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六十八歳のわしが、十分でManecraftを作ってしまった話


火曜日の朝、Fable5というやつがPCの中に入ってることに気がついた。コードの一行も書けない六十八歳のわしが、そいつに「マイクラみたいなゲームを作って」と頼んだら、十分でできてしまったのである。まったく、どういうことなのか。

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火曜日の朝、Fable5というやつがいきなり世に出た。

六月十日のことである。寝起きにスマホをのぞいたら、AI界隈がやけに騒がしい。なんでもAnthropicというところが、自分のところで一番強いやつを、ついに一般のわしらにも開放したのだという。Fable5。名前からして、なにやら物語でも語り出しそうな響きである。

正直に言うと、わしは驚いた。

というのも、この一番強い系統のやつ──Mythosと呼ばれる血筋らしい──は、もともと「危なすぎるから一部の信頼できる組織にしか触らせない」と言われていたものなのであった。それが、急に、わしのような福岡のじいさんの手元まで降りてきたのである。なんの前ぶれもなく。まったく、こういうことは心の準備というものをさせてほしいではないか。

Fable5がどういうやつなのか、ざっと書いておく。

コードを書く仕事、調べものをまとめる仕事、画像を見る仕事、科学の研究。そういった分野で、これまでのどのAIよりも成績がいいのだという。長くてややこしい仕事になればなるほど、他のやつらをぐんぐん引き離すらしい。聞いただけで腹が立つくらい優秀なのである。

ただし、なんでも答えるわけではない。

サイバー攻撃のやり方とか、生物兵器とか、危ない化学の話とか、そういう物騒な相談をすると、Fable5はぴたりと口を閉じる。そして「そっちは別のやつに聞いてくれ」と、Opus 4.8という一段おとなしい兄貴分に話を投げてしまうのだという。賢いくせに、危ないことだけは絶対にやらない。番犬みたいなやつなのであった。値段はその兄貴分のだいたい倍するらしい。優秀な番犬は高くつくというわけなのである。

で、わしはどうしたか。

頼んでみたのである。「マインクラフトみたいなブロックを積むゲームを作ってくれ」と。

ここで正直に告白しておくが、わしはプログラミングというものがまるでわからない。コードの一行も書けない。ゲーミングPCの画面に並ぶあの英語とも記号ともつかない呪文の羅列を見ると、軽い頭痛がしてくるのであった。ストアカで漫画は教えているが、あれとこれとは話がちがう。

ところが。

十分である。

十分ほどで、画面の中にブロックが現れた。積める。崩せる。動かせる。色のついた立方体が、わしのへたくそな指示どおりに、ちゃんと積み上がっていくのである。マインクラフトが、わしの目の前で動いていた。

コーヒーをいれる時間より短いではないか。

わしはしばらく黙って画面を見ていた。天神のドトールでブレンドを一杯飲み干すより早く、コードの一行も書けない六十八歳が、自分のゲームを手にしてしまったのである。うれしいような、こわいような、なんともいえない気持ちがしたのであった。

去年の春、わしは糖尿病と敗血症と腎臓結石で病院のベッドに転がってうーんと唸ったりしていた。点滴の管をぶら下げて、天井のしみを数えていた。あのとき、まさか一年後に、AIに頼んで十分でゲームを作る日が来るとは、これっぽっちも思っていなかったのである。

世の中というものは、変わるときには本当にあっという間に変わる。

うれしいに決まっている。決まっているのだが、その裏でほんの少しだけ、さびしいような気持ちもよぎるのであった。わしが何年もかけて覚えてきたことを、機械はものの十分でやってのける。そういう時代に、わしらは立っているらしい。

まあ、しかし。

そういう道具が手元にあるなら、使い倒すまでである。わしはこれで、ストアカの受講生にも、うさ塾の塾生たちにも、もっと面白いものを見せてやれる。負ける気はしない。道具に使われるのではなく、道具を使う側でいたいのである。じいさんにはじいさんの意地というものがあるのだ。

それにしても、十分。

コードの一行も書けない男が、ゲームを作ってしまったのであった。まったく、とんでもない水曜日だったのである。

いやはや、いやはや。

読んでくれてありがとう。次もこういう、AIとじいさんのドタバタを書く予定である。



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