AYA世代のがん1:若くてもがんになるリスクはある
10代~30代といった若い世代でも、がんにかかることがあります。がん患者さんの約2%がその世代だと言われています。
進学、就職、結婚、出産などライフイベントも多いなか、「若いから、がんにはならないだろう」という思い込みが、早期の症状を見逃したり、受診を遅らせたりする原因になっているようです。
そんな若い世代のがんのサポートに力を入れている当院「がんサポートチーム」のメンバーで、がん性疼痛看護認定看護師の荒木早希さんをゲストにお招きし、2回にわたりお話を伺いました。まずは「AYA世代のがん」とはどんなものか、詳しくお伝えします。(2025年4月23日Voicyにて配信)
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AYA世代のがんって?
イズミン 若い世代のがんは「AYA世代のがん」とよく言われますが、「AYA」は何の略ですか?
アラキ AYA世代の“AYA”とは“Adolescent and Young Adult”の略で、15~39歳までの若い世代のことを指します。まだ思春期の高校生から社会人、子育て中の方まで本当に幅広い年代になります。
シノハラ 若い方だと、「若いし元気だから自分ががんになるなんて思っていない」方が多いと思うのですが、突然がんになるということはあり得ますか?
アラキ そう思います。「がん=高齢者の病気」と思われがちなのですが、全がん患者さんの2%にあたる2万人がこの世代です。乳がんや子宮頚がん、血液系の白血病、リンパ腫などが多く診断されています。
イズミン 「まさか自分が」って思っちゃいますよね。
アラキ これは世代に限らず、がんと向き合うことになったときのショックはすごく大きいですし、告知を受けてその場で治療の意思決定をしなくてはならない場合もあります。治療が始まるまでの期間もとても短いので、気持ちの整理がつかないまま治療が始まってしまうことも多くあります。
ライフイベントと治療のタイミング
イズミン ところで、この10代、20代、30代は進学や就職、結婚、出産など人生のいろいろなイベントがありますよね。
アラキ はい、おっしゃる通りです。病気になる前までご自身でイメージされていた妊娠や出産などのライフイベントが、がん治療によって難しくなってしまう可能性もあります。
例えばがんの化学療法によって、今後妊娠する能力(妊孕性)を失ってしまう場合もあります。精子や卵子を保存するかどうかといった普段はまったく考えてこなかった重大な選択を迫られ、治療開始までの短期間で意思決定をしなければならなくなることもあります。しかし、患者さん自身がその選択肢について正確に理解できないうちに治療が始まってしまうことも多いと感じています。
シノハラ 医療者は説明していても、患者さんの将来妊娠したいという希望を治療によって諦めないといけないと、ちゃんと認識できないまま治療が始まって、「そんなこと聞いてない」となってしまうリスクもあるということですよね。
アラキ そうですね。早く治療を開始した方がいいという医療者の判断もあり、患者さんもご自身のなかでの迷いやゆらぎに気づかずに選択されることもありますが、後々後悔されることもあります。私たちは、早い段階から患者さんに寄り添い、今後の人生までも一緒に想像して、何が大事かっていうのを一緒に考えていくことが大切だと思っています。「自分で考えなきゃ」と思っている患者さんが多いのですが、こうした相談やサポートの体制を整えていることを、まずは伝えるようにしています。
相談しやすい雰囲気づくり
イズミン 若い方に多いがんとはどんなものがありますか?
アラキ 子宮頸がんは、検診受診の啓発活動も盛んなので気にされている方も多いと思いますが、ほかに、舌がんや精巣がんなども多い印象です。
イズミン がん全体の中では、わりとマイナーですよね。
アラキ そうですね。例えば精巣がんは10~30代の男性に比較的多いです。場所が場所だけに恥ずかしさもあって、症状があってもそのうち治まってくるかなと様子を見て受診が遅れる、というケースは多いです。
イズミン 例えば精巣がんは、何科を受診すればいいですか?
アラキ 泌尿器科です。
シノハラ 早期発見すれば完治が期待できるがんも、早期介入ができないことで進行してしまうケースもありますか?
アラキ はい。ですので気になる症状があったら「怖さにとらわれずに早めに受診しましょう」という雰囲気作りも大切だと思っています。
イズミン ちょっとしたことでも相談ができる雰囲気を作っていくためにどんなことをしていますか?
アラキ 例えば「がん相談支援センター」ではポスターを貼るなど広報活動にも力を入れています。「AYA世代支援チーム」では院内スタッフからの相談にも対応しています。
イズミン この世代の方だと、今の症状ががんに繋がるっていうのは夢にも思わないというケースも結構ありますよね。「がん相談支援センター」のような名称はなかなかピンとこないのではないでしょうか。
アラキ 大同病院にもだいどうクリニックにも専門知識を持つ看護師が複数おり、がんの診断や告知を受けた患者さんにお声がけします。心配ごとがあったら「話しても大丈夫だ」と感じていただけるよう、私たちの方から積極的に働きかけることも大切だと思っています。
漠然と「何を相談していいかも分からないけど、今後が心配です」という方にも、今後起こり得る問題を整理して、解決策を見出すお手伝いをするのが私たちの役目。まずは気軽に話していただき、患者さんご自身が選択できるように支援していきたいです。
ゲスト紹介
荒木早希(あらき・さき)
看護師。新卒で大同病院に入職して17年目。入職10年のときにがん性疼痛看護認定看護師の資格を取得。
好きなものは「食器」で、昨年念願の長崎のはさみ焼のお皿を揃え、そのお皿に食事をのせて家族に提供する時間が楽しみになっている。
