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Thorn Tree in the Garden 歌詞和訳 〜 ボビー・ウィットロック / Derek and the Dominos

Bobby Whitlock が 今月10日に亡くなった。ガキの頃から半世紀以上聴き続けてきた Derek and the Dominos (Eric Clapton, Bobby Whitlock, Carl Radle, Jim Gordon) のメンバーで, 今も生きているのは Clapton ただ一人になってしまった。時が経つのは速いのか, 実際のところどうなのか, しかしあのアルバム, あの 2枚組 LP を聴き始めた中1の頃, レコードに針を落とし, A面からB面に反し, 1枚目から 2枚目に代え, 何度も何度も繰り返し聴いた中学時代, 高校時代を想えば, やはり Time flies, 光陰矢の如し(なんで Time flies なんて英語のフレーズを, いやあのアルバムにはジミヘンの曲のカヴァーである "Little Wing" が収録されていて, "Fly on" って叫んでるよね Bobby も, 意味は違うけど!)。

今日は, Bobby が 作詞作曲し, 歌い(リード・ヴォーカル), Dominos では主にキーボード奏者だった彼がアクースティック・ギターも弾き, Derek and the Dominos の Layla and Other Assorted Love Songs において タイトル曲 "Layla" の次の曲として, あの名作アルバムの最後を静かに飾った佳曲 Thorn Tree in the Garden の歌詞の日本語訳を。


Thorn Tree in the Garden 歌詞和訳

前説 〜 佳曲は必ずしも名曲に劣るものではない

佳曲は必ずしも名曲に劣るものではない。これだけで「前説」を終えてもいいくらい。でも型通りに(型なんてないかもだけど)もう少し。

あのアルバムのリリース当時は勿論「レコード」の時代, 2枚組 LP だった Layla and Other Assorted Love Songs に収録されていたのは 14曲で, カヴァー曲を除くオリジナルは 9曲。そのうち実に 7曲に Bobby Whitlock が 作者としてクレジットされている(*1)。その 7曲のうち 6曲は Clapton との共作だが, アルバムの最後の曲 Thorn Tree in the Garden は Bobby のみによる作詞作曲(*2)。

あのアルバムは タイトル曲 "Layla" で終わっていないところがまたいい。迸る(ほとばしる)感情, 抑え切れない熱情のエネルギーが漲る(みなぎる, 漢字を並べる方が感じが出る!)前半から, 不意に, 放心していく心のうちを伝えるような後半に移って終わっていく名曲 "Layla", その "Layla" に続いて, 放心してしまった後の心に再び哀しい平静さを取り戻す, そんな, 小品ながら心に残る佳作 Thorn Tree in the Garden, 佳曲は必ずしも名曲に劣るものではない。まさに。

*1 残る 2曲は "I Am Yours" と "Layla" で, 前者は 12世紀のペルシャの詩人(7世紀のアラブの物語を基にした "Layla and Majnun" の作者, Clapton の "Layla" は "Layla and Majnun" から来ている)Nizami Ganjavi の詩を歌詞にし, 作曲は Clapton, 後者 "Layla" については 前半部分は作詞作曲が Clapton で, ピアノをメインにした後半の作者には Jim Gordon が クレジットされている。

ただし "Layla" の後半は, 元々は Jim Gordon の恋人だった Rita Coolidge  が作曲したとの説が強い。Dominos のメンバー Bobby Whitlock 自身がそう言っているくらいで。

Shortly afterwards, Clapton returned to the studio, where he heard Jim Gordon playing a piano piece he had composed separately. Impressed by the piece, Clapton convinced Gordon to allow it to be used as part of the song. Though only Gordon has been credited with this part, according to Whitlock, "Jim took that piano melody from his ex-girlfriend Rita Coolidge. I know because in the D&B days I lived in John Garfield's old house in the Hollywood Hills and there was a guest house with an upright piano in it. Rita and Jim were up there in the guest house and invited me to join in on writing this song with them called 'Time' ... Her sister Priscilla wound up recording it with Booker T. Jones ... Jim took the melody from Rita's song and didn't give her credit for writing it. Her boyfriend ripped her off." "Time" ended up on the 1973 album Chronicles by Booker T. and Priscilla Jones. Whitlock's story was echoed by Coolidge herself in her 2016 autobiography. The claim is also repeated in Graham Nash's 2014 autobiography Wild Tales.

