生成AIのリスク一覧と対策の優先順位
生成AIのリスクを7つに棚卸しし、発生しやすさと影響の大きさで優先順位を付ける。全部同時にやらなくていい。
リスクが多すぎて、どれから対策すべきか分からない
生成AIのリスクについて調べると、情報漏えい、著作権、ハルシネーション、詐欺への悪用と、次々に別の話が出てきます。
どれも大事に見えて、結局どれから手を付ければいいのか分からない。これが多くの中小企業の実感ではないでしょうか。
この記事は、企業利用で問題になるリスクを7つに棚卸しし、「発生しやすさ」と「影響の大きさ」で優先順位を付けます。
対策領域ごとの全体像は『生成AIセキュリティ対策の全体地図』で扱っているので、この記事は「リスクの一覧表」として使ってください。
生成AIの7大リスク一覧
企業利用で実際に問題になるリスクは、次の7つに整理できます。

それぞれに個別の詳細記事があります。学習利用と設定は『学習させない設定早見表【全サービス】』、ハルシネーションは『ハルシネーション対策。誤情報を掴まない』、著作権は『生成AIと著作権。実務で迷う場面だけ整理』、シャドーAIは『シャドーAIとは。バレる仕組みと対策』を参照してください。
発生頻度と影響で4象限に分ける
7つのリスクを「起きやすさ」と「起きたときの影響」で分けると、対策の順番が見えてきます。

ポイントは3つあります。
情報漏えい・学習利用・シャドーAIは「毎日の利用のたびに発生機会がある」ため、起きやすさが突出している
ハルシネーションはほぼ確実に遭遇するが、検証を挟めば影響を小さくできる
攻撃・悪用は頻度こそ低いが、ディープフェイク詐欺のように金銭被害へ直結しうる
なお、IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では組織向け3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出され、OWASPのLLM向けTop 10でもプロンプトインジェクションが第1位に挙げられています。攻撃系のリスクは「起きにくいが、無視はできない」位置付けです。
対策の優先順位。3ステップで潰す
4象限を踏まえると、対策は次の順番になります。
ステップ1: 起きやすく影響が大きいもの(今週やる)
業務利用するAIサービスの学習設定を確認し、必要ならオフにする
「入力してよい情報・いけない情報」の線引きを1枚で決めて周知する
個人アカウントでの業務利用を把握し、法人契約への移行を検討する
このステップだけで、リスク1・2・5の大部分に手が打てます。設定手順はサービスごとに異なるため、『生成AIは入力を学習するのか。4サービス比較』から確認してください。
ステップ2: 必ず遭遇するもの(1〜2ヶ月でルール化)
AI出力を外部に出す前に人が確認するルールを決める(ハルシネーション対策)
生成物の利用範囲と確認手順を決める(著作権対策)
これらをガイドラインとして文書化する
文書化の進め方は『生成AI利用ガイドラインの作り方と5つの決め事』で解説しています。
ステップ3: 頻度は低いが備えるもの(継続的に)
AI詐欺・ディープフェイクの手口を社内に周知する
AI機能を組み込んだシステムを使う・作る場合は、プロンプトインジェクションへの備えを確認する
AIに依存しすぎない業務設計(人の判断を残す箇所の明確化)を意識する
リスクゼロを目指さない
最後に大事な視点をひとつ。リスクを7つ並べると「やはり使わない方が安全では」と感じるかもしれません。
しかし全面禁止はシャドーAI(リスク5)を悪化させるだけで、リスクの総量はむしろ増えます。目指すべきは「リスクを把握したうえで、管理しながら使う」状態です。
危険かどうかの判断軸そのものは『生成AIは危険か。企業利用の不安を整理』で扱っています。
まとめ
生成AIのリスクは「情報漏えい・学習利用・ハルシネーション・著作権・シャドーAI・攻撃・依存」の7つに棚卸しできる
起きやすさ×影響で分けると、最優先は情報漏えい・学習利用・シャドーAIの3つ
ステップ1は設定と入力ルール(今週)、ステップ2は検証ルールの文書化(1〜2ヶ月)、ステップ3は攻撃への備え(継続)
リスクゼロではなく「管理しながら使う」を目指す
主な参考資料
IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」 https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html
OWASP「Top 10 for LLM Applications 2025」 https://genai.owasp.org/llm-top-10/
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」 https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
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