【本当にパンチは“かわいそう”?】パンチ君から見る人間心理⑱
このシリーズは、
市川市動植物園のサル山で暮らす
パンチ君を通して、
人間心理を考察する連載です。
パンチ君、
サルたち、
飼育員さん、
スタッフさん、
見学者、
そしてSNS。
サル山には、
私たち≪人間関係の縮図≫が
そして
《生きるとは?》ということが
不思議なほど映し出されています。
愛着、安心感、承認欲求、孤独、境界線――。
長年「心」を探求してきた私の視点から、
その奥にある人間心理について綴っています。
前回はこちら
**
今日は特に
私の勝手な主観に
なってしまうかもしれない記事です。
パンチの誕生日は
7月26日と言われています。
その頃の日本はといえば、
昼間は40℃近い
気候になるときもあるような時期。
夜も暑い。
市川市動植物園は、
日本一の赤字の動物園としても有名でした。
(そこだけは知っていた)
その中で、
サル山を作っているわけですが。
画像などから見ても、
コンクリートの多い感じだな
という印象でした。
その環境下で、
真夏の出産。
パンチのお母さんは、
初産だったと聞いています。
体力がなくなって、
パンチを育てることが
できなかったとも言われています。
どれだけ大変だったことでしょう。
どれだけ頑張ったことでしょう。
エアコンも何もない中で、
人間があの環境で出産しても
かなりの体力を消耗され、
動けなくなるのは目にみえてます。
パンチに関して、
❝育児放棄された❞
という言い方が一般的になっていますが、
私はパンチのお母さんは
放棄したかったわけでは
ないだろうと思います。
だから、
人工哺育が始まっても、
パンチのところに来て、
手を伸ばして
パンチを触ろうとしていたと
前に飼育員さんがおっしゃっていました。
そんな過程があるから、
誕生から一か月くらい経って、
母ザルの元に一度パンチを返したけれど、
その時はすでにおっぱいが出なくて、
やむなく人工哺育を続けたと。
そんな間に時間がたって、
サルの本能として、
生きるために出産したことを忘れていった。
**
飼育員さんたちは、
この一連の流れを
全部見ていたわけです。
育てたくても育てられなかった
母ザルの想い
も知っていたのかなと。
それを、
❝育児放棄❞という
まるで捨てたかのような言い方にするのは
違うのではないかと
前からずっと思っていました。
そして、
一番近くで
そんなやりとりを見ていたからこそ、
飼育員さんたちは、
さらなる愛情をこめて
パンチを丁寧に
育てていたのではないでしょうか。
そこには、
動物園ならではの
過酷な暑さを強いていた
ということもあるだろうし、
経営自体が厳しいことからの
サル山や園内の施設を改善できなかった
やるせなさもあるような気がします。
**
飼育員さんが以前、
「人間の手が入った以上、
(人工哺育で育った)
その責任の重さを感じている」
というような趣旨のお話をされていました。
そんな複雑で
様々な育てられなかった背景があるからこそ、
飼育員さんたちは
昼夜を問わず
相当な覚悟をもって
人工哺育をはじめ、
今もなお、
難しい状況下でも
群れ入りのために
忍耐強く毎日毎日接しているのだと思います。
本当は毎回抱きしめたいほど
かわいいだろうけど、
他の動物のようには
それは絶対にできない。
私だったら、
それだけでも
心が押しつぶされてしまいそうです。
でもプロとして、
オランママから離れることがゴールではなく、
パンチが群れの中で
しっかり馴染んで
生活をそこでしていくことを
目標とされています。
それには何年もの見守りが必要でしょうし、
パンチが雄サルである以上、
本当の試練はここから始まる
のだと思います。
それらをすべて
飼育員さんたちは
覚悟をもって接しています。
**
本当かどうかはわかりませんが、
以前どなたかの投稿で、
パンチにそっくりな美人のサルさんに
パンチが抱きしめられている
写真を見たことがあります。
もしそれがパンチの
本当の母であるとするならば、
本能で、
記憶としては忘れざるを得なかったけど、
母親としては、
どこかで愛おしい気持ちは残っている、
のかもしれません。
事実は飼育員さんのみぞ知ることですが、
