映画『Back to the Future』をTRIZ視点で観たら、発見だらけだった
先日、40周年記念のIMAX上映で『Back to the Future』を観てきました。
大迫力で最高でした。名作中の名作。何度観ても面白い。2時間があっという間。
※以下、1作目のネタバレを含みます。せっかくの名作なのでまだ観たことない方は引き返してください(笑)
で、観ながらずっと思っていたこと。
「この映画、めちゃくちゃTRIZっぽいところあるな」
TRIZを学んでいると、だんだん世界の見え方が変わってきます。日常のあらゆるものが「矛盾」や「リソース」に見えてくる。今回はその眼鏡をかけたまま映画を観てしまったので、気づいたことを書き残しておきます。
タイトルからして「矛盾」
まず、タイトル。
Back to the Future
よく考えると、これ撞着語法(オクシモロン)ですよね。
以前の記事でもご紹介させていただきました。
「Back」は後ろ、過去への方向。「Future」は未来。ベクトルが真逆です。普通なら「Back to the Past」でしょう。
でも、1955年に取り残されたマーティの視点で考えると、1985年は「未来」なんですよね。だから帰ることが「Back to the Future」になる。一見矛盾している言葉が、視点を変えると成立する。
TRIZでは「物理的矛盾」を扱いますが、このタイトルは視点の切り替えで矛盾を解消している好例かもしれません。映画の状況設定がタイトル3語に凝縮されているんですね。
雷という「リソース」
映画の核心的な問題はこうです。
タイムマシンで片道分の燃料しか積まずに過去に来てしまった。未来に帰るにはどうすればいいか?
燃料のプルトニウムは1955年には手に入らない。普通に考えたら詰みです。
TRIZでは、こういう状況でまず「周辺に使えるリソースはないか?」と問います。システムの中や環境の中に、すでに存在しているけど活用されていないものを探す。
映画の答えは「雷」でした。
しかも、ただ雷を使うだけじゃない。「いつ・どこに雷が落ちるか」という情報を、時計台のチラシから得ている。エネルギーリソース(雷)と情報リソース(チラシ)の組み合わせ。
あのチラシ、最初は単なる寄付のお願いとして登場するんですよね。それが後で命綱になる。伏線として見事なだけでなく、TRIZの教科書に載せたいくらいのリソース活用例です。
Mr. Fusionと「理想性」
シリーズを通して観ると、タイムマシンの燃料は進化します。
1作目:プルトニウム(入手困難、放射性、危険)
2作目以降:Mr. Fusion(ゴミで動く)
TRIZには「理想性」という概念があります。
理想性 = 有用な機能 /(コスト + 有害作用)
理想的なシステムとは、「システム自体は存在しないが、機能だけは果たされる」状態。
Mr. Fusionはこれにかなり近づいています。
燃料コスト:ほぼゼロ(そこらへんのゴミ)
有害作用:ゼロ(放射性なし)
機能:維持(タイムトラベルできる)
「どこにでもあるもの」で「危険なく」動く。プルトニウムからゴミへの変化は、理想性の向上そのものです。
伏線は「ストーリーのリソース」
観ながらもう一つ思ったのは、伏線ってリソースだなということ。
物語の序盤に「一見何気ないもの」を配置しておいて、後でそれが決定的な役割を果たす。これってまさに「すでにそこにあるものを使う」というリソースの発想そのものです。
時計台のチラシ、ジョージの「人生が変わる一週間」というセリフ、ビフの車……。すべてが後で回収される。無駄なシーンがない。
良い脚本と良い発明は、構造が似ているのかもしれません。
TRIZの眼鏡で世界を見る
こんなふうに頭の中のTRIZ回路を勝手に反応させています。
映画を観ても、ニュースを見ても、「あ、これ矛盾だな」「リソース何があるかな」と考えることがあります。
これはTRIZを活用している海外の専門家をみていても、同じようなことをしている方を見かけます。
ところで、面白いのは、Back to the Futureの脚本家たちがTRIZを意識していたわけではないということ。良い創作には、TRIZが後から言語化したような普遍的パターンが自然と含まれている。
逆に言えば、TRIZの原理は人間の創造性の本質を捉えているからこそ、いろんなところで「あ、これだ」と見つかるのでしょう。
次に映画を観るときは、ぜひTRIZの眼鏡をかけてみてください。
きっと新しい発見があるはずです。
もし、これはTRIZっぽい映画!みたいなものがあればぜひコメントで教えてください!

