ビアズリー展に行ったのは, 歌詞に 「ビアズリー」 を入れた ロッド・スチュワートのお陰
先週土曜, カミさんとクラプトン武道館ライヴを生観・生聴き(今日の最終章にリンク)。せっかくの東京行きだから, 「その前に他の何処かにも」と行ったのが, オーブリー・ビアズリーの回顧展。
これがまた, 良かった。
ロッド・スチュワート「胸につのる想い」, "You're in My Heart (The Final Acclaim)" の歌詞に I took all those habits of yours that in the beginning were hard to accept, your fashion sense, Beardsley prints .. とある, その Aubrey Beardsley の回顧展。
ビアズリー 回顧展
ビアズリーのことは随分と前から知っていたわけではない。
以前も名前ぐらいは聞いたことがあったかもしれないが, ビアズリーをわりとまともに知ったのは, 4年余り前に ロッド・スチュワート「胸につのる想い」, You're in My Heart (The Final Acclaim) の歌詞和訳 note を投稿した際, 歌詞にある "I took all those habits of yours that in the beginning were hard to accept, your fashion sense, Beardsley prints" から Beardsley って何だと 調べたから。
「19世紀イギリスのイラストレーター、詩人、小説家」, オーブリー・ビアズリー(Aubrey Beardsley; August 21 , 1872 – March 16, 1898)。
その ビアズリーの回顧展に, 先週土曜, カミさんと一緒に行ってきた。
ビアズリーは, オスカー・ワイルド(アイルランド出身の詩人・作家・劇作家)(Oscar Wilde; October 16, 1854 – November 30, 1900)の『サロメ』英訳板(原著はフランス語)の挿絵を描いている。
1893年2月2日、ロス(古美術研究家エイマー・ヴァランスの紹介で知り合ったロバート・ロス)の紹介で知り合ったルイス・ハインドの発行する『ペル・メル・バジェット』誌でデビュー。同年5月、憧れのジェームズ・マクニール・ホイッスラーにパリで会うが、悪印象を持たれてこき下ろされたため、復讐にホイッスラー夫妻を揶揄する諷刺画を描く。同年6月、パリから帰国後、オスカー・ワイルド作『サロメ』の挿絵を描く契約を結ぶ(本来ビアズリーはこの作品の英訳者になることを望んでいたが叶わなかった)。この作品の挿絵を描くように慫慂したのは作者ワイルド自身だったが、ビアズリーの絵は「僕の劇はビザンチン的なのに、ビアズリーの挿絵はあまりに日本的だ」との理由により、ワイルドには気に入らなかった。作者を揶揄する内容の数枚の挿絵もワイルドを怒らせた。
その挿絵の一つ。

以下は全て, 「ビアズリー展」の写真可の展示室で撮ったもの。まずは, 上掲のウィキペディアからの転載「作者を揶揄する内容の数枚の挿絵もワイルドを怒らせた」の例(3例およびそれぞれの解説, 写真 計6枚)。


以下の挿絵(写真), 右端の上方に見えるのが, ビアズリーが描いたオスカー・ワイルド, その半顔。流石に特徴を捉えていて, けっこう似てる(ワイルドの顔は本章の最後の方で)。正直, 笑える。


以下の挿絵(写真)では, 右下に描き込まれているのが, ビアズリーによるオスカー・ワイルドの似顔絵。ワイルドが怒ったのは分かるが, やはり正直, 笑える。


ビアズリーは, ワイルドの『サロメ』の戯曲本筋とは関係ない場面も描いた。下方に載せる挿絵(写真)は ジャポニスムの影響が見られる一方, しかし卑猥に見えるという理由で 出版社の判断により削除されたもの(詳しくは 挿絵の下の解説)。
Aubrey Vincent Beardsley (/ˈbɪərdzli/ BEERDZ-lee; 21 August 1872 – 16 March 1898) was an English illustrator and author. His black ink drawings were influenced by Japanese woodcuts, and depicted the grotesque, the decadent, and the erotic. He was a leading figure in the aesthetic movement which also included Oscar Wilde and James McNeill Whistler. Beardsley's contribution to the development of the Art Nouveau and poster styles was significant despite his early death from tuberculosis. He is one of the important Modern Style figures.
