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【第三十八度線の火──和平が世界を焼いた日⑬】

第十二部

八月一日 — 北京の分裂

北京の権威は、一日で崩れたのではない。

まず、上海が中央政府の命令を無視した。
次に、香港で大規模なデモが再燃した。
ウイグルでは、亡命組織が独立準備評議会を宣言した。
チベットでは、僧侶たちが雪の中で祈りを始めた。
内モンゴルでは、自治政府の一部が北京への忠誠を停止した。

中国人民解放軍は、外へ向けるべき銃口を、内へ向けざるを得なくなった。

その瞬間、中国は大国ではなくなった。
巨大な帝国の皮をかぶった、複数の断層線になった。

ロシアは静観した。
正確には、静観を売った。

米国には「北東アジア安定化への協力」を伝え、
中国には「外部介入の抑制」を伝え、
欧州には「停戦仲介の用意」を伝えた。

誰もロシアを信じなかった。
だが、誰もロシアを完全には無視できなかった。




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神原月見|言語化審神者(げんごかさにわ) 再び空を飛ぶ為の訓練費用に使わせていただきますm(_ _)m