ハーバードも注目。ペットが伸ばす“学ぶ力”
こんにちは、ディーン千賀子です。
沖縄で英語塾とホストファミリーを運営しながら、これまで10年間300組以上の親子と向き合ってきました。
今でこそ“英語育児の専門家”として発信していますが、私自身、いつも「学びの環境」について学び・模索してきました。
どんな場所なら子どもは安心して学べるのか。
どんな関わり方が、やる気のスイッチを入れてくれるのか。
そんな中、ホームステイの現場でふと気づいた“ある共通点”が、
私の考えを大きく変えることになります。
「なんでこの子、集中できないんだろう」
「英語が嫌いになってきているかも…」
「塾や教材は揃えたのに、結果につながらない…」
そんなふうに、子どもの“やる気”や“学びの姿勢”に悩んでいるママやパパに、今日はちょっと違った視点のお話をお届けしますね。

英語をがんばる子のそばに、いつも犬や猫がいた
ホームステイで英語を学んでいる子どもたちを見ていて、私はあることに気がつきました。
それは、英語の勉強をしているとき、ほぼ必ずそばに犬や猫がいるという光景です。
最初は「かわいいな」「癒されるな」と思っていたのですが、
あるときふと、
「これって、偶然じゃないのかもしれない」
そう思いはじめました。
たとえば、リビングの一角でホストキッズと並んで英語のワークブックを開いていた日本の中学生。
膝の上には猫が座り、彼はその温もりを感じながら静かにリーディングに取り組んでいました。
別の家では、ホストファミリーの犬が足元にくっついて寝ていて、
子どもはその存在を感じながら、リスニング練習に集中していました。
誰も「この子のそばにいてあげて」と頼んだわけではないのに、
まるで“わかっている”かのように、ペットたちは自然と子どもの学習スペースに寄り添っていました。
そして私が驚いたのは、
その状態の子どもたちは、みな穏やかで集中していたことです。
英語が苦手だった子も、普段よりリラックスして取り組んでいた。
プレッシャーを感じやすいタイプの子が、楽しそうに音読していた。
「これは偶然じゃない」
そう確信したとき、私は初めて“ペットが学びを支える”という視点に気づいたのです。
ペットと学習をつなぐ「脳のホルモン」
この“感覚的な気づき”を裏づけるものがあるのか、私は調べはじめました。
そして出会ったのが、「ペットと脳科学」の研究です。
ペットと触れ合うことで、人間の脳内では以下のような“学びに向かうホルモン”が自然と分泌されることがわかっています。
🧘♀️ セロトニン
心を落ち着け、集中力を高める働きがあります。
子どもが犬や猫をなでているとき、ふわっと心が緩んでいく。
「よし、もうちょっとがんばろうかな」という前向きな気持ちも、セロトニンが後押ししてくれます。
😊 オキシトシン
「愛情ホルモン」とも呼ばれ、信頼関係を深める働きがあります。
ペットがそばにいるだけで、「守られている」「安心できる」と感じるのは、このオキシトシンの効果。
不安や緊張をほぐしてくれる“こころのクッション”のような役割を果たしています。
🚀 ドーパミン
やる気や達成感と深く関係しています。
小さな成功体験──たとえば「今日の英単語、全部覚えられた!」という瞬間に、
ペットがちょこんと寄り添ってくれていたら、その喜びが何倍にも増すのです。
つまり、ペットはただの“癒し”ではありません。
「脳を学びやすい状態に整える、まさに“学習環境の一部”」なのです。
これは、机や照明を整えるのと同じくらい重要な、“学習空間のデザイン”なのだと思います。
ハーバード大学も注目する、ペットと学びの関係
このペットと学習の関係については、実はハーバード大学の研究でも注目されています。
こちらが調査内容。
National Puppy Day and the Health Benefits of Pets
調査によると、ペットと暮らす子どもたちは以下の力が高まる傾向にあるとのことです。
共感力・社会性
動物とのふれあいを通して「相手の気持ちを想像する力」が育まれます。
これは、言語理解や読解力の土台でもあります。ストレスへの耐性
学校や学習でプレッシャーを感じやすい子ほど、ペットの存在によって緊張が緩和され、
「挑戦してみようかな」と思える回復力(レジリエンス)を持ちやすくなります。集中力と記憶力
心が穏やかで、安心できる状態にあることで、脳は情報を受け取りやすくなり、
短期記憶や思考力にも良い影響を与えることがわかっています。
特に犬との暮らしでは、毎日のふれあいや散歩によって生活リズムが安定し、
子どもが「落ち着いて自分の世界と向き合う時間」をつくりやすくなるのだそうです。
このように、ペットと学びの関係は、情緒面だけでなく、実際の学力形成にもつながっているというのが今の科学の視点です。
わが家でも──13歳の息子と、保護犬チャーリ
私たちの家庭でも、この「ペットが支える学び」を日々実感しています。
