【マンガ】宇宙兄弟 小山宙哉 第37巻
オールカラー版で再読中。
心に響いた素敵な言葉を集めてみます。
133
ムッタとフィリップに、NASAから連絡が入った。
月に残された二人を救出する、ロシアのレスキューミッション。
そのメンバーに――ヒビトが選ばれたという。
突然の知らせに、ムッタは言葉を失った。
「日々人が・・・月に来る!!」
一度はパニック障害で、NASAでの宇宙飛行士の道を断たれたヒビト。
それでも諦めず、ロシアで再び認められた弟。
その事実が、ムッタはたまらなくうれしかった。
シャロン天文台建設を成し遂げ、やり切ったという余韻に、少し浸りすぎていた。
どこかにあった“終わった”という感覚。
その危うさを、この知らせが吹き飛ばした。
ムッタの中に、もう一度火種が灯る。
ゴールラインは次へのスタートラインだ
お前もそうだったんだろ?・・・日々人・・・~南波六太~
火種をなくすな。
ムッタは、そう自分に言い聞かせた。
134
南波兄弟の実家に、テレビのインタビューがやって来た。
兄弟そろって月面に立つ。
世界中が注目する史上初の出来事について両親に話を聞くためだ。
二人の父は、ムッタとヒビトが子供の頃の出来事を思い出していた。
夏休み、二人だけで自転車に乗り、京都まで旅をしたときのことだ。
当時、父が二人に聞いた。
「なんで京都まで行こうと思ったんだ?」
するとムッタは、こう答えたという。
「俺たち二人で、なんかを成し遂げたい」
今回の兄弟での月面着陸は、あれ以来、
二人がそろって“何かを成し遂げる”瞬間なのだ。
実はその京都への旅、父は正体を隠して、後ろから同行していた。
真っ暗な夜道で、ヒビトのライトの電池が切れてしまった。
それに気づいたムッタは、前を走るヒビトの足元を、
自分のライトでずっと照らしてやっていた。
そして、それに気づいたヒビトは、
ムッタがついて来られるスピードに合わせて走っていたという。
父は、こう語った。
我々両親にとって大事なのは、世界初かどうかではない。
あの時の、ああいう兄弟の姿だ。
“優しさに気づくのも、優しさ”だ。
世界的な注目があろうとなかろうと、“足元をそっと照らしてやり” “さりげなく速度を揃えてやる”
あの夏の兄弟の姿勢のままで、何かを成し遂げてくれれば、
親としては、何も言うことはない ~南波 長介~
普段は無愛想な父のその言葉は、遠く宇宙のムッタにも、届いていた。
135
ベティの手術のためにISSに滞在していた、ジョーカーズの帰還チーム。
いよいよ地球へ帰還する時が来た。
月に残ったムッタたちへ、帰還チームから通信が入る。
キャプテンのエディは言った。
「お前たちが還って来るまで、俺たちはジョーカーズのままだ!」
ムッタも応える。
「ああ、もちろん!」
「地球で会おう」
そして大気圏突入。
機体の激しい揺れに、思わず動揺するベティ。
カルロはそっと手を差し伸べ、彼女の手を握った。
やがて、激しい衝撃とともに着水。
成功だ。
衝撃で傷が少し痛んだものの、ベティはなんとか耐えきった。
月でその映像を見ていたムッタとフィリップも、仲間の無事を心から喜んだ。
実はムッタは、エディたちが帰還したら、置いてけぼりを感じるのではないかと思っていた。
だが、実際は違った。
自分の一部が、ちゃんと地球に還った ~南波六太~
この言葉が、いちばんしっくりきた。
しかし、エディたちにとっては逆だった。
「自分の一部が、まだ月に残っている」
ムッタたちが帰還するまで、
ジョーカーズのミッションは、まだ終わらない。

