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深夜2時半、鳴りやまないインターフォン 知らない男が玄関前に立っていた——恐怖の夜(前編)

深夜二時半

——私はテレビをつけたまま、
寝落ちしていた。

……インターフォンの音がする。
テレビの音だろうか。

寝ぼけた頭でそう思いながらも、
鳴りやまない音に意識が浮かび上がる。

——うちのインターフォン……?

半分眠ったまま体を起こし、
オートロックのモニターに目を向ける。

いつもと、何かが違う。

耳を澄ます。

……玄関前のインターフォンが
鳴っている気がする。

まさか…

そう思いながらも、
恐る恐るベッドを抜け出す。

足音を立てないようにしながら、
ゆっくりとドアへ向かった。

そーっとドアスコープを覗く。

作業着のような服を着た、
40代から50代くらいの男性が立っていた。

全く知らない人だ。

なにより怖かったのは、
オートロックを開けていないのに、
どうやってここまで来たのかということ。

思い当たることは何もない。

ストーカーもいない。

鳴りやんだかと思い、
やっと安心してベッドに戻る。

だが、また鳴らされる——。

そのしつこさに、
じょじょに異常さを感じ始めた。

そっとカーテンの隙間から外を見る。

少し離れた場所に
パトカーが停まっていた。

赤いランプだけが、
静かに点滅している。

建物の入口付近には、
制服姿の警察官の姿も見える。

ほんのわずかに開けた
カーテンの隙間からしか確認できない。

怖くて、大きく開ける勇気はなかった。

そして

——さきほど玄関前に立っていた
作業着姿の男性も、そこにいるようだった。

警察官と話しているようにも見える。

あの男性は警察なのか、
それとも警察とは真逆の、
不審な人物なのか、

距離があって判別できなかった。

しばらくすると、
また玄関前のインターフォンが鳴る。

息を殺して様子をうかがう。

どうやら同じ階の別の部屋の前にも
行っている気配があるような、ないような……

——それでも、出る勇気はなかった。

深夜2時半に対応できるほど、私は強くない。

鳴りやんだかと思えば、また鳴らされる——。
その繰り返し。

けっこうしつこいな……怖すぎる……

やがて、諦めたのか、
男は私の玄関前で何かを
書いているようだった。

それはそれで、恐怖だった。

やがて書き終えたのか、
いつの間にかその男性の姿は消えていた。

外を見ると、警察官の姿もパトカーもない。

——何を書いていたのか。気になる。

もう誰もいないはず

——そう思いながらも、

「もしまだどこかに潜んでいたら」

と考えると怖くてたまらない。

たとえドアチェーン越しでも、

外が明るくなるまでは、
何かがそこにいるようで、
ドアを開けることができなかった。

——結局、朝まで一睡もできなかった。

やっと空が白み始めた、朝7時前。

ドアチェーンをかけたまま、
まずはドアをわずかに開ける。

手に持った鏡で、
外に誰もいないか念入りに確認した。

……今思えば、この行動もかなり怪しい。
でも、それほど怖かったのだ。

人の気配がないことを確認し、
ほっと息をつく。

そのとき——私のドアと、向かいの住人の
ドアのちょうど真ん中あたりに、
名刺のようなものが落ちているのが見えた。

誰の名刺なのかは、鏡越しではわからない。

もう一度、周囲を確認する。

そして私は

ドアチェーンを外し、ドアを開けた。

——ものすごい速さで
床に落ちていたそれを拾うと、

すぐにドアを閉め、
鍵とチェーンをかけた。

部屋に入り、やっと落ち着いて名刺を見る。

——それは、警察官の名刺だった。

しかも、裏には手書きのメッセージがある。

「この名紙に気づいたら、こちらの番号に
連絡してください。」

達筆とは言えない、少し乱れた文字と誤字
それが余計に不安を煽った。

この名刺が本当に私宛なのかはわからない。

向かいの部屋とのちょうど真ん中に
落ちていたからだ。

廊下を見渡しても、
名刺はどの部屋にも挟まっていない。

落ちてもいない。

深夜に、全員が対応したとは考えにくい。

あの男性は確かに、
私のインターフォンの横で
この伝言を書いていた。

認めたくないが、
私の部屋のドアの隙間に
紙を差し込むような音も、
聞いた気がする。

——どう考えても、私宛だった。

けれど、

——なぜ、私の部屋だけ?

疑問は膨らむばかりだった。




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