息子が13歳になったとき。
反抗期、思春期という複雑な時期を迎えるにあたり、私はずっと考えていました。
「親には話せないこと、あるよね。どうしたら彼が“そのままの自分”でいられる環境をつくれるだろう」
そしてたどり着いた答えが、“彼専用のパートナー”としての保護犬を迎えることでした。
チャーリは少し怖がりで、人見知りな性格。
でもその繊細さが、むしろ息子とぴったり合っていたんです。
最初はお互いに距離がありました。
でも数日、数週間と過ごすうちに、息子はチャーリに自然と話しかけるようになりました。
「今日ちょっと嫌なことがあってさ」
「テスト、まあまあだったよ」
人に話すと構えてしまうようなことも、チャーリになら、素直に言える。
チャーリは、ただ黙って聞いてくれて、寄り添ってくれる。
学びの場でも、チャーリはいつも息子の近くにいます。
リーディングタイムにも、オンライン英会話にも、リビング学習にも。
チャーリがそばにいるだけで、息子の表情はやわらかくなり、
「勉強する」ということへのハードルが、少し下がったように見えます。
アメリカ文化に根づく「思春期 × ペット」
アメリカでは、思春期を迎えるタイミングでその子専用のペットを迎えるというのが、珍しいことではありません。
これは単なるプレゼントでも、ペット好きの趣味でもなく、家族としての“心の備え”の一つとして考えられています。
「あなたには、この子(ペット)がついているよ」
「話せなくても、わかってくれる存在がいるよ」
そんなメッセージを、親から子に届ける手段として、ペットが選ばれるのです。
あるホストファミリーのお母さんが話してくれたことがあります。
“We got her a dog when she turned 13. It helped with her anxiety.”
(彼女が13歳になった時に犬を迎えたの。不安が減っていったのよ)
学校生活、人間関係、自分の将来。
思春期の子どもたちは、想像以上にたくさんの「初めての不安」に直面しています。
その時、
どんな顔でも、どんな感情でも、ただ受け入れてくれる存在がそばにいるというのは、
大人が想像する以上に大きな安心感になります。
また、ペットと過ごすことには、感情面のサポート以外にもこんな効果があります。
✅ 役割意識が育つ:自分が「誰かの世話をしている」という感覚は、自信につながります
✅ 生活リズムが安定する:ごはん、散歩、寝る時間。ルーティンが自然に整う
✅ 自立と責任感が育まれる:動物は気まぐれ。だからこそ、観察力や工夫も必要になる
実際に、ホストキッズたちの中でも「ペットの存在があることで精神的に安定した」と話してくれる子は多く、
勉強面だけでなく、「生活全体の土台」を支えてくれているのを感じます。
日本では「中学受験」や「高校進学」が重なって、「今はそれどころじゃない」と思うご家庭も多いかもしれません。
でも実は、一番“心の余白”が必要なのはこの時期なのかもしれません。
実際多くの子を教えていて感じることは、「心が安定していない状態の子」にはなかなか学習内容が入らないんです。どんなにレッスン回数を増やしても、そんな時に効果は上がりません。
これは英語だけではなく他の教科にも通じることだと思います。
まとめ:ペットは“学びの場”を支えるセラピスト
子どもが勉強に向き合えないとき、
「やる気がないのかな?」「集中力が足りないのかな?」と、親はつい悩んでしまいますよね。
でも、もしかするとそれは、心の安全基地が足りていないサインなのかもしれません。
誰にも見せられない感情を、そっと見せられる存在。
言葉にできない不安を、そばにいるだけで分かってくれる存在。
ペットは、家庭の中でその役割を静かに果たしてくれるセラピストなんです。
そして、心が落ち着いているとき、
子どもは自然と学びに向かいます。
英語の音も、未来への希望も、ちゃんと届いてくるようになるんです。
これからの教育に必要なのは、「人」だけじゃない
私たちはつい、教育といえば「先生」「教材」「塾」といった“人やモノ”に注目しがちです。
でも、子どもが安心して自分を出せる“空間”をどうつくるかが、実はもっと大切なのかもしれません。
「今、子どもの隣にいてくれるのは誰か?」
「この子が落ち着ける場所は、どこにあるか?」
そう問い直すことで、見えてくる支援の形があります。
ペットはただの動物ではありません。
子どもたちの“学ぶ力”と“生きる力”を静かに引き出す、大切な存在です。
このチャンネルでは今後も、「英語 × 教育 × キャリア 」をテーマに、
親子で“安心して学べる環境”をどうつくるかという視点から、情報と実践アイデアをお届けしていきます。
英語ができるようになる前に、心が育っていること。
やる気スイッチを押す前に、安心できる場所があること。
そんな“当たり前だけど見落とされがちな”ことを、丁寧に一緒に見つけていけたらと思っています。
関連記事:
