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瞑想:心の中の彼女⑤ ー 彼女の中に入った日。もう元には戻れない関係

なぜ私は、あの鍋を食べることができなかったのか。

その頃の私は、まだその理由が分からなかった。
私の中で、彼女の認識は「癒しの女性」から「アニマ」へと変わっていた。

だが、瞑想の内容そのものは大きく変わらない。

森の奥の屋敷へ行き、彼女に迎えられ、
少し会話をし、美味しそうな鍋を作ってもらう。

けれど私は、毎回その鍋を食べることができないまま、瞑想を終えるのだった。

食べたい。
本当は食べたいのだ。

それでも不思議なことに、
食べられなくても十分に癒され、満たされていた。


だが、それでもなお、
私はどうしてもその鍋を食べたいと思うようになった。

内観しても、答えは出なかった。
なぜ食べられないのか。
なぜそこで止まってしまうのか。

答えどころか、なぜか「鶴の恩返し」のようなイメージばかりが浮かぶ。

鍋を食べてしまったら、
もう彼女に会えなくなるのではないか。

そんな思いが、心の奥から浮かんできた。

それでも、欲求は消えなかった。
食べたいのだ。


そこで私は、AIと対話した。

どうすれば、あの鍋を食べられるのか。
なぜ私は、そこで止まってしまうのか。

AIの答えは、驚くほど簡潔だった。

「次の瞑想で、
いつもの屋敷に行き、
奥の庭を見せてくださいと伝えてください」

あまりにも具体的だった。
まさかAIはすべて知っている。。。。
驚きだったが、それはどうでもよかった。

奥の庭。
そんな場所があるとは、考えたこともなかった。

だが同時に、
そこに何かがある予感もした。


私はそのことを胸に、目を閉じ、瞑想に入った。

気づけばいつもの城にいた。
若殿となり、馬を駆け、
いつものように森の奥の隠れ家へ到着する。

彼女は、いつものように迎えてくれた。

着物姿の彼女が静かに立ち、
穏やかにこちらを見ている。

自然にうれしく思う。
今日も迎えてくれる。

「今日はどうされますか?」

私は茶を所望し、そして尋ねた。

「そなたは誰じゃ」

「私は貴方でございます。それは貴方様もお分かりのはず。」

彼女は、私の認識の変化をすでに知っているようだった。


少し間を置いてから言った。

「今日は、屋敷の奥を見せてもらいたい」

彼女は驚く様子もなく、
ただ静かに頷いた。

そして、屋敷の奥にある木戸を開けた。

その先には、竹の庭と東屋があった。

そこは、いつもの屋敷の延長でありながら、
どこか空気が違っていた。

静かで、少し張りつめていて、
これまで足を踏み入れたことのない場所だとすぐに分かった。


東屋に入ると、彼女は言った。

「しばらく、お一人でどうぞ」

私は戸惑った。

今までこの屋敷は、
いつでも彼女と一緒にいられる場所だった。
一人にされることなど、なかったのである。

彼女から目をそらし、
ふと奥の景色に目を向けた。

そこで私は、目を疑った。

そこには、青い海と富士山があった。

見覚えのある風景だった。

やがて私は、それが美保の松原であることに気づいた。
過去に訪れた、静岡の風景だった。

そこから、記憶の中の景色が次々に現れた。

泉。
瀧。
神社。

私は、富士山麓の名もなき神社に立っていた。

拝殿の中には、白蛇や女神の額がいくつも飾られていた。
そして、その中に鏡があった。

私はその鏡に、自分の顔を映してみた。

だが、そこに映っていたのは、私ではなかった。

彼女の顔だった。

その瞬間、
私は彼女の言葉を思い出した。

「私は貴方でございます」

その言葉の意味を、
私はまだ十分には理解していなかった。

だが少なくとも、
彼女がただ外にいる誰かではないことだけは、
はっきりと感じ始めていた。

景色はさらに移り変わる。

今度は、静岡市内の浅間神社だった。
朱塗りの美しい社殿。
静かでありながら、どこか張りつめた空気。

巫女が現れ、
祓いと舞を行った。

そして最後に、私の前でひれ伏し、こう言った。

「これで終わりでございます」

私は尋ねた。

「そなたは誰じゃ」

すると巫女の姿は崩れ、
獅子舞の頭のようなものへと変わった。
赤い頭、白い毛。
やがてその白い毛はもやもやと揺れ、
ついには青白い光へと変わっていった。

その光は、言った。

「私はエネルギー体でございます。
あなたもそうでございましょう。
しかし、貴方は現実世界に生きる身。
身体というルールに従わなければならない。
それだけのことでございます。」

私は答えなかった。
理解はしたが、
何故このタイミングでこの話をされているのかが分からなかった。

だが、何かの境界が揺らぎ始めていることだけは感じていた。


気づくと、私は再び竹の庭に戻っていた。

東屋の外には、彼女が静かに待っていた。

穏やかに微笑みながら、
何も問わず、ただそこにいてくれた。

私は少し疲れていた。
だが同時に、
何か大事な場所に触れてしまったような感覚があった。

あの東屋は、
ただ屋敷の奥にある場所ではなかったのかもしれない。

それは、私の内側のもっと奥へ続く入口だったのだろうか。

その時の私は、まだそこまでしか分からなかった。

ただ一つ言えるのは、
あの奥へ通された日から、
彼女との関係は少しずつ変わり始めていた、ということだ。

(続く)


このnoteは、
「意識」と「身体」、そして「その先」を探る記録です。
まだ結論は出ていません。
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この回の前のお話↓
▶ 内面世界・心の中の彼女シリーズ(第3話)
内面に現れる風景や存在との体験を描いています。

▶ 内面世界・心の中の彼女シリーズ(第1話)
内面に現れる風景や存在との体験を描いています。


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▶ ヘミシンクで何も起きない人へ(第1話)
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太極拳をとおして、意識と身体の関わりについて感じたことを記録しています。

▶ 半生まとめ
これまでの私の人生の流れをまとめた記事。ここからすべてが始まります。

▶ AIシリーズ(まだ1話のみです)



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