そんな数々の光景すら
飼育員さんたちは
何かしら目にしているはずです。
でもプロとして
表には出さず、
サル山の
どの子も傷つけないスタンスで、
日々のお勤めを
サル山の状況把握を
パンチの群れ入りを
一生懸命にされている。
話を戻すと、
最初にも書きましたが、
きっとこの初産だったお母さんは
パンチを育てたかったんだろうなと
私は思います。
生んだ後も、
パンチの傍にいこうとして、
触れようとする姿は
飼育員さんも
苦しいものがあったかとも思います。
初めての赤ちゃんですし、
本当は育てたかったんだと思う。
でも真夏という状況下では
自分の体力の消耗があまりにも激しすぎて
生きるのが限界だったのかもしれません。
それを飼育員さんたちも知っていて、
その後母ザルの回復を待って、
一度は返そうとした。
でも物理的に育てられなかった。
私個人は、この過程を
❝育児放棄❞とは言いたくないです。
去年までの園では、仕方なかった。
だから、
サル山の改善のためにも
今、クラファンや寄附を募っている。
**
❝パンチは育児放棄されてかわいそう❞
❝パンチはお母さんがいなくてかわいそう❞
状況はそうかもしれませんが、
本当にパンチ
かわいそうなのでしょうか?
人は、
自分がつらかった経験や、
満たされなかった想いがあるほど、
誰かの姿に
それを重ねてしまうことがあります。
だから私たちは、
「お母さんと離れてかわいそう」
「一人で頑張っていてかわいそう」
と思うのかもしれません。
でも本当にそうなのでしょうか。
パンチは確かに
大変な環境で育っているのかもしれません。
けれど同時に、
飼育員さんたちにしっかり見守られ、
たくさんの人たちに愛され、
世界中から応援されながらも育っています。
私は時々思ってしまいます。
かわいそうに感じるのはパンチではなく、
"自分の何かしらの傷に反応する私たち自身"
なのかもしれないと。
私は、
パンチほど
人間からもサルからも
愛情を受けて育っているサルを
見たことはないし、
こんなに世界中から応援されている
おサルさんを
見たことはありません。
その
たくさんの応援は、
絶対にパンチの
成長の力になっている
と思います。
私にできることは、
こんなに動物を大切にしてくれる、
園の状況が少しでも改善できるように、
寄附することだし、
遠くから
心配や不安や
かわいそうという思いではなく、
「ありがとう」という
エネルギーを送ること
だと思っています。
生んでくれてありがとう
生まれてくれてありがとう
生きててくれてありがとう
育ててくれてありがとう
見守っててくれてありがとう
そんな気持ちを届けたいです。
パンチからは不思議な力を感じます。
人間にも「胎内記憶」を話す子供たちがいて、
多くの子が
「自らが親を選んで生まれてきている」
と言っています。
サルに当てはまるかわかりませんが
パンチは園を守るためにも
あの愛情深い2人の飼育員さんに
育てられることを
自ら望んでたんじゃないかな。
これは超勝手な私の妄想ですが。
そんな妄想をすると
あの強さも逞しさも
体つきも天真爛漫さも
ここまで世界が魅了されるのも
「天からの授かりもの」という
妙な納得もできたり 笑
あんなに人間に全身で
当たり前に甘えるおサルさんも
見たことないし、
あの3人でなければ
ここまでの信頼関係は
築けなかったはず
です。
そんな風に思うと
かわいそうというよりは
「本当にすごい子だな」
って。
よりパンチのことを
暗いフィルターなど通さずに
応援しやすくなると思うんですよね。
その前向きな
みんなの応援の力は
パンチのこれからの
生活の支えにもなる。
これからも
パンチの応援、
そしてサル山の応援、
飼育員さんたちへの応援、
動植物園への応援を
誰を犠牲にすることなく、
みんなで後押しできたらいいですね。
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— 市川市動植物園(公式) (@ichikawa_zoo) May 29, 2026
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