見出し画像

「エアコン普及率は欧州2割・日本9割」世界の暑さのしのぎ方

割引あり

日曜の夜、スマホには「欧州でまた熱波、死者数千人」という見出しが並ぶ。だが日本で暮らす私たちには、その深刻さがどこか遠い。理由は単純だ。日本のエアコン世帯普及率は9割を超え、猛暑日でもスイッチひとつで涼をとれるからである。ところが欧州の普及率はわずか2割前後。この「冷房格差」が、毎夏、数万人の命を分けている。

この記事ではIEA(国際エネルギー機関)やNature Medicine、各国統計の一次データを突き合わせ、エアコン普及率の世界地図、熱波の死者数、インドの爆発的需要、冷房が地球に与える負荷までを俯瞰する。読み終える頃には、日本の「当たり前」がいかに特殊かが見えてくるはずだ。


日本9割・欧州2割——エアコン普及率の世界地図

「暑ければ冷房を入れる」。この行動は、世界では決して当たり前ではない。エアコンの世帯普及率は、国によって10倍以上の開きがある。IEAや各国統計をまとめると、日本と欧州の間には約4.8倍の差が横たわる。

まず全体像を一枚の表で押さえる。数字はいずれも世帯ベースの保有率であり、時点や定義に多少の幅がある点は留意したい。

┌────────────────┬────────────┬────────────────────────────┐
│ 国・地域         │ 世帯普及率  │ 備考                       │
├────────────────┼────────────┼────────────────────────────┤
│ 日本           │      91.5% │ 二人以上世帯/内閣府(2023)     │
│ 米国           │      約90% │ 住宅の約9割が冷房を保有         │
│ 韓国           │        86% │ 東アジアの高普及国             │
│ サウジアラビア   │        63% │ 高温・産油国                 │
│ 中国           │        60% │ 都市部を中心に急拡大           │
│ 欧州(平均)      │        19% │ IEA(2022)。約2割            │
│ ブラジル        │        16% │ 新興国で伸長中               │
│ 南アフリカ      │         6% │ 低所得層で未保有              │
│ インド          │         5% │ 潜在需要は世界最大            │
└────────────────┴────────────┴────────────────────────────┘
出典: IEA「Space cooling」データ(2022年普及率)、内閣府「消費動向調査」(2023年3月末、日本)、各種統計

ここから先は

51,139字

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー

「面白い!」と感じていただけたら、コーヒー一杯分の応援をいただけると嬉しいです! そのご支援が、深夜のデータ分析を支える貴重なエネルギーになります!