防災┋つなぎ&まもり#45:その「伝え方」、現場で伝わりますか?
「伝えたつもり」で終わらせないために。
防災の場面で、
「ちゃんと説明したはずなのに、伝わっていない」
そんな違和感を感じたことはありませんか?
特に、学校や地域の防災では、
初めて関わる人も多く、
“前提の違い”が大きく影響します。
今回は、PTA主催の防災イベントの打ち合わせを通して、
「伝え方」について考えていきます。
■ マガジン案内
このシリーズでは、防災を“やさしく”、そして“現場で使える形”で伝えることを大切にしています。
難しい話をそのまま届けるのではなく、「どうすれば動けるか」という視点で、日々の防災を見直していきます。
■ 会話パート
なび
「今回のイベントでは、避難行動の基本と、ハザードマップの見方を中心に説明します。
そのあと、実際に想定した動きを確認する流れです」
ことな
「すみません、ちょっといいですか?」
なび
「はい、どうぞ」
ことな
「説明としては分かるんですけど…
初めて参加する人には、少し難しくないですか?」
なび
「難しい、ですか?」
ことな
「一つひとつは大事なことだと思うんですけど、
情報が多くて、“何をすればいいのか”が分かりにくいかもです」
なび
「……」
ことな
「例えば、
“まずこれをやる”っていうのが先に分かると、
聞く側も理解しやすいと思います」
なび
「なるほど…」
ことな
「あと、言葉も少し難しいかもしれません。
普段使っている言葉でも、初めて聞く人には分からないことってありますよね」
なび
「確かに…。
説明としては正しいつもりでしたけど、“伝わるかどうか”は別かもしれませんね」
■ やさしい専門パート
防災の情報は、「正しいこと」を伝えるだけでは不十分です。
受け取る人の理解に合わせて、“伝わる形”に整える必要があります。
例えば、「やさしい日本語」では次のような工夫が基本とされています。
・文を短く区切る
・難しい言葉を分かりやすく言いかえる
・一文に一つの情報だけ入れる
・必要に応じて、図やイラストを使う
これらは、外国人だけでなく、
防災に慣れていない人にも有効な考え方です。
■ 会話パート(続き)
ことな
「今回の資料も、
“やること”を先に書いて、
説明はそのあとにした方がいいかもしれません」
なび
「“やることを先に”…」
ことな
「はい。
まず行動が分かって、そのあとに理由が分かる方が、
動きやすいと思います」
なび
「なるほど…。
“伝えた”じゃなくて、“伝わる形にする”ってことですね」
ことな
「そうだと思います」
■ まとめ
防災は、「正しい情報」を伝えるだけでは足りません。
その情報が、相手に伝わり、
実際の行動につながって初めて意味を持ちます。
“伝えたかどうか”ではなく、
“伝わったかどうか”。
その視点を持つことが、防災を一歩前に進めます。
■ ラストシーン
(打ち合わせが終わり、片付けをしているとき)
なび
「……あれ?」
ゆい
「久しぶりやな、なび」
なび
「ゆい!?戻ってきたん!?」
ことな
「え、知り合いなんですか?」
ゆい
「高校の同級生です。
ちょっと仕事で来てて」
(タブレットに目を落としながら)
ゆい
「その資料、少し見てもいいですか?」
(軽く目を通す)
ゆい
「このままだと、現場で少し回りにくいかもしれませんね。
この部分、もう少しシンプルにすると伝わりやすいと思います」
なび
「……相変わらずやな」
■ あとがき
あなたは、「伝えた」と「伝わった」、どちらを意識していますか?
防災は、“分かっている人”の中だけで完結してしまうと、
本当に必要な人に届かないことがあります。
今日の話が、少しでも見直すきっかけになれば嬉しいです。
そして――
なびの同級生、「ゆい」。
現場で動く視点を持つ存在です。
詳しくは、次のこぼれ話でお話しします。
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