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ダンジョン第39階層【実録】『東都校の深淵なる闇!冷徹なる大魔女と絶望の個人面談』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️



01:アブソリュート・オーダー〈絶対的な業務命令〉


東都校の修練場(教室)の案内と挨拶を済ませた。

俺たちは再び応接室へと戻った。

冷徹なる大魔女(現場責任者)が、静かに口を開く。

「黒金さん、案内ありがとう」

「私考えたんだけど、ここにいるスタッフ全員と個別で面談したいわ」

黒金は突然の申し出に面を食らったような顔をした。

あからさまに尻込みする。

「突然言われても、修練会(講座)の運営もありますし」

「それに、契約の狩猟官(営業員)は奉納の招陣(営業)の活動もあります」

「業務に支障が出ます」

「次回までにスケジュールを組みます」

大魔女は決して食い下がらない。

「一人10分でいいの」

「今から段取りしてちょうだい」

苛立った言い方で、いつもの冷酷な口調に戻っていた。

「それぐらい時間は取れるわよね」

「順番にここに呼んでちょうだい」

その強引さに圧倒された没落貴族(過去にすがる上司)の黒金は、震える声で答えた。

「わ、分かりました」

空前絶後的……………………………!!

彼女の アブソリュート・オーダー〈絶対的な業務命令〉 に逆らうことは、誰にもできないのだ。


02:インポッシブル・デマンド〈理不尽な要求〉


比較的、信徒(生徒)の少ない時間帯の魔導女師(女性講師)たちがまず呼ばれた。

最初に現れたのは、リーダー格の増田さんだ。

この魔導指導学校(資格学校)で10年以上在籍しているという。

年齢は40歳手前。

主婦でありながら講師を続ける異色の存在だ。

勝気な顔つきで、大魔女とは絶対に相性が良くないという嫌な予感がした。

戦慄的………………………………!!

彼女は背中を丸めながらドアを開け、ふてぶてしい挨拶でソファに座る。

増田さんが苛立った様子で一言放った。

「手短にしてもらっていいですか」

「今日も忙しいんで」

俺と大魔女は顔を見合わせる。

まずは大魔女から面談の質問を始める。

「お忙しいところすいません」

「二、三、質問させてもらいます」

「増田さんはここのリーダーと聞いておりますが、どんな段取りで進めていますか」

増田さんはため息をつきながら答える。

「私が経験をもとに準備を進めています」

「基本的には私の指示で動いてもらってます」

「あと、予約は信徒さんから修練の刻(授業時間)が終わった後にお伺いします」

「それと、東都では通信の添削の仕事があるんです」

「それを空いている時間に講師にしてもらってます」

俺は激しく動揺した。

添削の仕事だと?

西都校には存在しない業務だ。

大魔女は分かったように頷く。

「あ、そうね」

「ここはそれを全て送られてくるところだもんね」

「いつもありがとうございます」

当然分かっているかのように、冷静に受け答えをする。

「まだ何かありますか」

「あと、黒金さんとはどんなやり取りをしてますか」

「あー、別にそんなに話すことないですけど」

「信徒さんの添削結果を渡すぐらいですかね」

「基本、あの人会社にいないんで」

あ、これ絶対言っちゃいけないやつだ。

日頃の素行がすぐにバレる。

大魔女は質問を済ませる。

俺に向かって顎で合図をした。

俺は極度の緊張する。

無意識に失敗を笑いに変えようとする。

痛々しいルーティンに走った。

真面目な顔で質問しようとした瞬間。

思い切り自分の舌を噛んでしまい「あだっ!」と情けない声を上げたのだ。

痛みに悶えながら、必死に平静を装う。

『おい、おっさん!』

『威厳を示す場面で勝手に自爆してる ワン!』

『完全に無能な道化として見下されてる ワン!』

魔犬ツンの正論が、俺の心臓を鋭く抉る!

痛い!

俺は我に返る。

一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!

「発動せよ……! 」

インポッシブル・デマンド〈理不尽な要求〉 ッ!!

「あと、何が困ったことやご不満などがあれば聞いてもいいですか」

必死に痛みを堪えて質問した。

「不満ってほどではないんですけど、とにかく講師は報酬(時給)が安いんで」

「この際、諸領域の総督(統括部長)さんが来られたってことなんで、みんなの報酬を上げてもらえると助かります」

業績悪化を知りながら平気で要求してくる。

大魔女は何なら人を減らしたい状況だ。

禁句中の禁句である。

しかし、大魔女は顔を引き攣らせながらもぐっと怒りを堪えていた。

「ご協力ありがとうございます」

「以上となります」

その後も他の魔導女師たちが次々と入り、部屋が汚い、報酬が低いなどの不満を述べていった。

自分たちが改善する自覚は、一切感じられなかった。


03:ネグレクト・テスト・アナライズ〈怠慢解析魔法〉


続いて、契約の狩猟官(営業)の社員たちに質問を続ける。

呼び出されたのは、36歳、背の低い小太りの男だ。

5年ほど在籍している、筆頭狩猟官(主任)の大山である。

「あー忙しい。忙しい。」

「早めに済ましてもらっていいですか」

そう言いながら応接室に入ってくる。

額から噴き出す魔力(脂汗)を、保持布(ハンカチ)で拭っている。

大魔女が静かに問いかける。

「大山さん、契約の狩猟官(営業)として一番大切にしてることは何ですか」

「それはもちろん、契約の獲得ですわな」

「あなたの奉納の戦果(営業成績)は先月、3件で金貨150枚(150万円)しかありませんよね」

「こんなに低いのはどうしてですか」

大山は悪びれる様子もなく答えた。

「そもそも、客の質が悪いんですわ」

「だから厳選して遠隔詠唱(電話営業(テレアポ))しとるんですわ」

「厳選するとは、どういう意味ですか」

「そのままの意味ですけど」

「招陣候補の積層目録(名簿の山)から良さそうだなと思う人に電話するってことですわ」

「そうなんですか」

「全ての信徒さん候補に遠隔詠唱をかけてはいないということなんですね」

破滅的………………………………!!

俺は大魔女の顔を見るなり、爆発寸前の状況を察知した。

隣にいる俺の方が戦慄が走り、逃げ出したい気持ちになった。

大山はそんな危険な空気も知らず、平気な顔をして答えている。

悪魔的………………………………!!

俺は心の中。

二つ目の物理刃(自分軸)を強く詠唱した!

「発動せよ……!」

 ネグレクト・テスト・アナライズ〈怠慢解析魔法〉 ッ!!

彼の怠慢な遠隔詠唱の実態。

大魔女は完全に看破していた。

大魔女は冷静を装いつつ、絞り出すように口にした。

「分かりました」

「ご協力ありがとうございました」

他の契約の狩猟官たち(営業社員たち)も、一様にやる気のない姿勢だった。

適当な時間に働き、より好みして可能性を自ら潰している。

黒金の無管理状態の中。

好き放題やり、不満を言うことだけが常態化している。

ここばかりは、大魔女の方が遥かにマシに見える。

一応、予定していた質問は全て終えた。

執務の間(執務室)を見渡す。

机の上にウイスキーの半分残った瓶が置かれている。

カップラーメンの食べかけも放置されていた。

荒れ放題の限界だ。


04:サバイブ・アライアンス〈逆説の運命共同体〉


大魔女はこれ以上この空間に居られないと言うように、鼻をつまんだような顔をした。

「今日は以上だわ」

「後から追って相談させてもらいます」

黒金に向かって、吐き捨てるように言う。

「今日はお時間いただいてありがとう」

「また金曜日に来るわね」

「よろしくお願いします」

黒金が愛想笑いを浮かべて頭を下げる。

俺も慌てて挨拶をした。

俺たちは逃げるようにして、その場を後にした。

帰りの魔導馬車(タクシー)の中。

大魔女は一人で考え事をしながら、東都の街をじっと眺めていた。

その瞳には、これから待ち受ける難題に立ち向かう強い意志を感じた。

俺も普段は大魔女と対決している身である。

しかし、東都校においては共闘する立場になったのだ。

どうやって彼女の信頼を勝ち取り、距離を縮めていくか。

俺は必死に思案していた。

しかし、黒金の前で大魔女が放った言葉。

『私が見つけたんだもん』

あの自慢げな言葉。

俺に対する信頼の証を感じたのであった。

奇跡的………………………………!!

俺は心の中。

三つ目の物理刃(自分軸)を高らかに詠唱した!

「発動せよ……! 」

サバイブ・アライアンス〈逆説の運命共同体〉 ッ!!

西都校に帰ってから、今日の絶望的な惨状については深く認識を合わせていく必要がある。

魔導馬車の中。

大魔女がぽつりと一言だけつぶやいた。

「ひどかったわね」

全てが、この短すぎる一言に集約されていた。


【次回予告:ダンジョン第40階層】


東都校の絶望的な実態を知った俺と大魔女!

想像を絶する腐敗と無秩序な環境に、二人は頭を抱える!

この最悪の魔境で、これから本当にやっていけるのか!?

本質的な改革の一手はどこにあるのか!

大魔女との共闘は、一体どうやって成し遂げるのか!?

様々な思考が頭を巡り、俺の精神はついにパンク寸前に!

次なる死闘が今、幕を開ける!

次階層を見逃すな!

最後までお付き合いありがとうございます。

一気にこれまでの概要を知りたい方はこちら👇️👇️


【迷宮の深淵へようこそ】


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共鳴の「スキ」が、次なる階層の扉を開く鍵となる。

覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。

今までのあらずじをすぐに知りたいモブたちはこちら👇️👇️

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