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ジョイフルとロボットとわし

ジョイフルでカフェプレートランチを食べていたら、料理を運んできたのはお姉ちゃんではなくKEENON製のロボットだった。時給120円だという噂を聞いて、わしは複雑な気持ちで和風チキンステーキを頬張ったのであった。




糸島から福岡方面に車を走らせて、ジョイフルに入った。

カフェプレートランチ、税込700円。ドリンクバー付きなら858円。全品スープバー付きというのがなんとも令和的なサービス精神であった。木曜日のメニューは和風チキンステーキとポテトコロッケ&蒸し鶏サラダである。402キロカロリー。




注文して待っていると、遠くから静かな走行音がした。

見ると、白いロボットがこちらに向かってくる。頭には液晶画面がついていて、胸のあたりには青い光の輪がぐるぐると回っている。KEENONという文字とSoftBankのロゴが背中に貼ってあった。

これが噂の配膳ロボットかとわしは思った。


昔なら、ここで元気なお姉ちゃんが「お待たせしましたー」と言いながらトレーを運んできたはずなのである。それが今はロボットである。しかも無言である。お姉ちゃんは「お熱いのでお気をつけください」と笑顔で言ってくれたものだが、ロボットは紙に印刷された注意書きを頭の上に掲げているだけなのであった。

「鉄板や器が熱くなっているものがあります。お気をつけてお取りください」

紙である。プリンターで印刷した紙を、テープで貼ってあるのである。

まったくもってどういうことなのだろうかと思わずにはいられないのであった。

料理を受け取ろうと手を伸ばすと、ロボットはくるりと向きを変えて次のテーブルへと走り去っていった。振り返りもしない。あっさりしたものである。

ふと誰かに聞いた話を思い出した。

配膳ロボットの時給は120円だという話である。真偽のほどはわからない。わからないことはわからないと言うしかないのだが、もしそれが本当なら、人間の店員よりもはるかに安く働いていることになる。

休憩もいらない。文句も言わない。有給休暇の相談もしてこない。
恋愛トラブルもない。

考えてみれば、これほど都合のいい同僚もいないのであった。


和風チキンステーキを一口食べた。タルタルソースが効いていて、なかなかうまい。ポテトコロッケもさくさくしている。蒸し鶏サラダにはコーンとナッツが乗っていて、これはこれで悪くない一皿なのであった。

だが、食べながらどうにも落ち着かない気分になった。

隣のテーブルでは若い男性客がスマホをいじりながら食事をしていて、向こうのテーブルでは女性が楽しそうに笑っていた。店内は昭和の喫茶店のような花柄の絵画が飾ってあって、レトロな雰囲気を漂わせている。そこだけ見れば何十年も変わっていない光景である。

なのに主役だけが入れ替わっているのであった。

かわいいお姉ちゃんが運んできたトレーには、名前も知らない誰かの人生があったはずである。学生バイトかもしれない、シングルマザーかもしれない、夢を追いかけながら働いている誰かかもしれない。それが今は、時給120円(かもしれない)のロボットに置き換わっている。

効率という言葉の前では、そういう物語はあっさりと消えていくものなのかもしれない。

食べ終わって店を出ると、糸島の空はいつも通り青かった。

ロボットが運んできた昼飯は、味は変わらずうまかった。うまかったが、なんとなく寂しい気持ちを抱えたまま、わしは車に乗り込んだのであった。

まったく、時代というものは容赦がない。

それでも、あのタルタルソースはうまかった。

読んでくれてありがとう。次回もこういう、どうでもいいけど気になる話を書く予定である。
#おいしいお店


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