https://en.wikipedia.org/wiki/Layla#Writing_and_recording

*2 Clapton は後年の自身のライヴでも, 例えばアンコールの最後を自分以外のバンドメンバー(客演含む)の作とそのメンバーのリード・ヴォーカルによる曲で締める, といったことを普通にやっている。4人のメンバーそれぞれが平等のバンドとはいえ Derek つまり Eric Clapton がメインとバンド外からは見えたであろう Derek and the Dominos の, しかも Clapton が彼の親友 George Harrison の当時の妻 Pattie Boyd への愛情・熱情を注ぎ込んだようなアルバムの, その最後を飾る曲を自分以外のメンバーが作りリード・ヴォーカルもとった曲に「譲る」, それはそれで, いかにも Clapton らしいところなんだろうと思う。そして実際, あのアルバムは "Layla" で終わらないで, その直後の Thorn Tree in the Garden で終えたことで, より一層「名作」になった。そんな気がする。

ではでは 🎶

Thorn Tree in the Garden 歌詞和訳

しつこく「まえせつ」ならぬ「ぜんせつ」, 前節の前説, 「まえせつ」から再び。

あのアルバムは タイトル曲 "Layla" で終わっていないところがまたいい。迸る(ほとばしる)感情, 抑え切れない熱情のエネルギーが漲る(みなぎる, 漢字を並べる方が感じが出る!)前半から, 不意に, 放心していく心のうちを伝えるような後半に移って終わっていく名曲 "Layla", その "Layla" に続いて, 放心してしまった後の心に再び哀しい平静さを取り戻す, そんな, 小品ながら心に残る佳作 Thorn Tree in the Garden, 佳曲は必ずしも名曲に劣るものではない。まさに。

次は自分の文章ではなく他所(ヨソ)から。此処に更なる出典があるともっといいんだけど。

The last track on the album, "Thorn Tree in the Garden", was recorded with Whitlock, Clapton, Allman, Radle and Gordon sitting in a circle around a single microphone.

https://en.wikipedia.org/wiki/Layla_and_Other_Assorted_Love_Songs#Original_songs

そんなレコーディングの様子も想い浮かべながら あらためて聴きたい名曲, いや名曲に劣らない「佳曲」。

Thorn Tree in the Garden from Derek and the Dominos' 1970 album Layla and Other Assorted Love Songs 〜 songwriting, lead vocals & acoustic guitar by Bobby Whitlock (March 18, 1948 – August 10, 2025)

英語原詞 https://genius.com/Derek-and-the-dominos-thorn-tree-in-the-garden-lyrics

庭に棘のある木がある
僕の言いたいこと, わかるよね (*1)
君の気持ちを傷つけたくないけど
それは見える感じと違うよ, 彼女が恋しいんだ

彼女は僕が愛した唯一人の女性で (*2)
僕が本当に知った唯一の女性なんだ
彼女ほど愛を分かち合った人はいないよ
そうさ, まだ彼女を恋しく思ってるのさ

だけど 全てが不思議に思えるんだ, わかるだろ
なぜって, 彼女は僕を見捨てるようなことはしないはずだからさ (*3)
最後の別れも言わずに去るなんて, そんなことはしないはずだからさ
もし彼女が街を歩き回って 結局 (*4)
出会う男たち皆を愛したのなら
いったい誰がその理由を答えられるんだい?
ああ神様, それは僕じゃないですよね, 僕じゃないですよね

