ダンジョン第34階層【実録】『悪魔の契約と逆提案!大魔女との密室交渉で高額報酬金を勝ち取れ』
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01:アブソリュート・テリトリー・インビテーション〈絶対領域への誘い〉
「生還」の確定〈合格〉という歓喜に沸いたのもつかの間。
冷徹なる大魔女〈現場責任者〉から不気味な提案を受けた。
俺には全く見当もつかなかった。
一体何だ。
どんな提案だと言うんだ。
頭の中をフル回転させる。
しかし見当もつかない。
大魔女はゆっくりと立ち上がる。
俺を執務の間〈執務室〉の奥にある窓のない個室の方へ指をさした。

無言で来るように合図をしたのだ。
まさかのアブソリュート・テリトリー・インビテーション〈絶対領域への誘い(個室への呼び出し)〉である。
せっかくの歓喜が一気に地獄へと突き進む。
俺は大魔女の後ろを歩く。
見えない鎖で首をつながれた奴隷のようだ。

重い足取りで背中を追っていく。
まるで死刑を宣告されたような絶望が襲ってくる。
一体、何の話が待っているんだ。
心臓の音がうるさく鳴り響く。
暗く狭い部屋でついに二人きりになる。
バタンと重いドアをしっかりと閉める。
そこには一筋の光以外は外の音が入ってこない。

大魔女の放つアブソリュート・テリトリー〈絶対不可侵領域〉の冷気が充満している。
この狭い拷問部屋の中では、より一層寒さが身にしみる。
手足の指はすっかり感覚がなくなっている。
その部屋であまり大きくない机を挟む。
俺は対面に座る。
逃げ場のない空間で大魔女と対決する。
02:ダイレクト・コントラクト・オファー〈直接契約の提案〉
重い沈黙が続く。
その沈黙を破り、大魔女が切り出した。
「実はあなたに、いい提案があるの」
俺は心の中で激しく叫んだ。
いい提案って何だ。
俺はこの二人きりの空間でさえ、すでに地獄だと感じている。
空前絶後的………………………!!
「今、あなたは傭兵ギルド〈派遣会社〉からの契約じゃない?」
「私の一存でいつでも首を切ることはできるのよ」
冷たい声が部屋に響く。
「あなた、うちの魔導指導学校と直接契約しなさい」
「なんなら社員でもいいのよ」
俺は耳を疑った。
突然のダイレクト・コントラクト・オファー〈直接契約の提案〉だ。

もしかしたら、思った以上の好待遇かもしれない。
しかし、それは大魔女の罠。
奴隷契約を意味する。
もし仮にこの条件を飲むとする。
そうすると今度は魔女〈女性リーダー〉と魔導女師〈女性講師〉たちの激しい反発も考えられる。
破滅的……………………!!
しかし、ここで強制ログアウトになればすべてが終わる。
憎き元社長へのダーク・リベンジ〈兵糧攻め〉は完全に途絶えてしまうのだ。
まさに究極の選択である。
俺は極度の緊張をごまかす。
無意識に無い髪をかきあげる仕草をした。

存在しない前髪の束感を指先で確認する。
虚無のセットを完了させる。
痛々しいルーティンに走った。

『おい、おっさん』
『ハゲ頭を撫で回しても状況は好転しない ワン』
『指先の摩擦熱でその部屋を温めるつもりか ワン。』
魔犬ツンの鋭いツッコミが胸に深く刺さる。
我に返った俺は、一つ目の物理刃〈自分軸〉を詠唱した!
「発動せよ……!」
ダイレクト・クエスチョン・オブ・アビス〈深淵への直接質問(評価の確認)〉ッ!!
俺は恐る恐る質問をする。
「梅木さん」
「私をどのように評価してるんですか」
大魔女は薄く笑った。

「そうね」
「見た目はパッとしないけど、営業向きよね」
「特に泥臭いところ。そういうところは好きだわ」
すかさず、気になる点も聞く。
「私の教えるという能力は、評価されていないんですね」
この学校での絶対的価値によって、切り替えされる。
「それはうちの学校に優先されることではないの」
「教えるのは他の者でもできるからね」
さすがは大魔女である。
俺の特殊能力である遠隔詠唱〈電話営業(テレアポ)〉のスキルを見抜いていたのである。
同じ能力を持つ者だけが感じ取る嗅覚のようなものだろうか。
このままでは魔導師〈講師〉としてのポジションを完全に失ってしまう。
それは大魔女の直轄の奴隷を意味する。
今の段階ではそれは絶対に避けたい。
03:カウンター・オファー・ネゴシエーション〈逆提案の交渉術〉
そこで俺は大魔女に逆提案をする。
俺は二つ目の物理刃〈自分軸〉を発動した!
「喰らえ……!」
カウンター・オファー・ネゴシエーション〈逆提案の交渉術(条件の提示)〉ッ!
狂気的……………………!!
「魔導師〈講師〉をしつつ、私が今回、信徒〈受講生〉に提案した相談という形をとります」
「新しい修練会〈講座〉を身につけていただくという形であれば、その提案も視野に入ってくると思っています」
俺の提案はさらに続く。
「傭兵ギルド〈派遣会社〉との契約終了の代わりに、報酬金〈時給〉での暫定刻限の従事(アルバイト)の契約に切り替えてもらうことは可能でしょうか」
あまりにも予想しない回答に大魔女は眉をひそめた。
「社員が不満なの?」
「今よりもっといい待遇にはなるわよ」
俺は首を横に振る。
「そうではありません」
「私は魔導師〈講師〉にこだわっているんです」
「そうすると佐藤さんたちとの兼ね合いがあるんです」
俺は必死に理由を並べる。

