『あなたのように』
向日葵の植物としての性質を知ったとき、
なぜか胸に残った感覚をもとに書いたお話です。
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子どもの頃、向日葵はずっと太陽を追いかけていると思っていた。
けれど、それは“若い頃だけ”だと知ったのは、大人になってからだ。
成長を終えると、向日葵はもう追いかけない。
ただひたすら、東の空を向いたまま、じっと咲き続ける。
その話が、なぜかずっと胸に残っている。
追うことをやめた花が、なんだか少し、自分と似ている気がして。
私も昔は、いろんなものを追いかけていた。
夢とか、誰かの背中とか、あれが欲しい、ここへ行きたい――
そんな衝動に突き動かされていた。
大きな喪失があったわけじゃない。
ただ、日々が流れる中、追うことより立ち止まる方が楽だと、知ってしまっただけ。
ベランダに咲いた向日葵の花びらが、ぽとりと散っている。
太陽を追うでもなく、終わりが近い姿で、ただ風に揺れていた。
私はそっと、その横にしゃがみ込み、しばらく空を見上げる。
沈みかけた夕陽が、まぶしかった。
「……もう一回、頑張ってみようかな」
誰にともなくこぼれた声は、花びらと一緒に風にさらわれていった。
どうせすぐに、また立ち止まるかもしれない。
それでも、いい。
私もただ、東を向いて、光を待ってみよう。
日の出を待ち侘びて咲く
この、向日葵のように。
完
あとがき
この物語は、片桐みかんさんの書かれた「向日葵が泣いた日」のお話に心を動かされ、
自分も描いてみたくなって生まれました。
みかんさん、ありがとうございました。
そして、初めて風まかせ文芸部のことば遊びに参加させてもらいました。
ありがとうございました。
