瞑想:心の中の彼女③ — 「あなたの話が聞けるだけで幸せ」と言われて、涙が出た
なぜ城の中に置いておけぬ、と感じたのか。
瞑想が終わっても、
あの女性のことが気になっていた。
今日も目を閉じる。
気づくと、昨日と同じ城に立っていた。
同じ道を進み、同じ人に会いに行く。
瞑想の中で、私はこの世界の続きを歩いているようだった。
光沢のある青い袴に白い羽織をまとい、馬にまたがって城を出る。
田畑を抜け、
山を降り、
少し暗い森の中にある屋敷へ向かう。

門の前で、女性が待っている。
「おかえりなさいませ」と迎えてくれた。
目を見ただけで、心がほどけるような、美しい人だった。
屋敷に入り、女性が静かに微笑む。
「どうなさいますか。何かお召し上がりになりますか?」
囲炉裏のある部屋で、
ぽつぽつと会話をしながら、
鶏の鍋をこしらえてくれる。
「おぅ、美味そうだ」と思った。

しかし、食べる前に、瞑想は終わってしまった。
食べられないのは少し残念だったが、
それ以上に、
静かで落ち着いた、
満たされる時間がそこにはあった。
――次の夜も。
――また次の夜も、同じように。
私はその屋敷を訪れた。
そして毎回、その美味しそうな鍋は食べられないままだった。
それでも、不思議と心は満たされていった。
ある日、私は鍋を前にして言った。
「いつもこのように迎えてくれて、ありがとう。礼を言うぞ」
女性は穏やかに答えた。
「いえ。私は、
貴方様の話が聞けるだけで幸せでございます」
その言葉を聞いた瞬間、
心が震えた。
現実の世界で、
もし誰かにこのような言葉を
かけてもらえたなら――
どれほど心は安らぎ、
勇気づけられるだろうか。
瞑想を終え、現実に戻ったとき、
私は静かに涙を流していた。
これは瞑想なのか。
それとも、
ただの妄想なのか。
そう思いながら、
あらためて自分の内側を見つめる。
もしかするとこれは、
深層意識が、
自分自身を癒やすために、
本当に求めていたものを
このかたちで差し出してきたの
かもしれない。
それから私は、
毎晩のように、
彼女に会いに行くようになった。
――それが何を意味しているのかは、
その時の私には分からなかった。
(続く)
このnoteは、
「意識」と「身体」、そして「その先」を探る記録です。
まだ結論は出ていません。
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