AIに「お客様の声」を聴かせたら、商品より先に自分が変わった
正直に告白します。私、長いこと「いいものを作れば売れる」と本気で信じていました。
小さな会社の経営者です。エンジニアではありません。子どもの頃はPCが好きで、黒い画面をカタカタやる日曜プログラマーでしたが、大人になってからはもう何年もコードなんて書いていません。今はコードはAIに書かせて、私は「何を作らせて、どう経営に効かせるか」を考える係。
そんな私が最近いちばん驚いたのは、AIの意外な使い道でした。今日はその話を、ちょっと恥ずかしいんですけど正直に書いてみます。
■ 「いいもの作ったのに、なんで?」の正体
うちみたいな小さい会社って、どうしても「作る側の理屈」で動きがちなんです。
「この機能、すごいでしょ」「ここにこだわったんですよ」。そう言いたくてたまらない。私もずっとそうでした。技術やこだわりを語れば、お客さんも「なるほど!」と膝を打ってくれる——そう思い込んでいたんですね。
でも現実は、そんなにうまくいかない。
いい提案をしたつもりなのに、返事が来ない。見積もりを出して、そのまま静かにフェードアウト。あれ、なんで?と首をかしげる。で、また社内で「もっといい機能を」と議論する。……この無限ループ、地味にしんどいんです(笑)。
そう、私、けっこう勘違いしてたんです。お客さんは、私の「こだわり」を知りたいんじゃなくて、自分の「困りごと」を解決したいだけだった。
■ AIを「聴く装置」にしてみた
きっかけは、ほんとにたまたまでした。
ある日、失注した案件のやり取りとか、問い合わせのメールとか、そういう「お客さんが実際に書いた言葉」がけっこう溜まっていることに気づいたんです。今までは、来たら読んで、終わったらフォルダの奥へ。それっきり。
これ、AIにまとめて読ませたらどうなるんだろう、と。
軽い気持ちで、一週間ぶんくらいの問い合わせ文と、うまくいかなかった商談のメモを、ぜんぶAIに放り込んでみました。「この人たちは、本当は何に困っていて、どんな言葉で検索していそう?」って聞いてみたんです。
出てきた答えに、正直ちょっと固まりました。
私が「うちの強みはここ」と思っていたポイントを、お客さんはほとんど気にしていなかった。逆に、私が「そんなの当たり前でしょ」と軽く流していた部分を、みんな不安がって何度も質問していた。……いや〜、見事にズレてました(笑)。
■ プロダクトアウトから、ちょっとだけマーケットインへ
昔から言うじゃないですか。「作りたいものを作る」プロダクトアウトより、「求められるものを作る」マーケットインだ、って。
言葉では知ってました。知ってたけど、正直ずっとピンときてなかったんです。だって、お客さんの声なんて、一人ひとり聞いて回るのは無理だし、アンケートを取るほどの規模でもない。
でもAIって、疲れないんですよね。何十件でも何百件でも、文句ひとつ言わずに読んで、「みんなこういう言葉を使ってますよ」「ここに引っかかってる人が多いですよ」と、淡々と教えてくれる。
私一人だったら、印象の強い一件に引っ張られて「よし、こういう人が多いな!」と早合点していたはず。人間って、声のでかい一件を「全体の声」だと勘違いしがちですから。
AIはそこを、そっと平らにしてくれる。感情を抜いて、量で見せてくれる。これは、ちょっとした発見でした。
■ 変わったのは、商品より先に「私」だった
面白いのはここからで。
てっきり「よし、じゃあ新機能を作るぞ」って話になると思うでしょう? でも実際にいちばん先に変わったのは、商品じゃなくて私の頭の中でした。
お客さんが本当に不安がっているポイントが見えたら、提案の一言目が変わる。売り込みたい気持ちがスッと引っ込んで、「あ、そこ心配ですよね」から入れるようになる。たったそれだけで、会話のあたたかさが変わるんです。
結局のところ、AIって「賢い答えを出す機械」だと思われがちだけど、私にとってはむしろ「自分の思い込みに気づかせてくれる鏡」でした。すごいのは、答えを出す力より、聴く力のほうだったんですね。
もちろん、私もまだ道の途中です。聴いた声を全部さばけているわけでもないし、相変わらず「これ作りたい!」が先走ることもあります(笑)。
でも、迷ったらまず聴く。作る前に、AIにお客さんの言葉を読ませてみる。これだけで、遠回りがずいぶん減った気がします。
もし今、「いいもの作ってるのに、なんで届
