【第2部】仕草ではなく「変化」を見るのが必要な理由
みなさんこんにちは!
行動心理士の僕です。
【第1部】
では、「緊張していること」と「嘘をついていること」は同じではないというお話をしました。
警察官を前にした13歳の少年は、身体を揺らし、視線をあまり合わせず、落ち着かない様子を見せていました。
しかし、その姿だけを見て「嘘をついている」と判断することはできません。
では、もし一つひとつの仕草だけでは分からないのであれば、何を観察するべきなのでしょうか。
今回は、その視点についてお話ししたいと思います。
⚠️注意⚠️
この記事は、映像から観察できる行動を心理学や非言語コミュニケーション研究と照らし合わせながら考察したものです。
一つの仕草だけで相手の心理や真実を断定することはできません。
重要なのは、
その人の普段の状態
時間の流れ
行動の変化
その変化が起きた状況
を総合して考えることです。
目的は、人を疑うことではなく、人を理解することです。
真心を大切にしながら、一緒に考えていきましょう。
1. 僕が最初に見ているもの
映像を見る時、僕は最初から「怪しい仕草」を探しているわけではありません。
むしろ最初に見ているのは、その人が普段どのような状態で話しているのかということです。
例えば
落ち着いて話す人なのか
よく身振り手振りを使う人なのか
視線をよく動かす人なのか
あるいは、もともと緊張しやすい人なのか。
その人自身の普通を知らないまま、一つの仕草だけを切り取って判断してしまうと、誤解につながる可能性があります。
だから僕は、まず「普段の状態」を把握することを意識しています。
2. ベースラインという考え方
心理学や非言語コミュニケーションの研究では、一人ひとりには、その人らしい行動のパターンがあると考えられています。
話す速度
姿勢
呼吸
表情
声の大きさ
視線
これらは人によって大きく異なります。
例えば
普段から視線を合わせるのが苦手な人もいます。
逆に、普段はよく笑う人もいます。
つまり、他人と比べるのではなく、その人自身の中で何が変わったのか、にそこに注目しています。
3. 違和感を覚えた瞬間
今回の映像では、少年は最初から緊張していました。
だから、
身体が揺れていること
視線が一定でないこと
も僕にとっては自然な反応に見えました。
ところが、会話が進むにつれて、ある話題になった時だけ、ほんの少し反応が変わったように感じた場面がありました。
警察官がDiscordについて質問した時です
少年は質問を一度繰り返してから答えています。
もちろん、これだけで意味があるとは言えません。
聞き返しただけかもしれません
質問の意味を確認したかっただけかもしれません
単純に聞き取れなかった可能性もあります
だから、僕はこの場面だけを切り取って「何かを隠している」とは考えませんでした。
ただ、
ここだけ少し流れが変わったように見える
その感覚だけは残りました。
4. 「変化」は答えではなくヒント
僕は、変化を見つけても、そこで答えを出すことはありません。
むしろ、そこから観察が始まります。
なぜ今だったのだろう
他の話題でも同じ反応なのだろうか
この変化は一度だけなのか
心理学では、一つの出来事だけで結論を出すことはできないとされています。
だから違和感を覚えた時ほど、すぐに答えを出さないよう意識しています。
違和感は、あくまで観察を続けるための入り口なのです。
5. 次に見えてきたもの
そこで、一つの疑問が浮上してきます。
なぜ、人は話題によって反応が変わることがあるのでしょうか
もちろん、
嬉しい話でも変わります
悲しい話でも変わります
怒りを感じる話でも変わります
では、自分にとって負荷の大きい話題になった時、脳の中では何が起きているのでしょうか。
この疑問は、認知心理学や脳科学の研究で説明できます。
そして、「嘘をつく」という行為そのものではなく、「考える負荷」に注目した研究が数多く存在します。
次回は、認知負荷(Cognitive Load)という考え方をもとに、なぜ人の行動に変化が現れることがあるのかを、一緒に考えていきたいと思います。
出典
Vrij, A. (2008)『Detecting Lies and Deceit: Pitfalls and Opportunities』
DePaulo, B. M., et al. (2003)『Cues to Deception』
Knapp, M. L., Hall, J. A., & Horgan, T. G. (2014)『Nonverbal Communication in Human Interaction』
Burgoon, J. K., Guerrero, L. K., & Floyd, K. (2016)『Nonverbal Communication』
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