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大河べらぼう鑑賞|金々先生栄華夢の魅力とは?試し読みあり

大河べらぼう、八話目に登場した「金々先生栄華夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)」
ここでは、黄表紙のはじまりと言われるこの作品、あらすじや見どころなどをたっぷり解説していきます。

深く知りたい方は「【金々先生】はこうして生まれた?春町の隠れ作と重版事件から読み解く黄表紙誕生秘話」もあわせてどうぞ👇


📙「金々先生栄華夢」の内容とは?

恋川春町作画「金々先生栄華夢」(NDL)。

江戸時代の黄表紙「金々先生栄華夢」のあらすじはこうです。
江戸での成功を夢見て田舎から出てきた貧乏人の「金村屋金兵衛」。休憩しようと入った目黒不動の門前茶屋で、注文した粟餅ができあがるのを待つ間に居眠りをはじめます。

するとその夢の中で、金兵衛は大富豪の跡取りになることに。「金々先生」と取り巻きたちに持ち上げられた金兵衛は、吉原や深川、品川で毎夜遊興三昧を繰り広げます。しかし、さしもの富豪の蔵の金も連日では尽き果ててしまい、最後には富豪の家から追い出されてしまうことに…。

そこでハッと目が覚めると、ちょうど粟餅ができあがったところでしたとさ、という夢落ちストーリー。中国の「邯鄲」という物語を下敷きに、一人の男が、夢の中で栄華と没落を味わうという、ユーモアとペーソスにあふれた作品です。


📚「金々先生栄華夢」の作者は?

作者は、恋川春町(こいかわ はるまち、1744年~1789年)。本名は倉橋格(くらはし いたる)といい、実はれっきとした武士で、駿河小島藩・滝脇松平家に仕えていました。(ドラマでは岡山天音さんが演じるようですネ)

まるで少女漫画家?と思うほどロマンティックなペンネーム「恋川春町」は、藩の江戸屋敷があった小石川春日町に由来しており、また当時の人気絵師・勝川春章にちなんだものでもあったとか。ちなみに狂歌を詠むときは「酒上不埒(さけのうえのふらち)」という号を使っていました。

絵は鳥山石燕に学び、洒落本の挿絵を描いてデビューしますが、安永四年(1775)に自画自作した「金々先生栄華夢」が大ヒット。今までの草双紙になかった「大人の男性も読んで楽しい読み物」として、新ジャンル<黄表紙>を誕生させました。

その後も、『高漫斎行脚日記(こうまんさいあんぎゃにっき)』や『無益委記(むだいき)』など人気作を次々発表し、黄表紙全盛時代を築きます。

しかし、藩における地位が、御留守添役→側用人→用人→御年寄翻訳百二十石と昇進していくに従って手がける作品は減っていきます。忙しすぎたんでしょうね。

そして、寛政元年(1789)『鸚鵡返文武二道(おうむがえしぶんぶのふたみち)』を出版すると、大ヒットであったものの、武士階級を揶揄した咎で松平定信から出頭命令を受け、それを拒んだまま死去。自殺したのではないかとも言われています…。


✨「金々先生栄華夢」の魅力ポイント

ちょうど春町が「金々先生栄華夢」を描いたころは、駿河小島藩の部屋住みで、扶持量(給料)もきわめて低額だった時でした。そのため武士でありながらも団扇絵を描くという、いわば副業に精を出さなければならない日々を送っていたのです。

しかし、一方で江戸の町には町人でありながら「十八大通」などと呼ばれた札差し(金融業)が羽振りをきかせていて、吉原の遊女たちと豪遊していました。

つまり「金々先生栄華夢」は、一発成りあがってみたいという、江戸の人々、さらには春町の憧れを描いたものであったのでしょう。

そして春町がその序文で「金々先生は何人といふを知らず」、つまり「金々先生は特定の誰かではなく、俺たちみんなのことだよ」と書いたように、江戸の町人や同じように少ない扶持にあえぐ仲間の武士たちにも、愉快な一冊として大いに受けたのだろうと思われます。

そんな「金々先生栄華夢」には、ストーリーはもちろんのこと、絵や書き込みにも魅力がぎっしり詰まっています。例えば…。

✅当時のおしゃれファッション

恋川春町の描いた「金々先生栄華夢」は、特に当時の流行が描かれているところがポイントだといわれます。「本多髷」を結い、トレンドファッションに身を包んだ若者の姿は、見る人にまるでファッション誌のような楽しさを与えたことでしょう(作中では行き過ぎたブランドファッションが揶揄されているようなシーンもありますが)。

✅お江戸の三大ホットスポット

金々先生が遊ぶ場所としては、吉原だけでなく深川や品川なども出てきます。吉原は幕府公認の遊郭ですが、深川や品川はそうではありません。なので吉原よりも気軽に安く遊べるといって、人気がありました。その3つのホットスポットの書き分けも見所の一つです。

✅通な人しかわからない「唐言(からこと)」

「金々先生栄華夢」には、客にはわからない言葉で遊女とスタッフが交わす符牒が描かれています。中国語っぽい言い方なので「唐言」というそうですが、こういう秘密のやりとりが描かれているのも、業界の裏話的に読者の興味を引いたことでしょう。

✅遠近法で描かれた斬新な挿絵

恋川春町は、鳥山石燕に絵を学び、勝川春章にも私淑していたといわれます。このシーンは、金々先生が夢の中で大富豪の屋敷に連れていかれたところ。広い広い屋敷の奥に手水鉢と鹿威しが見えて、飛び石がずっと向こうまで続いています。こんな遠近法を用いた挿絵も、当時としてはとても斬新なものでした。


📝「金々先生栄華夢」の冒頭を試し読み!

実は私は「金々先生栄華夢」を、当時のままのレイアウトで現代語訳した「黄表紙のぞき」という本を作っています。通販で発売中ですので、「金々先生栄華夢」をまるっと全部読んでみたいという方はぜひ一度下記をご覧ください。👇


せっかくですから、この場で「金々先生栄華夢」の冒頭のシーンを当時のレイアウトそのままに現代語で試し読みできるようアップしておきます。


田舎から出てきた金兵衛が粟餅屋の前を通りかかります


粟餅ができあがる間ついついうたた寝。すると夢の中で立派な駕籠が迎えに来て…?


連れていかれた先は大富豪の大豪邸。なんと我が家の跡取りになってくれと頼まれます…!

さて、こうして夢の中で大富豪の跡取りとなった金兵衛。この後、吉原に繰り出して遊びまくります。

続きが気になる方はぜひ『黄表紙のぞき』をチェックしてみてくださいネ!

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