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ダンジョン第80階層【実録】『最強ギルドの懐で突きつける究極の資本血盟!底辺からの悪魔的等価交換』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️

01:オフィシャル・インビテーション〈公式の召喚〉


それから1週間後。

篠田先任導師(係長)から、ついに待ちに待った連絡があった。

指定された場所は、最強ギルド(大企業)である青木工業の本陣。

その心臓部とも言える「第一議定聖域(第一会議室)」であった。

もはや、水面下のコソコソとした密会ではない。

青木工業の内部でも、この問題に対する表立った行動がある程度容認される段階に入ったのだろう。

当日、午後1時。

俺は広大な第一議定聖域(第一会議室)の中央あたりで、ポツンと一人で座っていた。

巨大な空間の静寂が、俺の魂の重圧(プレッシャー)を極限まで高めていく。

ガチャリと重厚な扉が開く。

そこに、篠田先任導師(係長)と、彼が以前言っていた「息のかかっていない担当長老(役員)」が一緒に入ってきた。

篠田先任導師(係長)が、俺に彼を紹介する。

「補給戦域(購買部)を担当されている役員の鮫島です」

「鮫島と申します。本日はよろしくお願いします」

俺の背筋に、ピリッとした緊張感が走る。

慌てて立ち上がり、自己紹介を返した。

「私、魔導指導学校で魔導師(講師)をしております」

「異次元おじさんと申します」

「どうぞ、お座りください」

鮫島長老(役員)に促され、俺たちは向かい合って席に着いた。

鮫島長老が、静かに口を開く。

「この度は、事前にこのような貴重な情報をご提供いただき、誠にありがとうございます」

「なるべく、先方様のご条件にも見合うように行動させていただきます」

「何卒よろしくお願いいたします」


驚愕的…!


最強ギルドの長老(役員)とは思えないほど、思った以上に腰の低い男だった。

俺も慎重に答える。

「今回の件につきましては、私も保護すべき交差陣列(取引先)のギルド(企業)様との関係もありまして、私の方で窓口として対応することになりました」

「何卒よろしくお願いいたします」

交渉のテーブルは、完璧に整った。



02:サイレント・トラップ〈静かなる罠〉


篠田先任導師(係長)の鞄から、1枚の情報の巻物(書類)が俺の元へと提示された。

そこには、先日俺が口頭で突きつけた三つの反逆要求に対する彼らなりの回答が網羅されていた。

俺は素早く目で追っていく。

だが、その最後の一文を見た瞬間。

俺の全身の血が凍りつき、驚愕を覚えることになった。

そこには、こう記されていた。

『一閃価(価格)交渉については、各会社個別に行うこととする』


絶望的…!


俺は頭の中で、全く想定していなかったこの文言の記載に戸惑いを隠すことができなかった。

アライアンス・ネゴシエーション〈互助陣列交渉(団体交渉)〉だからこそ、最前線の因果防波堤(下請け)は強大な権力に対して効果を発揮できるのだ。

それぞれのギルド(会社)との個別交渉になってしまえば、今までと何ら変わりはない。

青木工業の圧倒的な命脈質量(資本力)の下にねじ伏せられ、以前と変わらない理不尽な一閃価(価格)の引き下げが強制されるに違いないのだ。

俺は、何事もなかったかのように平静を装い、篠田先任導師(係長)に質問を投げた。

「篠田さん。先日は最後にこのような条件を追加するようなお話は、記憶になかったと思いますが」

篠田先任導師(係長)は、冷静な表情を崩さずに答えてくる。

「あー、そのことですか」

「ギルド内(社内)で検討した結果、各ギルド(企業)様の今までの一閃価(単価)につきましては非公開となっておりますので、団体での交渉は難しいと判断させていただきました」

「それぞれが他社の一閃価(単価)を知ることによって、新たな不満も懸念されます」

「今までのギルド(企業)様のスタンスもありますので、ここは協議の場の設置は難しいと判断した次第です」

最強ギルド特有の冷徹な分断工作(ロジック)だ。

ここで俺は極度の緊張をごまかすため、無駄に大げさなオーバーリアクションを取る痛々しいルーティンに走った。

「なるほど、そう来ましたか!」

机をドンと叩きながら勢いよく立ち上がろうとした瞬間。


椅子のキャスターが滑ってバランスを崩し、自らの顎をテーブルの角に強烈に強打する。

「あごぉッ!」

鈍い音を立てて舌を噛みそうになり、涙目でその場にうずくまって悶絶する。

『おい、おっさん!』

『敵の本陣の会議室で自らの顎を粉砕するとか、ただの自傷テロだ ワン!』

『一人で勝手に悶絶して、シリアスな空気を完全に野戦病院に変えてる ワン!』

魔犬ツンの容赦なきジャッジメント・サタン〈魔犬の正論〉が俺の心臓を抉る!


痛恨的…!



03:リバース・ロジック・ネゴシエーション〈逆転の論理交渉〉


俺は顎の激痛に耐えながら、真っ直ぐに二人を見据え、一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!


「発動せよ……!」


リバース・ロジック・ネゴシエーション〈逆転の論理交渉〉ッ!!

