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不動産投資|自主管理アパートの「退去立会い」が、ずっと苦手でした。



不動産投資でアパートを自主管理していると、どうしても避けて通れない仕事があります。
それが「退去立会い」です。


頻繁にあるわけではありません。
だからこそ慣れないまま、毎回少し緊張してしまいます。


入居者さんが部屋を出るとき、大家として現地に赴き、室内を確認し、原状回復費用を精算する。


大家業の基本。
けれど私は、これがずっと苦手でした。




「お金をいただく」のが難しい時代




最近は敷金を預かる契約が減り、
入居時に家賃1ヶ月分をクリーニング代として受領し、退去時は追加請求をしない「償却型」も増えました。


地域にもよりますが、
「敷金礼金なし」のほうが入居が決まりやすい。
初期費用を抑えた物件が選ばれやすい時代です。


その分、退去時に追加費用をいただくハードルは高くなりました。


私は契約書に沿って精算できるよう、退去時はリフォーム業者さんに同行してもらい、プロの目で確認しています。


法人契約は比較的スムーズです。
難しいのは、人生の事情で引っ越される場合です。



世間話で崩れる“大家モード”



就職、転職、結婚、離婚、実家への帰省、収入の変化。
退去の理由は、人生の転機そのものです。


私の失敗パターンに、ようやく気づきました。
約束の時間より少し早く到着してしまうこと。


業者さんが来るまでの数分間、世間話をしてしまうのです。


「このアパート、どうでしたか?」
「住みやすくて気に入っていました」


そこから暮らしの話になります。
子育ての話になれば母親同士。
親の介護の話になれば娘同士。


そして、ふと思ってしまう。


新生活にはお金がかかる。



人間関係が裏目に出る瞬間




長く自主管理をしていると、顔見知りになる入居者さんもいます。
雑談もできる、良い関係を築けていると思っていました。


けれど退去の場面では、それが逆に作用することがあります。


本来は契約と基準で判断する場面なのに、

「今回は大丈夫ですよ」
「日割りで精算して返金しますね」
と、私の方から譲ってしまうのです。



はっきり分かったことがあります。
やさしさと曖昧さは違う。



「入居時からあった傷」と言われたら


クロスの傷や汚れ。
「入居時からあったかもしれません」と言われると、必要な請求でも強く言えない。


オーナーチェンジ物件で写真が残っていない事情もあります。
でも本当の理由はそこではありません。


その人の「次の暮らし」を想像してしまうから。


結果として、原状回復費用を自分で負担したこともあります。



私の問題は、ここでした



揉めてもいないのに、自分から
「原状回復費用のご負担は不要です」と言ってしまう。


退去立会いが揉める原因は、感情ではなく「基準の曖昧さ」です。



基準は決まっています。

通常損耗 → 大家負担
故意・過失 → 借主負担

原則はとてもシンプルです。



そして一番効くひとことは、

「国土交通省の原状回復ガイドラインに沿って計算しています」

大家が説明するより、業者さんが伝える方がスムーズです。



原状回復費用の基準



原状回復には明確な基準があります。

満額請求できるケース(借主負担)

・タバコヤニによる全面交換
・ペット臭の特殊清掃
・放置カビ腐食
・多数のビス穴
・設備破損
・鍵紛失
・油放置による設備交換
・嘔吐などの特殊汚損


按分請求(残存価値の考え方)
新品交換費用ではなく「残存価値のみ」を請求します。


例:クロス耐用6年
5年使用 → 1/6請求
3年使用 → 3/6請求

クッションフロアやカーペットも同様です。


請求できないもの

・日焼け
・家具跡
・画鋲穴
・通常清掃レベルの汚れ
・経年劣化
・設備寿命

知識があると、感情に引きずられにくくなります。


小さな改善



業者さんに言われた言葉が刺さりました。

「ちゃんと請求しないと、大家業は続けられないですよ」

本当にその通りです。


急な給湯器の故障や外壁塗装。
大規模修繕に備えるのも大家の仕事です。


もしかしたら、
「この物件は割安で買えたから」という気持ちがどこかにあったのかもしれません。


利益が出ているからといって、
負担を肩代わりするのは、経営ではなく感情。


私は“やさしさで曖昧にすること”をやめると決めました。



見つけた解決策!



先日の退去立会いの後、ふと思いました。

感情移入するから苦しくなるのでは?
話を聞きすぎて……


だったら——

私が後から行けばいいんだ

業者さんに先に入ってもらい、
現地確認と説明はプロに任せる。

私は最後に行って、確認だけする。

これなら、立ち入った話で気持ちが揺れる前に基準で話が進みます。



冷たいのではなく、役割分担。

それだけで、気持ちがずいぶん楽になりました。



将来の目標




目標は、ローンを完済し、本当の意味で心に余裕を持って
「新生活を応援しています」
と送り出せる大家になることです。


けれど今は、その途中。


だからこそ、今日の請求を曖昧にせず、きちんと運営できる経営者でありたい。


やさしさと経営の間で揺れながら、今日も大家を続けています。


「いい大家さん」を目指すのか。
「管理会社」に任せるのか。
「不動産投資家」として効率を追うのか。


まだ答えは分かりません。


けれどどの道を選んでも、土台に必要なのは揺るがない運営力。


退去のたびに少しずつ学び、
感情ではなく、基準で判断する。



建物を守ることは、
次に住む人の暮らしを守ること

それが、大家としての私の役割だと思っています。






買うときはシビアに。
そして運営は心に余裕を持つ。
そんな考え方も、別の記事にまとめています。


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