ジャポニスム(ウィキペディアからシンプルにそのまま引くと「19世紀後半にヨーロッパで流行した日本趣味」)の影響, そしてエロス。上掲 英語版 Wikipedia によれば, "His black ink drawings were influenced by Japanese woodcuts, and depicted the grotesque, the decadent, and the erotic."


オスカー・ワイルド著『サロメ』の挿絵から離れ, 以下にもう 1点だけ(解説と合わせ写真2枚), 「ビアズリー展」の写真可の展示室で撮ったものから掲載します。
当時の「紳士向け」月刊誌の表紙絵(1894年)。この The Idler という月刊誌, 言わば, 後年, 20世紀半ば過ぎ(1953年)に創刊されたアメリカ合州国の月刊誌 Playboy みたいなものだね(良質な文化・社会批評記事が結構ある雑誌だけれど, あの雑誌の掲載写真に関しては, 筆者も少年時代, 要するに中高生の頃お世話になった, 笑), おそらく。


ビアズリー展の感想, まだまだあるけれど(早世の天才肌, でも才能だけでなく努力もした, その一方でユーモア, 諧謔の精神を併せ持つ人だったこと等は 十分に感じられました), しかし筆者, ビアズリーに関する詳細な解説を書くほどの 彼に関する知識はないので, 本章はこの辺にして,
最後にウィキペディア(日・英)にリンクし, さらに本章の一番下で, ビアズリーがオスカー・ワイルド著『サロメ』英訳版の挿絵の中にワイルドの似顔絵を描きワイルドを怒らせた(上掲の例, 参照), そのワイルドの顔を。
オーブリー・ヴィンセント・ビアズリー(英語: Aubrey Vincent Beardsley, [ˈɔːbri ˈvinsənt ˈbiəd͡zli], 1872年8月21日 - 1898年3月16日)は、19世紀イギリスのイラストレーター、詩人、小説家。ヴィクトリア朝の世紀末美術を代表する存在。悪魔的な鋭さを持つ白黒(モノトーン)のペン画で、耽美主義の鬼才とうたわれたが、病弱ゆえに25歳で死去した。
オスカー・ワイルドの顔は, 以下の英語版 Wikipedia にも複数枚あり。確かに, ビアズリーによる「似顔絵」は文字通り似てるね。
ではでは。
ロッド・スチュワート「胸につのる想い」 〜 君の癖とか習慣とかは全て受け入れたよ, 最初はかなり難しかったけどね, でもファッション・センスも ビアズリー柄も ..
いきなり他の歌の例を挙げるけど, ロッド・スチュワートの歌の歌詞は意外と(「意外と」とは失礼な!)知的なフレーズが .. 。
歌詞に出てくる "Dickens, Shelley or Keats", 「ディケンズや シェリーや キーツ」, この 3人は全て, イギリス(全員イングランド, 19世紀)の, 順に小説家, 詩人, 詩人。
さてさて,
話を ビアズリーや ロッド・スチュワート「胸につのる想い」に戻します。
Beardsley prints の print, "print" には「版画」の意もあるけど, 一般的に名詞では「印刷(物)」「プリント柄, 模様」などだから, ここはやはり「ビアズリー柄」ってことでいいかな。惚れた女性が ビアズリーの(オスカー・ワイルドの)『サロメ』の挿絵とかプリントした服を着てたら, いろんな意味で一瞬引くよね(笑)。
以下の第3章 "You're in My Heart (The Final Acclaim)" by Rod Stewart 〜 歌詞和訳, その歌詞和訳の「注釈」(訳注)*3 に「ビアズリー」。
訳した当時の筆者(拙者)の推測は概ね正しかったもよう。
The "Beardsley prints" is a reference to Aubrey Beardsley, a Victorian artist. It shows that the lady Stewart is singing about has very refined taste, which points to Ekland. Stewart later admitted that she taught him a great deal about art and visual presentation. She even got him to start wearing make-up.