俺はすかさず、彼らの論理に力強く応酬する。

「なるほど。おっしゃる理由は理解できます」

「しかし、個別交渉であれば今までの交渉と何ら変わりません」

「むしろ、御社に有利に働くだけです」

俺はさらに代案を叩き込む。

「それでは、団体交渉を進める前提の上で、価格を個別の具体的な金額で話し合うのではなく……」

「以前の水準に戻す」

「つまり『伊藤統括導師(部長)が交渉した金額から、その前の水準に戻す』」

もしくは『そこから何パーセントぐらいの水準にする』という基準での交渉ではいかがでしょうか」


圧倒的…!


「そうすることによって、各ギルドがお互いの具体的な等価質量(単価)を知る必要もなく、公平な交渉に臨めるのではないですか」

俺の放った物理刃の前に、篠田先任導師(係長)と鮫島長老(役員)は顔を見合わせ、ヒソヒソと何やらゴソゴソ話し合いを始めた。

ヒリヒリとするような時間が俺を包み込む。

お互いが一歩も譲れない条件闘争でのせめぎ合い。

妥協点を見出すための息詰まる時間だ。

しばらく時間が経って、篠田先任導師(係長)が俺に向かって話し始めた。

「分かりました」

「団体交渉の可能性は存続するような方向で調整をしましょう」

「ただし、最終的な盟約(契約)は個別で行う。それでいかがでしょうか」

「分かりました」

「そこはこちらも調整いたしましょう」

俺は大きく頷いた。

首の皮一枚、団体交渉のカードを残すことに成功したのだ。



04:アルティメット・キャピタル・アライアンス〈究極の資本血盟〉



「他にご要望や疑問点などありませんか?」

篠田先任導師(係長)が、この会を締めくくるように俺に問いかけた。

そこで俺は、鞄の中から2つの呪縛の血盟書(書類)を取り出し、二人に手渡した。

「1つ目は、今回の交渉について、私が各ギルドマスターから一任されているという委任状を提出いたします」

「そして2つ目は……」

「今回、伊藤統括導師(部長)によって不当に盟約(契約)解除された『田中工業』について、別途付け加えたい条件です」

それを見た二人は、少し唖然とした表情を見せた。

「こ、これは何ですか……?」

俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!


「いでよ……!」


アルティメット・キャピタル・アライアンス〈究極の資本血盟(資本提携による在宅投資)〉ッ!!

「今後、田中工業が御社との盟約(契約)を復活する際には、展開の術式(業務量)を増やしていただきたい」

「その上で、その環境作りにもお手伝いしていただきたいのです」

「先日、伊藤統括導師(部長)の不当な審問(監査)によって幻に終わった遠隔防壁の分散陣列(在宅システム)には、御社からの厳しい条件がありました」

「その見直しを図ると同時に、御社にも安定した一閃価(価格)で量をこなせるこのシステムに、参加していただきたいのです」

俺の提示した条件はこうだ。

「青木工業様には『資本の血盟(資本提携)』を前提に、この在宅システムへの投資をしていただきたい」


驚天動地的…!


「つまり、在宅を希望する信徒(生徒)の魔導板(パソコン)及びセキュリティ環境にかかる原初対価(初期費用)に対して、青木工業様の資金をもって整えるというお話です」

「それを整えることによって、青木工業様は魔導指導学校の信徒(卒業生)を即座に戦力化し、不当質量(安価)を実現する」

「設計部の莫大な命脈の削減(コストダウン)と安定を得ることができます」

もちろん俺は、学校の資金を一切使わずして強固な環境を確保することができ、在宅システムの安定供給によって新たな純結晶(利益)を生み出すことができる。

専務も大魔女も、すべてが納得する内容に違いないのだ。

ここで大一番。
俺から最大の殺し文句を仕掛ける。

「悪い話じゃないと思います」

「確かに原初対価(初期費用)は必要になりますが……」

「本来、これを自社で行うことになれば、これぐらいの費用は通常かかった上で、傭兵(人材)の確保・育成が必要です」

「その上で不可侵法典(労働法規)に則って時間をかけるわけです」

「それが、不可侵法典(労働法規)の外にある外郭陣列との局地盟約(業務委託契約)で依頼することが可能なのですから、心配することなく業務量を増やすことができるのです」

「こんないい条件は、他にないのではありませんか?」

最強ギルドの心臓部で放った、底辺からの悪魔的等価交換。

この泥臭き逆提案が、巨大な組織の歯車を狂わせていく。

いざ、次なる階層へ。



【次回予告:ダンジョン第81階層】


最強ギルドの本陣で放たれた「在宅システムへの資本血盟(資本提携)」という究極の要求!

想定外の逆提案に鮫島長老と篠田係長の決断は!?

そして、ついに暴君・伊藤統括導師の失脚へ向けた内部クーデターが本格的に始動する!

だが、すべてが順調に進むと思われた矢先、俺たちの足元を救う「新たな魔の影」が忍び寄る……!

泥臭い交渉の果てに待つのは歓喜か。それとも新たなる絶望か!?

次なる死闘が今、幕を開ける!

最後までお付き合いありがとうございます。

【迷宮の深淵へようこそ】

この 「クソゲー(社会)」 から強制ログアウトさせられた、時給1,100円スタートの男の生存戦略。

覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。

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