もしも彼女の顔を二度と見ることがなくても
彼女の手を二度と握ることがなくても
そして もしも彼女が他の男の腕の中にいたとしても
僕は理解すると思う, でもやっぱり彼女を恋しく思うのさ
ああ神様, 僕はまだ彼女を恋しく思ってるんです

たぶん いつか近いうちに, 何とかして .. (*5)

…… 🎶 …… 🎶 ……

訳注

*1 英語だと一人称単数は I とか me とか。しかし日本語は色々あるよね。男でも「僕」なのか「私」なのか「俺」なのかで(女性の話し言葉だって近頃は「オレ」もある, そういや漢字で書くのか ひらがな で書くのか カタカナで書くのかでも)だいぶ雰囲気が変わってくる。それは二人称でも, 言えば三人称でもほぼ同様でしょう。つまり二人称なら「君」なのか「あなた」なのか「お前」なのか等で受け取る側の解釈が影響を受けるし, 三人称だって男なら he を「彼」「あいつ」「やつ」等々, 色々訳し方があるかもしれない。

訳注の筆頭で これを言っちゃ身も蓋もないけれど, ことほど左様にある人が書いた(言った, 歌った)ものを作者の意そのまま正確に外国語に置き換えることは不可能なハナシであって,

そもそも「もともと歌詞の作者が本当に伝えたかったことを厳密に正確に理解することは不可能であって、当然ながら歌詞の日本語訳という作業によって原詞の意味が完全に正確に伝わるということも有り得ない。歌詞を日本語に訳す(訳して日本語であらためて表現する)ということは、ある意味、翻訳をしてその結果を日本語の「詩のようなもの」で表わそうとする当事者が元の歌詞をどう解釈したか、それをどう日本語で表現するかということをやっているに過ぎない... 当たり前のことを言ってるんだけど、まぁそういうことに『過ぎない』わけです」

なんて, 4年以上前の note 投稿記事に 自分で書いていたのでありました。

歌詞の日本語訳といっても基本、「趣味シュミ」洋楽歌詞「和訳」翻訳者の筆者が特定の歌の歌詞の内容の「解釈」を試みるにあたり歌詞にある言葉・表現のそれぞれを「ほぼ」順になぞって日本語にしていくという、そういうものであって、そうやって日本語に置き換えるのが(個人的に)楽しいからやってるわけだけど。つまり、もともと歌詞の作者が本当に伝えたかったことを厳密に正確に理解することは不可能であって、当然ながら歌詞の日本語訳という作業によって原詞の意味が完全に正確に伝わるということも有り得ない。歌詞を日本語に訳す(訳して日本語であらためて表現する)ということは、ある意味、翻訳をしてその結果を日本語の「詩のようなもの」で表わそうとする当事者が元の歌詞をどう解釈したか、それをどう日本語で表現するかということをやっているに過ぎない... 当たり前のことを言ってるんだけど、まぁそういうことに「過ぎない」わけです。

これまで色んな歌の歌詞の日本語訳を note 上に投稿してきたけれど、この際あらためて念のための「ことわり書き」をしておきたく、ごちゃごちゃっと前置きさせてもらった(って誰かに「させてもらった」わけでもないけど、笑)。

以下の第1章の後段

*2 care for は「(~を)大事に思う」「(~のことを)心配する」「(~に)気を使う」「(~を)愛している」など。歌詞の中の care for は「大事に思う」でもいいかなと思うけれど, 上の日本語訳では「愛している」を採りました(歌詞の中では現在完了形)。

*3 turn one's back on は「(~に)背を向ける」「(~を)無視する」「見放す」「見捨てる」。

*4 wind up は「(~を)終える」「終わりにする」とか「結局(最後に)~になる, 〜する」(他にも色々)。ここでは後者で。

*5 日本語訳の上にリンクを貼った英語歌詞サイトでは, ここは Maybe someday soon, some way .. しかしサイトによっては Maybe someday soon, somewhere .. になっている(そちらが多いかも)。

"someday" の後に "somewhere" の方がしっくりくる気はするが,試しに我が家にある CD に入っていた英語歌詞を確認したら "someway" となっていて, "some way" とはスペースの有無の違い。

ならばと Bobby 自身の歌声を聴くと, サムウェイ でなくザムウェイに聞こえる(笑)。

それはさておき, 沁みる曲です。「佳曲は必ずしも名曲に劣るものではない」の代表曲(の一つ!)。あらためて R.I.P, Bobby Whitlock, ボビー・ウィットロックに合掌を。拙者, 歌詞和訳者, 筆者は無宗教ながら..

