ダンジョン第61階層【実録】『15年の沈黙を切り裂け!孤独な反逆者の本音とギルドマスター涙の贖罪』
前回の物語はこちら👇️👇️👇️
01:ミュート・オブ・ザ・アビス〈深淵なる沈黙〉
翌日。
俺は田中産業という鉄と油の結界(製造現場)を訪れた。
ギルドマスター(社長)が承諾した清水への謝罪を実行してもらうためだ。
当人を前に長年トップの彼が頭を下げられるのか。
不安はあったが乗り越えないとクエスト(業務)は進まない。
二人の溝は想像を絶する。
俺は二人が話し合う深層対話(面談)の場を設けた。
向かい合う二人。
応接スペースを支配するのは永遠に似た重苦しい沈黙。

長らく業務以外の会話がなかった二人には、何から話していいか。
戸惑いがある。
極度の緊張から、俺は「無駄に大げさなオーバーリアクション」という痛々しいルーティンに走った。
「心の扉を開こう!」と両手を広げ背伸びした瞬間、横にあった観葉植物に指がクリーンヒット。

激痛に足がもつれソファーの背もたれに顔面からダイブし「指が折れたァ!」と叫びながら床で痙攣する羽目になる。

『おい、おっさん』
『勝手に自爆して応接スペースを拷問部屋に変えてる ワン!』
『一人で指を負傷して痙攣するとか、スライム以下のモブだ ワン!』
沈黙的……………………………!!
激痛を堪え、俺は一つ目の物理刃(自分軸)を詠唱した!
「発動せよ……! 」
ミュート・オブ・ザ・アビス〈深淵なる沈黙〉 ッ!!
「お二人とも、ここはソウルブラッド(本音)で向き合いましょう」
02:ダーク・フレイム・リベレーション〈暗黒炎の解放〉
「今日は最大の課題であった……」
「お二人への思いを率直に話せる距離感に戻っていただくことです」
俺は清水へ視線を向けた。

「まずは清水さんから所属ギルド(会社)への思いを伝えていただけますか」
躊躇し言いづらそうな清水にテレパシック・コマンド〈遠隔意識誘導〉を込めた。
「清水さん……」
「包み隠さずにいきましょう」
背中を押され、清水は重い口火を切った。

「ギルドマスター(社長)」
「私はこの魔導錬成(作図作業)が心底嫌いです」
「人生の何もかもが狂ってしまった」
「本来なら退却の煙玉(退職)したいぐらいの気持ちです」
15年間溜め込んだ暗黒の炎(憎悪)の塊だった。
「でも、昨日」
「異次元おじさん(主人公)がソウル・プロキシミティ〈魂の至近距離〉で寄り添ってくれたことを考えてみたんです」
自分に言い聞かせるように語る。
「好き嫌いに関係なく経験してきたことを受け入れてきた事実はあるの」
「だから、私にはこの先もこのスキルしかありません」
彼女は強い意志で宣言した。

「その上でこれから境界外の魔導委託(在宅)の業務を可能にしたい」
「異次元おじさんたちと一緒に進めていきたいという気持ちになりました」
「これが私なりの ダーク・フレイム・リベレーション〈暗黒炎の解放〉 です」
「しかし……何年も会話をしてこなかった」
「このままでは前に進めない」
「なぜ、私が魔導錬成(作図作業)をしなければならなかったのか」
「社長から説明がほしい」
驚愕的………………………………!!
俺は二つ目の物理刃(自分軸)を詠唱した!
「いでよ……!」
ダーク・フレイム・リベレーション〈暗黒炎の解放〉 ッ!!
清水から出る言葉は、ソリタリー・レジスタンス(孤独な反逆者)としての精一杯の気持ちの表れだった。
03:リグレット・アンド・リデンプション〈後悔と贖罪〉
ギルドマスター(社長)は下を向いたまま。
彼女の言葉を深く考えじっと聞いていた。

数分間という永遠にも似た沈黙が過ぎていく。
やがて重苦しい雰囲気の中でついに口を開いた。
「……清水君」
かつての威厳を失い後悔に満ちた男の声だった。
「昨日、君のソウルブラッド(本音)を聞いたよ」
「分かってはいたが……」
「俺は君の気持ちからずっと逃げ続けてきたのかもしれない」
「術式の受諾官(受注先)からの魂の重圧(プレッシャー)に耐えきれず、大した説明もせずにすべてを押し付けてしまった」

「君も若かったから無理難題を受け入れてくれたのだと思っていた」
「本来なら状況を説明し、同意を求めるべきだった」
「そして、リワードギフト(感謝の報酬)を示し、報うべきだった」
社長は言葉を絞り出す。
「だが俺は見て見ぬふりをしてきた」
「そして、他人が介入しないと収拾がつかない状態まで陥った」
「この リグレット・アンド・リデンプション〈後悔と贖罪〉 に至るすべての責任は私にある」
社長はゆっくりと立ち上がった。
「だから清水君」
「心からの謝罪をここでさせてもらいます」
「長い間……」
「苦しい思いをさせたこと……大変申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げた。

俺が声をかけるまで頭を上げようとはしなかった。
氷解的…………………………!!
「……ギルドマスター(社長)、もうそろそろ」
促すと彼はやっとソファーに座り直した。
清水の瞳には大粒の涙が浮かび、震える声で一言発せられた。

「その言葉を………」
「もっと早く聞きたかった」
俺は三つ目の物理刃(自分軸)を詠唱した!
「発動せよ……!」
リグレット・アンド・リデンプション〈後悔と贖罪〉 ッ!!
心からの謝罪。
凍りついた二人を解きほぐす儀式だ。
時間をかけ距離を縮めるに違いない。
「お二人の握手で仲直りとしましょう」
二人は立ち上がり固い握手をした。

境界外の魔導委託(在宅)プロジェクトの準備にかからねばならない。
04:システム・シンクロナイゼーション〈理の同期〉
翌日。
俺は魔導女師(女性講師)の平野と山口を連れ、改めて田中産業へと訪問した。
前もって時間を空けていただくようお願いしていた。
ここで初めて、プロジェクトに参加する5人が勢揃いした。
俺、平野、山口、そして社長と清水だ。
俺はこのプロジェクトに対して、何が必要なのかを説明した。
「境界外の魔導委託(在宅)化で一番必要なのは、離れていても誰もが同じものを同じと、寸分狂いなく認識できる仕組みの構築にあります」
俺は魔導板(パソコン)を開き熱弁する。

「個人の感覚や曖昧な認識でズレを生じることが巨大なリスクです」
すべての工程を システム・シンクロナイゼーション〈理の同期〉 によって明確にし、必ず確認を行う。
「新しい傭兵(人材)が基準値に達するまでは徹底的に認識を同期させる必要があります」
「怖いのは慣れによる確認の喪失や認識のズレが仕組みを劣化させることです」
「悪魔的丸投げ体質(責任回避の組織文化)や属人化からの脱却は、この縛理の書(ルール)の徹底から始まります」
社長と清水は戸惑いを見せながらも、黙って俺の詠唱(説明)に耳を傾けていた。
徹底的……………………………!!
俺は四つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!
「いでよ……!」
システム・シンクロナイゼーション〈理の同期〉 ッ!!
「そこでお二人にお願いがあります」
「ダイレクト・ヒアリング・クエスト〈直接聴取魔法〉をして下さい」
「清水さんの頭の中にある縛理の書(ルール)や仕組み、術式の受諾官(納入先)からの基準などを、すべて私たちに教えてください」
俺の言葉に、二人は静かに頷いた。

ようやくスタートラインに立った境界外の魔導委託(在宅)プロジェクト。
過去のわだかまりを清算し、全員が同じ方向を向いて歩み始めたかに見えた。
しかし、このダイレクト・ヒアリング・クエスト〈直接聴取魔法〉の直後に、俺の想定を遥かに超える巨大な障壁にぶち当たることに。
長年の属人化が生み出した魔境(ビジネス社会全体)の闇は、俺たちが考えるほど浅くはなかった。
この時、俺はその真の恐ろしさをまだ知る由もなかったのである。
いざ、次なる階層へ。
【次回予告:ダンジョン第62階層】
涙の和解を経て、ついに始動した境界外の魔導委託プロジェクト!
しかし、順調に見えたヒアリングの直後、俺たちの前に想像を絶する魔境の闇が立ちはだかる!
15年の属人化が生み出した「不可視のルール」と「暗黙の基準」の数々!
可視化を試みる俺たちをあざ笑うかのように、システム構築は次々とエラーを引き起こす!
果たして、おじさんたちはこの鉄壁の属人化迷宮を攻略できるのか!?
次々に襲いかかる想定外のトラブルに、おじさんのMPは再び限界突破の危機に!
一瞬の油断も許されない、次なる死闘が今、幕を開ける!
次階層を見逃すな!
最後までお付き合いありがとうございます。
一気にこれまでの概要を知りたい方はこちら👇️👇️
【迷宮の深淵へようこそ】
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覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。
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