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第11回:不確実性を扱えない組織はDXできない ー理系的思考の欠如という問題

第10回のおさらい

『データは答えではない― 判断の責任をどう教えるか』と題して、DXの現場で起きている多くの問題は、「仮説がない」「レバレッジを見ていない」「非線形を前提にしていない」ことに加え、『判断の責任を引き受けていない』ことに起因しているのではないか、と整理してきました。

DXが止まる本当の理由

DXが進まない理由として、人材不足、ツール未整備、データ不足といった話がよく挙げられます。

しかし実際の現場を見ると、これらが揃っていても進まないケースは多い。

そのときに共通しているのは一つです。

不確実な状態に耐えられないこと

現実は「予測できない」前提で動いている

前提として押さえるべきことがあります。

現実の組織やビジネスは、単純な因果関係では動きません。

・小さな変化が大きな結果を生む
・合理的な施策が逆効果になる
・時間差で影響が現れる

これはいわゆる「非線形」の世界です。

つまり、

やってみないと分からないことが前提の世界

「正しさ」を求めるほど動けなくなる

しかし多くの組織は、この前提に立てていません。

・確実に成功する施策を求める
・失敗しない計画を作ろうとする
・根拠が揃うまで意思決定を先送りする

一見すると合理的ですが、結果は逆です。

動けなくなるか、遅れるかのどちらかになります。

なぜなら、

不確実な世界では、確実な正解は存在しないからです。

仮説は「外れる前提」で使うもの

ここで重要になるのが、仮説の捉え方です。

多くの場合、仮説は「当てるもの」と思われています。

しかし実際には逆です。

仮説は外れる前提で使うもの。

だからこそ、

「小さく試す」→「反応を見る」→「修正する」

というプロセスが必要になります。

これは「正解を見つける」活動ではなく、

不確実性の中で進み続けるための方法です。

不確実性に弱い組織の特徴

不確実性に耐えられない組織には、いくつかの特徴があります。

・完璧な計画を求める
・失敗を極端に避ける
・責任の所在を曖昧にする
・前例がないと動かない

この状態では、

・仮説を立てられない
・PoCが形だけになる
・意思決定が先送りされる

結果として、

「やっているのに変わらないDX」が生まれます。

DXは「確実性」ではなく「更新力」で決まる

これまでの話を整理すると、DXの本質が見えてきます。

DXは、

・正しい計画を作ること
・確実な施策を実行すること

ではありません。

仮説を更新し続けること。

つまり、

・変化を観測し
・ズレを認識し
・次の一手を修正する

このサイクルを回し続ける力です。

現場でよくあるPoCでも、完璧な計画を作るよりもまず進めることが増えてきた印象です。

しかし、仮説が正しいことを検証するだけになることがとても多い。

最初から修正ありきでPoCを2段階でやってみると良いのですが、これに耐えられる組織文化があるでしょうかー

教育で育てるべきは「不確実性耐性」

この問題は、組織文化だけでなく教育とも強く関係しています。

これまでの教育は、

・正解がある
・評価基準が明確
・間違えないことが重要

という構造が中心でした。

この環境では、

不確実な状態に向き合う経験がほとんどない。

そのまま社会に出ると、

・決められない
・試せない
・失敗を避ける

という行動になりがちです。

不確実性耐性とは何か

ここでいう不確実性耐性とは、

単に「曖昧さに強い」ということではありません。

分からない状態でも、仮説を置いて動ける力。

具体的には、

・不完全な情報でも意思決定する
・小さく試して学ぶ
・結果を受けて柔軟に修正する

この一連の行動が取れることです。

教育で何を変えるべきか

では、教育段階で何を変えるべきか。

重要なのは次の3つです。

・「正解がない問い」に取り組む経験を増やす
・仮説を外すことを前提にした評価にする
・結果よりも意思決定の質を評価する

つまり、

「当てる力」ではなく「進める力」を育てること。

第12回に向けて

第11回では、「不確実性に耐えられない」というキーワードでDXが進まない理由を整理し、教育面で何をするべきかを考えてきました。

第12回は少しテーマを変えて、生成AI活用=DXという流れに対し、うまくいくには何が重要かを、理系的思考から深掘っていこうと思います。

生成AIの登場で期待が膨らむが、構造設計なきAI活用は失敗する。技術と設計思考を接続することの重要性とはー

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