同じアルバムに収録, ジミヘン作のカヴァー曲 〜 Little Wing 歌詞和訳

この曲でキーボードを弾きながら, 荒々しい, 迸る(ほとばしる)ようなエネルギーを感じさせる(バッキング)ヴォーカルを聴かせる Bobby, 彼のソウルフルな歌声はアルバム全体に独特のパワーを与えている。

Little Wing (Jimi Hendrix) 〜 from Derek and the Dominos' 1970 album "Layla and Other Assorted Love Songs", Eric Clapton & Duane Allman (Nov 20, 1946 – Oct 29, 1971) on guitar

英語原詞 https://genius.com/Derek-and-the-dominos-little-wing-lyrics

そうさ, 彼女は雲の中を歩いているんだ
そこら辺りを駆け巡る, サーカスのような心持ちでね (*1)
蝶やシマウマ, そして おとぎ話
彼女が考えているのはそれだけなんだ

俺が悲しくて沈んでる時, 彼女は俺のところに来てくれるんだ (*2)
溢れる笑顔, そうさ, 千もの微笑みを, 彼女は俺に無償で与えてくれるのさ (*3)
彼女は言ったんだよ, 大丈夫よって
私から, 欲しいものを何でも持って行っていいのよ って
(さぁ何でも)(何でも)

そうさ, 彼女は雲の中を歩いているんだ
そこら辺りを駆け巡る, サーカスのような心持ちでね (*1)
蝶やシマウマ, そして おとぎ話
彼女が考えているのはそれだけなんだ

俺が悲しくて沈んでる時, 彼女は俺のところに来てくれるんだ (*2)
溢れる笑顔, そうさ, 千もの微笑みを, 彼女は俺に無償で与えてくれるのさ (*3)
彼女は言ったんだよ, 大丈夫よって
私から, 欲しいものを何でも持って行っていいのよ って
(さぁ何でも)(何でも)

ああ
飛んでみて, 小さな翼で (*4)
そう, そう
飛んでみて (*5)

…… 🎶 …… 🎶 ……

訳注 は 上掲リンク先 note にて。

Bobby Whitlock を 偲んで

愛妻 CoCo Carmel と歌う 〜 Why Does Love Got to Be So Sad?

Why Does Love Got to Be So Sad? (Eric Clapton, Bobby Whitlock / Derek and the Dominos) 〜 Bobby Whitlock & CoCo Carmel

素晴らしい。
沁みる。

George Harrison の All Things Must Pass にも Clapton や Jim Gordon と共に貢献した Bobby Whitlock

All Things Must Pass 〜 the title track of the triple album (1970) by George Harrison

George Harrison (Feb 25, 1943 – Nov 29, 2001) – vocals, guitars
Eric Clapton – guitar
Billy Preston (Sep 2, 1946 – Jun 6, 2006) – piano
Bobby Whitlock (Mar 18, 1948 – Aug 10, 2025) – harmonium
Ringo Starr – drums
Jim Gordon (Jul 14, 1945 – Mar 13, 2023) – drums

Eric Clapton の ギター を バックに歌う Bobby Whitlock

Bobby Whitlock (Mar 18, 1948 – Aug 10, 2025) with Eric Clapton LIVE, "Later... with Jools Holland", April 25, 2000

00:00 introduction
01:33 "Wing and a Prayer"
06:10 interview
08:19 "Bell Bottom Blues" (Derek and the Dominos)
13:45 "Southern Gentleman"

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