死を呼ぶ手袋|敵こそ真の理解者【べらぼう15話】
大河ドラマ「べらぼう」。
第十五話、「死を呼ぶ手袋」が放送されました。
いやー、タイトルからイメージしたとおりのサスペンス劇場でしたね。源内先生の名探偵ぶりもさすがでしたが、後世は金田一耕助としてよみがえる松平武元の名推理もお見事でした! この内容だけで二夜連続のスペシャルドラマができそうなボリューム。毎回、一話一話が濃密で、絞って感想書くのも大変です笑
※石坂浩二さんの代表作に金田一耕助役があるんですよネ。
◎瀬川と蔦重の別れの名シーンがまだ胸に残る前回(十四話)の感想・考察はこちらから。史実の蔦重の耕書堂独立についても書いています。↓
それでは、「死を呼ぶ手袋」の謎と、田沼意次・松平武元の息を飲むやりとりについてなど、感想・考察していきましょう。
死を呼ぶ手袋。敵こそ真の理解者か
死を呼ぶ手袋の謎
鷹狩に出かけた徳川家基が急死しました。
家基は、現在の将軍・家治の長男であり、次期将軍候補。非常の事態に、田沼意次(渡辺健さん)と松平武元(石坂浩二さん)は真相究明に乗り出します。
意次から命を受けた平賀源内はさっそく調査に出かけ、目撃者の証言から家基がはめていた手袋に毒が塗られていた可能性があると報告しました。
それを聞いた意次は、自分が窮地に陥ったことを悟り青ざめます。なぜなら、意次はもともと家基と仲が悪いと周囲に見られていたうえ、手袋を用意したのが他でもない意次自身であったからです。
すぐさま証拠となる手袋を取り寄せようとしますが、すでにその手袋は、以前から対立していた松平武元が引き取っていました。「終わりだ…」と愕然とする意次。おそらく武元は、手袋の罠に気づき、しめたとばかりに自分を追い込む材料にするに違いない。
しかもちょうどそこへ、武元から屋敷へ呼ばれます。もうだめだ、田沼意次、絶体絶命のピンチ……!
一番の敵が一番の理解者
一体どんな濡れ衣を着せられるのだろうか、と思いきや、しかし茶室に意次を迎えた武元は冷静でした。
「調べるまでもない、この手袋は種姫様より西の丸様(家基)へ贈られたもの。種姫様が毒を仕込むなどできようもなく、する理由もない。つまり、この手袋を渡りに船と利用しようとした外道がいるということじゃ…。それは」
「そなた以外の誰かであろう」
予期せぬ言葉に驚く意次に、武元は高笑い。さらに意外な話をします。
意次は確かに気に食わない相手ではあるが、この事件をきっかけに追い落とそうとすれば、真犯人を見逃すことになってしまう。そんなことをするほど自分は愚かではない。
そして実は座頭金の件で、家基をいさめた意次のことを忠義の者であると内心気づいていたというのです。
なんということでしょう。一番の敵だと思っていた人物が、一番の理解者であったとは。意次も武元も、互いに幕府に忠義を尽くそうとしている同志だったのですね。
「金も確かに大事だが、いざとなったときに米のように喰えもせぬし、刀のように身を守ることもできぬ、人のように手を差し伸べてもくれぬ、頼りないものだ。そなたも世も金の力を信じすぎているように見える」
武元の言葉は、現代人にも耳が痛い。私も江戸時代の絵入り草子・黄表紙などを読んでいると、本当に金に欲に振り回される人々の様子が描かれていて、全く今と変わらないなあと感じることがありますが、まさにまさに。これから先、人間は金の魔力から逃れられる日が来るのでしょうか…。
なんてことを考えようとしていたら、なんとせっかく同志となった心強い先輩・武元が亡くなってしまいました。
息絶えた武元の寝室から手袋を盗み出した影は女性のものでしたが、同時に映し出された冷酷な笑みさえ浮かべて傀儡人形をあやつる人物は、後の第十一代将軍・家斉の父、一橋治済(ひとつばしはるさだ/生田斗真さん)。家基が亡くなって一番得をする人です…。
キャー、サスペンス!
◎家基の親指をかむ癖が、今まで何度か強調するように映されてきましたが、こんなトリックにつかわれるとは。最初のほうで、大奥の筆頭老女である高岳(たかおか/冨永愛さん)が家基への贈り物として手袋を意次に提案していましたから、高岳が治済とつながっているということでしょうか。
史実でも家基は鷹狩りの途中で急死したということですが、当時から暗殺説はあり、田沼意次を疑う噂などが出回っていたようです。今回のドラマ内容は単なる犯人当てに終わらず、複雑な幕府の権力闘争もしっかり描かれているようで見ごたえありました。
おわりに
今回はあまり蔦重の活躍シーンはありませんでしたが、冒頭で瀬川と所帯を持った夢を見ていたところ、切なかったですね。小芝風花さん、普通のおかみさん姿もかわいい♪
「絵なんてモテるために書くんですよ!」なんてウキウキ言ってる、まだ十代の山東京伝(古川雄大さん)の吉原好きも笑ってしまいますね。朋誠堂喜三二と次郎兵衛兄さんと、「行くべえ獅子、行くべえ獅子」なんていそいそ吉原に繰り出していましたが。
山東京伝もまた吉原にゆかりが深い人物で、これからもっと活躍してくれるだろうことを楽しみにしています。京伝と吉原について興味ある方はこちらの記事をどうぞ。↓
べらぼう、次回は「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」。いよいよ源内先生の最期でしょうか。見るのが辛すぎる…けれど、堪えて見ましょう。安田顕さんの触れただけで切れそうなシャキシャキの源内先生、とても良いから見届けなければ…。
Xでは、石坂浩二さんの名演や、生田斗真さんの悪役ぶり、横浜流星さんの切ない夢シーンなどが話題のようですね。あなたが気になったシーンなど、ぜひコメントで教えてください。
それでは、また次回の記事で~!
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