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防災┋つなぎ&まもり#52:当たり前を少し横から見る

多数派の視点だけでは見えないことがある。


ふだん、当たり前のように使っているもの。

案内表示。
避難情報。
防災アプリ。
地域の決めごと。
職場のルール。

それらは、自分にとって不便がないと、
「これで十分」と思いやすいものです。

でも、少しだけ横から見てみると、
「あれ、これで困る人もいるかもしれない」
と気付くことがあります。

今回のテーマは、
「当たり前を少し横から見る」こと。

障がい者雇用セミナーでの学びをきっかけに、
防災にもつながる視点として考えてみます。


マガジン案内

この「やさしい防災|つなぎ&まもり」は、
防災を特別なものにしすぎず、
日々の暮らしの中で考えていくシリーズです。

つなぎとまもりの会話を通して、
防災を少しやさしく、
少し身近に見つめていきます。


今回のきっかけ

中の人は先日、
障がい者雇用に関するセミナーに参加しました。

そこで印象に残ったのは、
「困っている人だけに特別な対応をする」
という考え方だけではありませんでした。

むしろ、

誰にとっても使いやすい仕組みを整えること。

そこに大きな意味があるのだと感じました。

これは、障がい者雇用だけの話ではありません。

防災でも、職場でも、地域活動でも同じです。

多数派の目線だけで考えると、
どうしても見落としが生まれます。

自分にとっては分かりやすい。
自分にとっては使いやすい。
自分にとっては困らない。

でも、その「自分にとって」は、
すべての人に当てはまるとは限りません。


まもり

「自分には普通でも、人によって困ることってあるんだね。」

つなぎ

「そうだね。自分が困っていないと、気付きにくいこともあるからね。」

まもり

「たとえば、防災だとどんなこと?」

つなぎ

「避難所の案内、避難情報、防災アプリ、備蓄品の表示。いろいろあると思うよ。」

まもり

「たしかに。文字が小さかったり、言葉が難しかったりすると、困る人もいるよね。」

つなぎ

「そう。しかも、それは特定の人だけの問題ではないんだよ。」

まもり

「どういうこと?」

つなぎ

「たとえば、やさしい言葉で書かれた避難情報は、外国人だけでなく、子どもや高齢の人、慌てている人にも伝わりやすいよね。」

まもり

「あ、そうか。誰かのための配慮が、みんなの使いやすさにつながるんだ。」

つなぎ

「うん。だから、少数派の視点を入れることは、特別扱いではなく、仕組み全体を強くすることでもあるんだと思う。」


気付いた事

当たり前は、見えにくい

自分にとっての当たり前は、
なかなか見えません。

毎日使っている道。
いつもの職場のルール。
地域の集まり方。
避難所の案内。
配られるチラシの言葉。

自分が困っていないと、
そこに不便があることに気付きにくいものです。

でも、防災は、
「いつもの状態ではない時」に使うものです。

停電しているかもしれない。
雨や風の音で放送が聞き取りづらいかもしれない。
スマホの充電が少ないかもしれない。
不安で、文章を落ち着いて読めないかもしれない。

普段なら分かることでも、
災害時には分かりにくくなることがあります。

だからこそ、防災の仕組みは、
ふだんから少しだけ横から見る必要があります。


中の人

「今日の当たり前を、ちょっとだけ斜めから見てみる。そうすると、実は見えていなかったことが見えることがあります。」

多数派だけで決めると、見落としが生まれる

会議や地域活動では、
どうしても多数派の感覚が中心になりやすいです。

声を出しやすい人。
説明をすぐ理解できる人。
移動に困らない人。
日本語の文章を問題なく読める人。
地域の慣習を知っている人。

そういう人たちだけで仕組みを決めると、
悪気がなくても、見落としが出ます。

たとえば、

避難所の受付が複雑すぎる。
案内表示の文字が小さい。
掲示物の日本語が難しい。
防災アプリの通知文が長すぎる。
備蓄品の表示が分かりにくい。
避難情報の意味が伝わりにくい。