なお, 話は逸れるけれど, 歌詞を訳した時, ブリット・エクランド(Britt Ekland)のことは全く知らなかった。しかし ロッド曰く「別にブリットのことだけを歌ってるわけじゃないよ。.. あの時期に出会った(つきあった)女性の誰のことでもあり得るし, そもそもいっぱいいるんだよ」。
流石は 稀代のプレイボーイ, ロッド・スチュワート, 今や爺さんながら(1945年1月10日生まれ), 80歳を越えてなお, 今現在まだまだそっち方面でも「お達者」でありますように(笑)。
Stewart wrote this love song when he was dating the Swedish actress Britt Ekland; they were together from 1975-1977. Stewart said, "It wasn't totally about Britt... it could have been anybody I met in that period - and there were a lot of them."
英語版 Wikipedia では,
Britt Ekland (born Britt-Marie Eklund; 6 October 1942) is a Swedish actress, model, and singer. She appeared in numerous films in her heyday throughout the 1960s and 1970s, including roles in The Double Man (1967), The Night They Raided Minsky's (1968), Machine Gun McCain (1969), Stiletto (1969), and the British crime film Get Carter (1971), which established her as a sex symbol. She also starred in several horror films, including The Wicker Man (1973), and appeared as a Bond girl in The Man with the Golden Gun (1974).
Ekland continued to act throughout the 1970s, with roles in films such as The Ultimate Thrill (1974), Royal Flash (1975), High Velocity (1976), and King Solomon's Treasure (1979), and into the 1980s, starring in the likes of Fraternity Vacation (1985), Moon in Scorpio (1987), and Scandal (1989). Since the early 1990s her acting work has mainly consisted of stage shows, one-off roles, cameos, and appearances on reality television.
Her high-profile social life, her 1964 marriage to actor Peter Sellers, and her relationship with singer Rod Stewart attracted considerable press attention, making her one of the world's most photographed celebrities during the 1970s.
さてさて。
ロッド・スチュワート「胸につのる想い」 〜 歌詞和訳
以下の歌詞和訳 note の下に, その第3章の「歌詞和訳」前口上からの転載, 及び, あらためて歌と筆者による歌詞の和訳を。
前章の冒頭の方でも書いたけれど、「胸につのる想い」という邦題をつけられたこの歌 "You're in My Heart (The Final Acclaim)" は、見ての通りで括弧書きで副題らしきものが付いていて、"You're in My Heart" の方は逐語訳すれば「君は僕の心の中に」なんだろうけどそれじゃ日本語としては何だかカッコつかないし、その意味で「胸につのる想い」はしっくりくるからいいと思うけれど、さてカッコつけた(筆者の駄洒落ですよ!)"(The Final Acclaim)" の方はどうかというと、これは直訳すれば「最後の称賛」もしくは「最後の絶賛」もしくは「最後の喝采」。
喝采というのは、声を上げて褒め称えることですね。つまり、"The Final Acclaim" というのは、「もうこれで最後だよ」、「絶大なる、しかし最後の賛辞だよ」、要するに、「もうこれ以上は言わせるなよ」ってこと。
この歌はラヴ・ソングと言えばラヴ・ソングだけど、その意味でごく普通の、ありきたりのラヴ・ソングじゃない。何しろ、「俺の気持ち、分かるだろ?」、「もうこれ以上は言わせないでよ」なんだから。
この歌、実際、そのくらい、これでもか、これでもかと、相手のことを褒めそやし、愛と感謝のメッセージを送ってる。
