継続しやすい計画になっているという特徴があります。
最終的には、それぞれの案を比較しながら、「どの案を自分たちの希望として届けるか」を住民のみんなで話し合い、選び取りました。
これらの案を形にするため、学生さんたちも加わって模型を制作しました。住民のみなさんに実際に目で見てもらいながら案を選び、その結果を区長さんを通じて市へと提出しました。
高屋町らしい暮らしを守るために
高屋町は、半農半漁の豊かな暮らしが息づく町です。だからこそ、道具の手入れや加工ができる「共同作業場」の存在や、地域の心の拠り所である神社の修復、そして建物の解体が進んで町の姿が変わるからこそ必要になる「防風壁」の設置、外浦の暮らしや営みを体験する拠点となる「農家民宿」への改修など、復興のために少しずつ地域の方々と協力して進めています。


塚本さんにとって高屋町との関わりは、当初から建築の仕事として何かできると確信していたわけではありませんでした。むしろ、高齢者が多く、震災によって人も土地も生業も深く傷ついた現実を目の当たりにし、「建築の出番はない」と感じていたといいます。
それでも、通い続けるうちに、住まいの再建や修繕の相談や、復興公営住宅の建設に向けた話し合いなど、小さなことからできることが少しずつ見えてきました。地域の方々から野菜や魚のお裾分けをいただく中で会話が生まれ、悩みを打ち明けてもらえる機会も増えていきました。そうした積み重ねの中で、建築やまちづくりに関わる部分を相談できる存在として自然と受け入れてもらえていったそうです。
「まさか自分がボランティアで毎月被災した集落に通うとは思っていなかった」と塚本さんは話してくれました。それでも今、住民のみなさんが納得できる形で復興が進むよう、伴走できていると感じる瞬間が増えてきたといいます。
そうして楽しく通い続けられているのは、高屋町のみなさんがいつも明るく前向きに迎え入れてくださり、復興に向けて一日も休まず協力し合っているから——塚本さんの言葉から、その感謝と敬意が伝わってきました。
現在は、この地域ならではの暮らしや歴史への理解を深めるフリーペーパー「うらうら編綴」の制作と発信にも取り組んでいます。うらうらは、外浦と内浦を表しているそうです。vol.1では、半農半漁の外浦における山のいとなみを取り上げています。現在、第二弾以降も鋭意制作 中とのことです。

📣イベントのご案内
珠洲市高屋町の復興の過程を記録するドキュメンタリー映像作品のvol.02が公開されます。本上映にあわせて、監督の森義隆氏、上映会の企画運営を担う坪久田 千春氏、そして「あわだちそう」代表理事の塚本安優実さんによるトークイベントも開催されます。
お時間のある方は、ぜひ会場でこの取り組みに触れてみてください!
【開催概要】
開催日:2026年7月12日(日)17:00 -19:00(開場 16:30)
2026年7月13日(月)19:00 -21:00(開場 18:30)
会場 :コミュニケーションスペース amu(あむ)
東京都渋谷区恵比寿西1-17-2
JR恵比寿駅西口から徒歩4分
東京メトロ恵比寿駅2・4番出口から徒歩2分
参加費:無料
定員 :各日30名
🔹上映会予約ページ:https://peatix.com/event/5055626
🔹映画の特設サイト:https://sakinisumu.jp/
コープいしかわ 能登復興推進室 なかがわ
2024年3月~12月まで、日本生協連、全国会員生協の皆様と、能登町、穴水町、輪島市のボランティアセンターでの支援活動に入り、現在は、団体・生協の皆様と関わる業務を主にしています。