これらは、一つひとつは小さなことかもしれません。

でも災害時には、
その小さな分かりにくさが、
行動の遅れにつながることがあります。

まもり

「多数派の人だけで考えると、困っている人の声が入らないこともあるんだね。」

つなぎ

「うん。だから、少数派の視点を入れることが大事なんだと思う。」

まもり

「でも、少数派の視点って、どうやって入れればいいのかな?」

つなぎ

「まずは、『自分は困っていないけど、困る人はいないかな』と考えてみることかな。」

まもり

「それなら、今日からできそう。」

つなぎ

「それに、実際に困りやすい立場の人の話を聞くことも大切だね。」

まもり

「決める前に聞く。作ってから直すんじゃなくて、作る前に気付くってことだね。」

つなぎ

「そう。防災は、起きてから考えるより、起きる前に整えておく方がいいからね。」


やさしい専門パート

配慮は、誰かだけのものではない

配慮という言葉を聞くと、
「特定の人のために何かを足すこと」
と思われることがあります。

でも、本当に使いやすい仕組みは、
結果として多くの人を助けます。

やさしい日本語は、
外国人だけでなく、
子どもや高齢の人にも伝わりやすくなります。

大きく見やすい表示は、
視力が弱い人だけでなく、
慌てている人にも見つけやすくなります。

シンプルな避難所案内は、
初めて来た人だけでなく、
運営する側の負担も減らします。

分かりやすい備蓄品表示は、
支援が必要な人だけでなく、
誰が見てもすぐ判断できる助けになります。

つまり、配慮は、
「誰か一人のため」だけではありません。

仕組み全体を使いやすくするための、
大事な見直しでもあります。

中の人

「少数派の視点を入れることは、特別扱いではなく、仕組みの見落としを減らすことだと思います。」

防災で見直せること

では、日常の中で何を見直せるでしょうか。

たとえば、避難所案内。

文字は見やすいか。
矢印は分かりやすいか。
初めて来た人でも迷わないか。
日本語が苦手な人にも伝わるか。

たとえば、避難情報。

言葉が難しすぎないか。
何をすればいいのかが先に書かれているか。
長い説明になりすぎていないか。
音声だけ、文字だけに頼っていないか。

たとえば、防災アプリ。

通知が来た時に、すぐ意味が分かるか。
家族にも説明しやすいか。
高齢の親にも使えるか。
通信が不安定な時のことも考えているか。

たとえば、備蓄品。

何がどこにあるか分かるか。
賞味期限は見やすいか。
アレルギー表示は確認しやすいか。
誰が見ても取り出しやすい場所にあるか。

こうした見直しは、
大きな制度を変えなくても始められます。

家庭でも。
職場でも。
地域でも。

「これで困る人はいないかな」
と一度立ち止まるだけで、
見えるものが変わります。

まもり

「防災って、大きな訓練や備蓄だけじゃないんだね。」

つなぎ

「うん。伝わりやすさや使いやすさを整えることも、防災の一部だと思うよ。」

まもり

「たしかに。いざという時に分からなかったら、備えていても使えないもんね。」

つなぎ

「そうだね。備えは、持っているだけではなく、使える形になっていることが大切だね。」


今日の一手

今日できる小さな見直しとして、
家や職場の防災表示を一つだけ見てみてください。

避難経路の表示。
備蓄品の置き場所。
非常用ライトの場所。
災害時の連絡方法。
防災アプリの通知文。

それを、自分ではない誰かの目線で見てみます。

高齢の人なら分かるか。
子どもなら迷わないか。
日本語が苦手な人なら伝わるか。
慌てている時でも読めるか。
初めて来た人でも動けるか。

完璧に直す必要はありません。

まずは、
「あれ?」
と気付くこと。

その気付きが、
次の備えにつながります。


まとめ

当たり前は、
自分の中にあるからこそ見えにくいものです。

でも、少しだけ横から見ると、
見えていなかった不便や、
整えられる余地に気付くことがあります。

防災は、特別な人だけのものではありません。

子どもも。
高齢の人も。
外国人も。
障がいのある人も。
普段は元気な人も。
災害時には不安になる人も。

みんなが使うものです。

だからこそ、多数派の視点だけでなく、
少数派の視点も入れて考えることが大切です。

まもり

「自分にとって普通でも、誰かにとっては困ることがあるんだね。」

つなぎ

「うん。そのことに気付けると、防災はもっとやさしくなると思う。」

中の人

「当たり前を少し横から見る。それだけで、備えの形は少し変わります。」


あとがき

最近、
「これって自分の当たり前だっただけかも」
と思ったことはありますか?

中の人は、障がい者雇用セミナーに参加して、
改めて考えました。

配慮は、
誰か一人にだけ向けるものではなく、
仕組みそのものを見直すきっかけになるのだと思います。

防災でも同じです。

見やすい案内。
分かりやすい言葉。
迷わない導線。
使いやすい備蓄。

それらは、困っている誰かのためであり、
同時に、未来の自分のためでもあります。

今日の当たり前を、
少しだけ横から見る。

その小さな視点のずらし方を、
これからも大切にしていきたいです。

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