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【韓国生活追想(120)】引っ越しの風景

15日後には韓国を去る。今はせっせと荷造りをしている。16年分の生活を畳むのだから、なかなか大変な作業だ。

引っ越し後、最初の数週間をしのぐための色々はスーツケースに詰め込んで、あとは船便で送る段取りだ。

「船便で荷物を送りたいから業者を調べて」と夫に伝えると2社調べてくれた。「とりあえず段ボールに詰めるだけ詰めて、見積もりに来てもらえばいい。段ボールは郵便局の段ボールが軽くて丈夫でいいらしい。」と教えてくれた。夫は、私が具体的にお願いをすれば聞いてくれることも多い。が、荷造りの当事者だとは全く思っていないようだった。

私が3回に分けて郵便局に出かけた。私が30個の段ボールを運んできて、私が30個の荷造りをした。

夫は、幼少期から母親と二人の姉とが家の中のことをすべて片付け、自分は王様のようにふんぞり返って食事のときだけ一番に呼ばれて食事をするように育てられたし、周りで女が動くのが当たり前の環境で育っている。これが夫の原風景だ。だから私だけがせっせと家じゅうの片づけをしている隣で、のんびりくつろいでいたって、なんの居心地の悪さもないんだろう。

それに関しては今さらどうでもいい。夫が変わろうが変わるまいがもはや私の関心の及ぶところではない。とっくに怒りすら涌かない。でもたったひとつだけ、この状況を巡って危惧していることがある。

それはこのパパとママの姿が娘の原風景にもなっているということだ。ママだけひたすら働く。パパはそれを当然として振る舞い、ママに対する気遣いはない。

娘がいつか結婚して、どうかこの原風景を再現することがありませんように。娘にできる限りのことをしてきたつもりでいるけど、親がしてあげられる限られたことの中で、もしかしたらとっても大切な一片が欠けていたことを申し訳なく思う。