「同じ暫定刻限の従事(アルバイト)の契約が妥当だと考えています」
大魔女は沈黙しながら考えている。
冷たい視線が俺を射抜く。
胃がキリキリと痛む。
長い時間に感じられた。
致命的…………………ダメージ……………!
やがて大魔女は口を開いた。
「分かったわ」
「暫定刻限の従事(アルバイト)契約でもいいわよ」
俺はホッと息を吐く。
しかし、交渉はここからが本番だ。
俺はさらに条件を突きつける。
三つ目の物理刃〈自分軸〉を心の中で詠唱する!
「いでよ……!」
ハイ・リターン・デマンド〈高時給の要求(強気の賃金交渉)〉ッ!!
「銀貨1枚と銅貨800枚の報酬金〈時給1,800円〉は頂きたい」
※ここでの金貨は1枚:1万円、銀貨1枚:1,000円、銅貨1枚:1円である
俺は心の中で激しく後悔した。
あまり高い数字を言うことで、この契約が切れることを一番恐れていたのだ。
本来ならば切りのいい銀貨2枚と言いたいところだ。
だが大魔女の腹積もりを探りに行くための絶妙なラインを攻めた。
渾身の要求である。
悪魔的…………………………………!!
もしこの条件が通れば、底辺からの大きな一歩となる。
大魔女の目は鋭く光っている。
部屋の空気がさらに冷たくなる。
俺は呼吸を忘れそうになる。
心臓が早鐘のように打つ。
彼女は俺の顔をじっと見つめている。
値踏みするような視線だ。
俺は目をそらさずに耐える。
ここで引けば負けだ。
交渉のテーブルから落とされる。
必死に食らいつくしかない。
04:インセンティブ・リクエスト〈成功報酬の要求〉
大魔女も負けてはいない。
大魔女の冷たい声が響く。
「もしその条件なら、100時間は営業の時間に使いなさい」
さらに厳しい条件が続く。
「生還の防備〈試験対策(全般)〉と同じように電話でも勧誘しなさい」
「3年前以上の古い生還の連名録〈名簿〉を使ってね」
「これが条件よ」
かなり厳しい条件だ。
しかし、俺も恐れる中で追加の要求をする。
四つ目の物理刃〈自分軸〉を絞り出すように発動した!
「喰らえ……!」
インセンティブ・リクエスト〈成功報酬の要求(歩合の交渉)〉ッ!!
驚異的……………………!!
「それであれば、電話分の宝物庫〈売上〉の3%は報奨金〈インセンティブ〉をください」
極度の緊張のあまり、額から噴き出す魔力〈脂汗〉が一筋垂れた。

俺の要求に対する大魔女の沈黙が続く。
空気が張り詰める。
息が詰まるような時間だ。
戦慄的……………………!…………!
やがて大魔女はゆっくりと頷いた。
「いいでしょう」
「今回、あなたは二つの条件をクリアしたわ」
冷たい笑みを浮かべる。

「今後も私の期待に応えるなら、この条件を飲みましょう」
俺はどうせ逃げられない。
この逃げられない状況下の中で、最もこの段階で信頼を勝ち取らなければならない人がいる。
それは目の前にいる大魔女だ。
その大魔女と、信頼という名の悪魔の契約を結べる状況が目の前にある。
俺はまさかの展開に驚いている。
敵対の中ボスキャラと共闘同盟を結ぶことになるなんて。
ついさっきまでの状況を考えると、思ってもいないことだった。
奇跡的………………………!!
しかし、迷っている暇はない。
俺は覚悟を決めた。
「それでお願いします」
俺は大魔女と力強い握手を交わす。
初めて握ったその手は、あまりにも冷たかった。
すでに感覚がなくなっていた俺の手は、より一層冷たく感じさせた。
凍傷になるような鋭い痛みを感じた。
しかし、この痛みは次への第一歩につながる傷だ。
この悪魔の契約を足がかりにするしかない。
憎き元社長へのダーク・リベンジ〈復讐の戦術(兵糧攻め)〉を果たすためだ。
俺は心の中で強くそうつぶやく。
重いドアを開ける。

光の差し込む外へと足を踏み出す。
重い足取りでその暗い拷問部屋を後にした。
【次回予告:ダンジョン第35階層】
悪魔の契約を結ぶ。
ついに敵対ボスとの共闘が始まった!
しかし、大魔女との約束。
「100時間の営業」
「古い名簿での勧誘」
地獄のノルマが俺に襲いかかる。
魔女と魔導女師たちの冷たい視線が突き刺さる中。
俺は売上を上げることができるのか!?
報奨金を手にする前に、心身が完全に崩壊してしまうのか!?
逃げ場のない絶望の営業クエスト。
今、幕を開ける!
次階層を見逃すな!
最後までお付き合いありがとうございます。
【迷宮の深淵へようこそ】
この「クソゲー(社会)」から強制ログアウトさせられた、時給1,100円スタートの男の生存戦略。
理不尽な魔境でMPを削られ、絶望の淵にいるならば、今すぐ「フォロー」ボタンを押し、私と共に泥臭く這い上がる同志となれ。
共鳴の「スキ」が、次なる階層の扉を開く鍵となる。
覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。
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