稀代の色男、言い換えれば「いい意味で」遊び人(「いい意味で」遊び人ってどんな意味だ、笑)、モテ男(のイメージがある、笑)、ロッド・スチュワート一流の口説き文句のオンパレード。
だから、そういう種類の、つまり、これ以上ないくらいに素晴らしい、世にも稀な、極めて美しい、この世のものとは思えないほどに流麗な、リチャード・ギアとジュリア・ロバーツの「プリティ・ウーマン」よりも、いやシェークスピアの「ロミオとジュリエット」よりもロマンチックで、まさにこれは "Final Acclaim" だぜ、だからもう「これ以上は言わせるなよ」と言いたくなるくらいの、極上のラヴ・ソングなのです(笑)。
ロッド本人の作詞作曲。イントロのアクースティック・ギターからして既にリスナーの心を引き込む(恋する相手が聴いたらうっとりするような)魅力があるけれど、あれを弾いているのはスティーヴ・クロッパー(Steve Cropper, Booker T. & the M.G.'s)。
YouTube 上にスタジオ・ヴァージョンの音源がたくさん上がってるけれど、とりあえずこの曲が収録された彼の 8枚目のアルバム "Foot Loose & Fancy Free" (アルバムの邦題「明日へのキック・オフ」はとても acclaim などできないレベルだよねぇちょっと酷すぎ、因みに辞書引くとさっと出てくるけど "foot loose and fancy free" は「全く自由で何の制約もない」といった意味、嗚呼カッコつかない括弧の長さ!)のカヴァーが使われているものを使って、その下に英語歌詞と筆者による和訳歌詞を載せます(あ、いつの間にか「ですます」調になってる、笑)。
歌詞は 2016年の夏に訳して、その後、時々それを Facebook に投稿したりしてきたんだけど、今日、少しだけ(本人的には)「改良」して、note 掲載に至った。
では, いきましょう。
You're in My Heart (The Final Acclaim) from "Foot Loose & Fancy Free", the eighth album by Rod Stewart, released on November 4, 1977
英語原詞 https://genius.com/Rod-stewart-youre-in-my-heart-the-final-acclaim-lyrics
You're in My Heart (The Final Acclaim)
胸につのる想い(これ以上は言わせないでくれ)
いつのことだったかはもう分からなくなってたよ(*1)
君が部屋に入ってきた日のことさ
僕はやぁって言ったけど気づかれなかったし
君はあっという間にさよならだったね
常連さんたちを難なく片付けていくのが(*2)
まるで糸を紡ぐよう 叙情詩みたいでうっとりするよ
でもここで自白しておかなきゃね
最初はまったくの体目当てだったんだ
君の癖とか習慣とかは全て受け入れたよ
最初はかなり難しかったけどね
でもファッション・センスもビアズリー柄も(*3)
今は経験させてもらったって思ってる
オランダ訛りの英語を話す胸の大きなレディ(*4)
君は僕の考え方や価値観まで変えようとしたね
アドリブは実は周到に準備されたものだったけど(*5)
それでも僕の心は君に向かって叫んだのさ
君は僕の心のなかにいて、僕の魂のなかにいて
ともに歳を重ねていく僕の息づかいそのもので
僕の恋人で、僕の最高の友で
そうさ 僕のソウルのなかにいるのさ(*6)
僕の君への愛は計り知れないほどだし
君への尊敬は広大だし
君は歳を取らないし、永遠だし、レースのように品があって全く見事だよ(*7)
そのうえ綺麗で 優雅そのものなんだ
君はラプソディ(叙事詩、狂詩曲)で、コメディ(喜劇)で
シンフォニィ(交響曲)で、プレイ(戯曲)で
しかもこれまでに書かれた全てのラヴソングで
だけどハニー、君は僕のなかには何を見てるの?(*8)
君は僕の心のなかにいて、僕の魂のなかにいて
ともに歳を重ねていく僕の息づかいそのもので
僕の恋人で、僕の最高の友で
そうさ 僕のソウルのなかにいるのさ
君はグラマーな(魅力的な)エッセイで
でもグラマー(文法)は勘弁してね(*9)
君は全てのガキどもにとって夢のような存在だし
セルティックだし、ユナイティドだし、いや僕は決めたよ
君は今まで観てきたなかで最高のサッカー・チームさ(*10)
だけどいろんな出来事があったよね(*11)
僕は何度も君から離れようとしたけど
結局は唇を噛みながら振り返ってしまうのさ
なぜって 君は僕が出会ったなかで最高に温かい女性だからさ(*12)
君は僕の心のなかにいて、僕の魂のなかにいて
ともに歳を重ねていく僕の息づかいそのもので
僕の恋人で、僕の最高の友で
そうさ 僕のソウルのなかにいるのさ
君は僕の心のなかにいて、僕の魂のなかにいて
ともに歳を重ねていく僕の息づかいそのもので
僕の恋人で、僕の最高の友で
そうさ 僕のソウルのなかにいるのさ
君は僕の心のなかにいて、僕の魂のなかにいて
ともに歳を重ねていく僕の息づかいそのもので
僕の恋人で、僕の最高の友で
そうさ 僕のソウルのなかにいるのさ
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注釈(訳注)は, 上掲リンクの note の中で。
ビアズリー展に行った後 〜 Eric Clapton 80歳, 武道館公演 106回目ライヴを 生観・生聴き, いやはや 素晴らしかった
今日の付録。
