【かわいそうのその先へ】パンチ君から見る人間心理㉔
このシリーズは、
市川市動植物園のサル山で暮らす
パンチ君を通して、
人間心理を考察する連載です。
パンチ君、
サルたち、
飼育員さん、
スタッフさん、
見学者、
そしてSNS。
サル山には、
私たち≪人間関係の縮図≫が
そして
《生きるとは?》ということが
不思議なほど映し出されています。
愛着、安心感、承認欲求、孤独、境界線――。
長年「心」を探求してきた私の視点から、
その奥にある人間心理について綴っています。
前回はこちら
**
昨日の15時のエサの時間に、
食事中のパンチ君が
その隣にいた大人のおサルさんの
ゴキゲンを損ねて、
お叱りを受けて?
ひきづられるという場面があったようです。
今までのそんな投稿の
コメントを見ていると、
「かわいそう!」
「食べてただけなのにひどい!」
「あのおサルさん隔離して」
などというコメントなどが
圧倒的に多かった印象ですが。
昨日のコメントを見ていたら、
「怒られちゃったね」
「自分のエリアに
パンチがきたと思ったのかな?」
「いい加減、サル山のルール覚えないとね」
「こういうのはパンチだけじゃなくよくある」
「サル山はやっぱり厳しいな」
という、
過去あまり見たこともない
一定数のコメントも
出てきていることに気づきました。
パンチ君の月齢が
あがってきていることもあるかもですが。
ちょこちょこ行ったり
見学されている方はもちろん、
投稿だけを見ている方も
だんだんと見る視点が
変わってきているんでしょうね。
(私も含む)
冷静な視点で見れるようになっている方が
増えているんだなぁというのが
率直な印象でした。
食事の時はトラブルも起きやすい。
それは「パンチ君だから」
ということではない。
**
ここってすごく
大切な部分じゃないかなと思います。
今まではどちらかというと、
「かわいそう」という視点が
多かったように思います。
でも最近は
「サル社会のルールだよね」
という声が増えている。
その背景には、
見ている人たちが、
少しずつ
「パンチ君の幸せ」
を考えられるようになったのではないでしょうか。
「パンチ君の群れ入り」
を本当に応援するようになっている。
ということがあるのではないかと思います。
**
私たちは、
大切な人ほど、守りたくなります。
傷ついてほしくないし、
悲しい思いをしてほしくはない。
できれば失敗もしてほしくない。
でも、
本当にその人を愛しているなら、
時には転ぶことも、
叱られることも、
学ぶことも、
苦い経験をすることも必要です。
パンチ君も同じ。
群れのルールを覚える。
距離感を覚える。
相手と目を合わせない。
パンチ君が、
自分で苦い経験をしながら、
学んで習得していく以外、
この群れの中で生きていくことはできない。
人間も、
子供たちが苦しんでいると助けたくなるし、
友達が失敗しそうだと止めたくもなる。
大切な人が傷ついていると
可能なら代わってあげたくなる。
でも、
本来はその人が経験しながら、
自分で答えを出していくしかないんですよね。
ここには、
「見守る愛」
という大きな心と勇気が必要になってきます。
助けるよりも見守る方が、
よっぽど苦しいことも多いからです。
私は、
今回のことを通して、
サル山を見守る一人一人が
この
大きな
「見守る愛」の気持ちが
深くなっているんだ
と感じられました。
そのことが
とっても嬉しく感じたし、
温かいなぁとも思いました。
**
飼育員さんたちは、
基本的に常に見守っています。
多分、
手を出したい時もたくさんあるし、
見守り続けることは
苦しいことも多いでしょう。
ギリギリのときには
必ず手を差し伸べる。
でもそれ以外は、
自分の感情は置いて見守る姿勢。
「見守る」ということは、
相手の力を信じること。
相手が弱い存在と思っていると、
見守れないんです。
赤ちゃんが苦しんでいて、
それを見守ってるからと放置したら
とんでもないことになるのと同じです。
飼育員さんたちは、
パンチ君の心の強さを
本当に信頼している
んだと思います。
そういう風に十分育ててると思います。
サルの成長って、
人間の約3.2倍の速度なんだそうです。
(大分県 高崎山情報より)
パンチ君でいうと、
今は人間の三歳くらいかな?
最近はパンチ君も、
誰かに何かをされても
立ち向かうというか、
文句だらだら言っていそうというか 笑
ただでは引き下がらなくなっていますもんね。
すごい成長力です。
そんな姿を見ていると、
もう守られるだけの存在では
なくなってきてるんだなぁと感じました。
もちろんまだ≪こども≫だけど 笑
転んでも立ち上がる力。
怒られても学ぶ力。
嫌なことがあっても前に進む力。
そんな力が確実に育っている。
私たちがすることは、
ずっと抱きしめることを求めるのではなく、
信じて見守ること
なのかもしれません。
それは子育ても、
人間関係も、
人生そのものも同じ。
相手を信じること。
それが
見守る愛
なのだと思います。
パンチ君は今日もきっと、
サル社会を少しずつ学びながら
確実に成長しているのでしょう。
私たちもまた、
パンチ君を通して
「愛すること」と
「見守ること」の違いを
学ばせてもらっているのかもしれません。
こんな温かい見守りの中で、
パンチ君はますますたくましく
サル山に馴染んでいく。
そんなことが
少しさみしくもあり、
とっても嬉しくも感じた
昨日という一日でした。
**
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